表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第7章 クランの設立と開業編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

177/240

第175話 ランク付けの印と、愛らしいもきゅ子のお手手

「さて、今日からウチでも『クラン』を開くことにいたします。主な業務内容はギルド直営店の『冒険者ギルド』と一緒になります。皆さん既にご存知の事と思いますが、一応ワタシの方から改めて説明いたしますね!」


 そうして明くる日の朝、俺達の店でもクランを開くことになった。だがクランを開くと言っても、余分な開きスペースは一切無いので悪魔deレストラン(飲食店)と併設することになった。

 本来ならの冒険者ギルドならば『酒場』と併設するのが主体である。これは冒険をし終えた冒険者が報告と依頼報酬を受け取った後、そのまま酒場で一日の疲れを癒すと共に金を落とす仕組みからである。


 ま、尤もウチの店でもエールを提供しているわけだし、それに仕事をし終えた後に食事まで済ませることができるし、武具屋と道具屋を兼ね備えているので必要な物資も揃う。それと同時に宿屋まであるので、そのまま泊ることもできるので冒険者ギルドとの差別化を図ることができるわけだった。

 ……とは格好良くも説明したのだったが、ぶっちゃけただ単にウチの場合、独立した『クラン』の建物と人員を新たに割くことができないのが理由だけだった。


「それで依頼主からの『クエスト依頼』と冒険者からの『クエスト受注』、それらはすべてこちらのカウンターで行います。またウチで作成した依頼書などは、こちら側の空いている壁際にコルクを用いたボードを用意いたしましたので、ここに貼り付けるようにしてくださいね」


 シズネさんはそう説明しながら、新たに設置した今は何も無いコルクボードの前へと立ちながら説明を続けた。


「また依頼人にはこの『クエスト依頼書』に記入してもらい、そしてこちら側で内容が適正か否かを判断してからランク付けを行います。ま、ランク付け等々は完全にこちらの匙加減なんですがね。大体は依頼内容と依頼された期日に比例する形になるでしょう。これはおいおい依頼が増えてくれば基準ができることでしょう」


 シズネさんは事前に用意していたのか、一枚の紙を取り出すと俺達にそれを差し出してきた。そこには冒険者ギルドと同じく一番上にクエスト依頼書と書かれており、次に『依頼人の名前』『依頼内容』『報酬』『依頼期日』『その他備考』などの項目がしっかりと書かれていたのだった。


「その他備考については、まぁ注意事項と言いますか、依頼人からの一言だと考えていただければ良いかと思います。あっ、もちろんその際にはウチへの手数料をいただくようになりますので、そのままの報酬内容で『クエスト受注書』に書かないように気をつけてくださいね。そしてこちらがそのクエスト受注書になりますので……」


 そう言いながらシズネさんは先程とは別の一枚の用紙を手渡してくれる。そこには一番上に『クエスト受注書』と書かれ、先程のクエスト依頼書と同じ項目が書かれていた。違うのは一番下に『ランク』という項目が追加されたくらいだった。


「ちなみにその『ランク』って言うのは、冒険者ギルドと同じく☆にするつもりなの? 確か冒険者ギルドでは星が増えるごとに難易度が高くなるんだよね。簡単な依頼なら☆1つとか、一番難しいのは☆5つとかってさ」


 俺はランクの表示についてどうするのか疑問になり、シズネさんに質問する形で聞いてみることにした。☆の数表示だと誰にとっても判り易いのだが、そのままではただの真似事をしているだけになってしまう。


「あっ、そうですね……難易度によって数が増えるのだけは引用させてもらいましょうかね。あとは印ですよね。まさか冒険者ギルドと同じ☆を用いるわけにはいきませんものね」


 シズネさんが「うーん」っと腕を組みながら、ランクの印を何にすればいいのかと悩んでいる。


「もきゅ~っ」

「ふふっ。なんだもきゅ子、シズネさんの真似をしているのか? 本当にお前はカワイイやつだなぁ~」


 アマネは悩んでいるシズネさんの真似事をしているもきゅ子を見て、そんなことを言っていた。


「(ぼそりっ)なら、もきゅ子を使うのはどうだろう」

「えっ? もきゅ子ですか?」

「あっ、いや今のは単に独り言っつうか、あの……シズネさん?」 


 俺が何気なくポツリと呟いたことがシズネさんの耳にまで届いたのか、シズネさんは何かを考えるように悩めるもきゅ子を見つめていた。


「(じーっ)」

「も、もきゅっ!? きゅ~っ…………もきゅ!」


 シズネさんにじっと見つめられ、もきゅ子は驚きから「な、何見てるのっ? ぅぅ~っ……そんな見つめないでよ!」っとシズネさんに向けて右手を差し出すように挙げていた。


「あっ……そうです! そうですよ!! クエストの難易度を示すのにもきゅ子の手の形、つまり手形(・・)はどうでしょうかね?」

「もきゅ子の姿自体じゃなくて、『手形』をランク付けの印にするのか?」

「もきゅ~っ?」


 確かにイチイチ愛らしいもきゅ子の姿を書くのは面倒だ。またそれのスタンプを作るのにも当然の如く金がかかることになる。ならばっと、シズネさんはもきゅ子の愛らしいお手手をランク付けの印に応用しようと提案してきたのだった……。



 第176話へつづく 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ