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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第7章 クランの設立と開業編

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第191話 新コンビの結成?

「こ、こんなところに俺達が悩まされていた『答え』があるなんて。マジかよ……」

「ええ、まさかまさか私達自身の手元にあるとは思いもしませんでした」

「ふっふっふっ。お二人とも驚きになられましたようですね。そうです、これこそ宝の山なんです! 人こそ、すべて……そこに集まる人材こそが『冒険者ギルド』及び『クラン』とっては、無くてはならない存在なんですよ!」


 俺は驚きの表情を浮かべると、アヤメさんが誇らしげに両手を挙げ熱く語っていた。

 さすがに熱く語りすぎたと感じて我に返ったのか、彼女は「こほん」っと可愛らしくもわざとらしい咳をすると、冷静な口調に戻りながら話を続けた。


「それに例え『困りごと』や『難問』が自分達の前に立ちはだかろうとも……その答えもまた、自分達の周りにしか存在し得ないのです。大切なのは『視点の切り替え』と『モノの考え方次第』なんですよ♪ それは自分達で気づく場合もありますが、他の人……つまり第三者の言葉がヒントになる場合もあります。これも当事者同士では気づけない点、あるいは気づかないであろう物事を外の人間ならば、臆することなく言えるからなんでしょうねぇ~」


 確かにアヤメさんの言うとおり、ちょっと視点を視点や考え方を変えただけで、先程まで頭を悩まされていたい従業員募集の問題がいとも容易く解決されてしまったのだ。


「それに自分達で考えるだけじゃなく、周りの声を聞くことも大切なことよね」

「ぅぅっ。そう……ですね。またその声を取り入れるのが大事……なのですね」


 アヤメさんの説明を補足するように少し誇らしげな顔をしているマリーがそんな一言を加えると、シズネさんは少しバツが悪そうな顔で頷き渋々ながらにそう納得していた。


「あのアヤメさんにマリー。あんまりウチのシズネさんをイジメないで欲しいんだけど……」


 俺がそんなシズネさんを見かね、おずおずと遠慮しながら二人にそんなお願いをする。

 一応俺だってシズネさんの夫なのだ、妻である彼女を庇いたくもなるものである。


「あっすみません。シズネさんの気持ちも考えないで……その、つい熱くなってしまい……」

「あら、別にアヤメが謝ることではないわ。それに私達はシズネのことをイジメているのではないのよ。これは先輩からのレクチャーよ、レクチャー。別にほら、その対価を求めるわけではないし……いーえ、対価なら既に十分もらったわよねぇ~♪」


 アヤメさんは誇らしそうに説明したことを頭を下げ、すまなそうに謝罪した。

 だが逆にマリーはレクチャーだと言い張りながらも、シズネさんの悔しそうな顔を見ると「してやったり♪」っといったようなニヤニヤとした笑みを浮かべていたのだ。


「マリーさん……貴女、今とても悪い顔をしていますよ。いえ、ぶっちゃけ顔が悪いです」

「ええ、ええ。そうでしょうそうでしょうとも……んっ? …………って私の、顔が悪い(・・・・)ってどういう意味よシズネっ!?」


 一瞬マリーは満足そうな笑みを浮かべたのだが、シズネさんのその言葉がどこかおかしいのだと気づくや否や、ノリツッコミを入れていた。


「ぷっ……ぷっははは……し、シズネさん……それはあんまりだよ……ね、アヤメさん?」

「は、はい……で、でも……『悪い顔』ではなくて、『顔が悪い』だなんて……それにお嬢様がノリツッコミを入れるとか……ふふっ」


 俺はまるで二人の漫才やコントでも見ているかのようで噴出して笑ってしまい、アヤメさんもマリーの手前口元を押さえながら、笑いを堪えていた。

 またシズネさんの落ち込み調子で、静かな口調なのに辛辣で的確なボソリっと言ったボケに対し、マリーが頷きからの間とノリツッコミがツボに入ってしまっていた。


「貴方達、いつまで笑っているつもりなのよ!! それにアヤメっ! 貴女までこの私を笑うだなんて……」

「はぁ~っ……マリーさん。それも仕方ないことですよ。アヤメさんでも笑ってしまう……それだけマリーさんの顔が悪いのです」

「ま、また……あっはははっ」

「し、シズネさん……ど、どうかそのへんで……ぶっふっ」


 ポンポン。シズネさんはまるでマリーを諭すかのように、首を左右に振りながら肩を軽く叩いた。

 加害者が被害者を慰め、諭す……逆にそれが面白くて俺もアヤメさんも更に笑ってしまう。


「貴方達ねぇ~。いくら温厚の私でもそろそろ……」

「コラーっ、キミ達! 先程から一体何を談笑しているのだ? ジャスミンが昼の賄い飯を作ってくれたのだぞ! 早く運ばないか!」


 ちょうどマリーが怒ろうとしたその矢先、タイミング悪くもアマネが賄い飯が出来たことを告げに来てしまった。


「……ですって♪ さぁマリーさんをからかうのはこの辺にして、食事を楽しみましょうかね♪」

「はぁーっ……もういいわよ」


 三度邪魔をされ、「もう興が殺がれて、これ以上怒るのも馬鹿馬鹿しくなったわよ……」っと何かを諦めたようにマリーが呟き、俺達は昼食の準備をすることに。


 そしてたくさん笑ったおかげなのか、今朝の暗かった気持ちがいつの間にか吹き飛び、頭を痛めていた従業員の問題も解決して、何の不安もなく心が軽くなっていた。

 人はやはり笑うこと、それが何よりも大切なことなのかもしれないと思うのだった……。

   

 

 第192話へつづく

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