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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第7章 クランの設立と開業編

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第192話 人間と亜人の違いについて

 昼食を取り終えた俺達はアマネ達にも今後の方針などを食事をしながら説明して、午後からは冒険者を中心に従業員募集を呼びかけることにした。

 ……とは言ったものの、こんなことは運営側である俺達は元より冒険者達にとっても初めてのことなので、どちらも手探り状態で互いに折り合いをつけながら、まずは面接という形をとることにした。


 いくらクランに登録しているとはいえ、いきなり「ウチの店の従業員になれ!」と言っても臆して断られるのがオチだろう……。シズネさんだけでなく、マリーやアヤメさんも同意見だった。

 だから(てい)よくも色々な世間話をしつつ、「ウチで長期的に働けるのか?」「報酬は?」「ちゃんと仕事はできるのか?」「住み込みは可能なのか?」など色々と聞いてみることにした。


 もちろんその面接の場所はウチの店のレストランホールで、俺達も調理や接客をしながら同時に行っている。

「それならレストラン(ここ)じゃなくて、二階にある部屋の方で面接した方がいいんじゃないのかな?」と聞いてみたのだったが、「個室では物々しい感じになりますし、冒険者達だって余計な警戒なさるでしょう」とのシズネさんの意見で却下されてしまった。


 確かにそれは言われてみれば、納得できてしまうことだった。


 面接とはいえ、いきなり個室に二人っきりでは、例え相手が男だったとしても警戒されてしまう。それに採用現場であるレストランで面接するのには、ちゃんとした理由もあったのだ。


「どういった仕事をするのか?」など一連の動きを説明しながら、店の雰囲気を感じ取れるのでその方が効率が良いらしい。

 

 またいきなり長期的に雇うのではなく、とりあえず様子見としての雇用体系『トライアル』という感じにして、一週間ほど様子を見てから本採用することに決めた。

 それは雇う側である俺達はもちろんのこと、働く冒険者達にも配慮した形だ。


 ただの書類上と簡単な面接だけでは、冒険者の人となりや仕事ぶりを判断できないし、逆に冒険者達も「ちゃんと賃金は支払われるのか?」「長く続けられるのか?」などの判断をしてもらう絶好の機会となりえるだろう。

 身に勝る経験ほど説得力があるものはないわけなのだ。



「さて、っと。次は……『猫猫(にゃんにゃん)族』の男性の方のようですね。この方は薬草の採取だけでなく、古物の鑑定なども出来るようですね……」

「猫猫族か」


『猫猫族』とはその名のとおり、人の形をした猫の人……つまり亜人(あじん)である。

 決して中の人とかは存在しないので、あしからずに。


 基本的にこの世界での亜人とは、エルフや他の獣人(エルート)達の意味なども含まれており、その容姿は男性ならば獣人型、女性ならば人間に尖った耳やけもの耳、しっぽなどが付属されているビジュアルである。


 何故同じ亜人なのに男と女とでは、その容姿に違いが生じるのか? それはたぶん「ぶっちゃけ、女の子を投入するならば『美人』『美少女』の方が良くないか?」っと世界観や設定が自らの意思を持ち、読者達に配慮した形なのかもしれない。


「こんにちは。改めてお名前をよろしいですか?」

「俺様の名は『ウルフ』。見てのとおり一匹狼の紳士だ」

挿絵(By みてみん)


 その見た目は猫そのものであった。全体的に鼠色の毛並みに顔の中央やお腹の真ん中、それに手先やしっぽの先などが鮮やかな白色の毛並み、耳は猫らしくピンっと尖っており、頬には長いヒゲが左右に三本ずつ蓄えられ、ちゃんと二本足で立っている。

 そして緑色のもっさりとしたズボンに茶色と白が特徴の服を着込み、首元にはネクタイの代わりなのか、何かの葉っぱの装飾品を付けて俺様口調なのに自らを紳士と呼んでいる、ちょっとキザなヤツだった。


 またジャスミン同様に、茶色のショルダーバックを斜め掛けしてパイスラしていた。あれが商人達の間で流行っているスタイルなのだろうか?


「ここには『古物商』や『薬草』などの採取が得意と書いてありますが……」

「ああそうだ。俺様達、猫猫族は人間(ヒューマン)よりも幾分、鼻が利くようにできているからな。どんな微細な香りでも逃すことはない。それが例え森の中だろうと関係ないことさ。それに目の作り自体も違うから夜目だってが利くし、視力も良いから細かな点に気づきやすいってわけさ」


 少し誇らしげに胸を張るウルフ。普通ならば嫌味に聞こえるそれらも、何故だか納得させられる言葉の説得力があった。


「なるほど……確かに嗅覚に優れていれば、薬草なども簡単に見つけられるし、見分けるのも簡単そうですよね。ですが、それだけ優れていれば冒険者などという不安定な職業よりも、『鑑定士』などのちゃんとした職業に就こうとは思わなかったのですか? そこのところが疑問なのですが……」


 シズネさんは彼に聞いたことを洋紙に書きとめながら、その都度疑問に思ったことを聞いていて質問していく。


「ふん。それに俺様のようにいくら優れた能力を持っていても、亜人ではまともな(・・・・)職には就けないからな。せいぜい薬草なんかを採取する『薬草摘み』か店舗を持たない物の売り買いの『商人』、それに明日をも知れぬ『冒険者』で、危険な仕事ばかり宛がわられるのが関の山なのさ。こんなことは今更、貴女達に言わなくても知っていることではないのか? 違うか?」


 それは亜人達が自分の特技や能力を生かすことでしか、この世界において生きていけないことを指している。


 またこの世界では亜人などの存在が珍しくないとはいえ、その数は人間の比ではなかった。そして亜人達も人間の形をしているというのに、このような職業差別や種族差別は元より存在そのもの(・・・・・・)が人間よりも劣る存在として扱われているのである。


 よって権力のそのすべてを牛耳っているのもまた人間しかおらず、他種族においては人間の良いように使われるだけの存在と言えよう。


 人間とは自分達以上に優れた種族の存在を決して認めようとせず、またその『知恵』や『個体数』『繁殖能力の強さ』などを生かして、他種族を淘汰してしまうほど恐ろしい存在なのである。



 第193話へつづく

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