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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第2章 そろそろ本編開始してみる?

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第15話 最初で最後の分岐路?

「(マジでシズネさんは、ギルドを乗っ取るつもりなのか? 果たして本当にそんなことが可能なのかよ……)」


 俺は荒唐無稽な話を聞き、不安の二文字を覚えてしまう。何故ならギルドはこの世界を裏から牛耳っている、いわば『影』のようなものなのだ。


挿絵(By みてみん)

 それを真正面からただレストランを経営するだけで……いや、それにプラスして実力行使でギルドを潰し、乗っ取ることができるのだろうか? そもそもアイツらだって、伊達にギルドを名乗っちゃいない。きっとカネにモノを言わせて、この店に直接私兵を送り込んでくるかも……いや下手をすると国に働きかけて、軍を送り込んでくるかもしれない。


 俺は次々と不安な考えが頭に浮かび、この場から早々に逃げ出すべきなのか、それとも仮とはいえ妻であるシズネさんの手助けをするのか、考えあぐねてしまっていた。


「……やはり、嫌ですかね?」

「えっ?」


 一瞬何を言われたのか、理解できずに聞き返してしまった。


「いえ、ワタシと共にギルドと戦うのが……です」

「それは……その……」


 シズネさんはいつもの軽い調子とは違い、俺の顔色を窺うような声でそう聞いてきた。それは自分の元から俺が離れてしまうかもしれないとの、彼女なりの不安の表れかもしれない。


「(どうする……シズネさんになんて答えたらいいんだよ? おい!)」

『シズネに対してなんと答えますか?』


『シズネの提案を受け入れ、共にギルドと立ち向かう』覇王建国ルート。これから先、幾度の困難が待ち構え、シズネと共に覇王への道に進むことになります。

『シズネの提案を拒絶する』日常ルート。この場でシズネの元を去り、また二度と会うことはないでしょう。そしてただ何事も起きない、元の生活へと戻ります。


「(チクショー。何でシリアスなときには、こんなまともな選択肢だけが出やがるんだよ……ってか、ちょいちょい補足説明で先の展開ネタバレしてるのはいいのかよ?)」


 俺は目の前に浮かび上がった選択肢の設問で心を乱され迷い、そして今考えてることを正直にシズネさんへと伝えることにした。


「実を言うとね……俺には判断がつかなくて迷ってるんだ。ギルドは悪かもしんないよ、それにシズネさんは元魔王様だもんね。もしかするとギルドを乗っ取れるかもしれない。でもさ、ほんとに俺達だけでそんな巨大な組織と対抗できるわけ? だってさ……」


 そう言いながら店の窓から覗く、今は文字通り潰されてしまったレストランを横目に見ながら言葉を続ける。


「確かに事故(ジズさん)のおかげで、目の前のレストランは潰れたけれども、ギルドはこの街の……いや、この世界にあるすべての業界すらも(・・・・・・・・・)牛耳ってるんだよ。それに国も国でギルドの言いなりだしさ。あとそれこそ、食料品店や輸送会社なんかもギルドの配下なんでしょ? ならきっとこのレストランにだって色んな妨害だってしてくるだろうし、それでもシズネさんには勝算があるって言うのか?」

「…………」


 図星なのか、シズネさんはただ無言のまま、その場に佇んでいた。


 どうやら反論の言葉すらも持ち合わせて……うん?


「シズネさん?」

「…………」


 無言どころか、一切反応が無い様子。これはもしや……俺はそう思い、彼女の目の前で手を振ってみた。だがしかし、目を開けているにも関わらず、一切の反応がなかった。


「シズネさん、ってばぁっ!!」


 俺は彼女の両肩を揺すり、叩き起こす。


「あっ、すみません。旦那様の補足説明文(文字数稼ぎ)があまりにも退屈すぎて、ついつい寝てしまいましたよ。ふぁあ~っ」


 シズネさんはそう言いながら、ワザとらしくとも口を少しだけ開け、右手をポンポンっと当てながら欠伸をしていた。


「この状況で寝るとかどんな……って、もきゅ子も寝て嫌がるし!?」

「もーきゅーっ。もーきゅーっ」


 俺の右脚がとても気に入ったのか、もきゅ子は規則正しく健やかな寝息と共に、まるでコアラのように抱きつき寝ていたのだ。


「ん~~っ、っと。それで何の話でしたっけ? ああ、私達がギルドに対して勝てるか、どうたらこうたら~って話でしたよね?」


 シズネさんは両手を組み返しながら、ん~っと気持ちよさそうな背伸びをして、これまでの話をまとめてた。


「……全然しっかりと話聞いてるんじゃねぇかよ」


 どうやら寝ていたというのは、彼女なりのジョークというか、場を和ませるためだったのかもしれない。……いや、俺自身がそうであると思い込みたいだけだった。


「そうですね~。ですが私の手元には、でも何でも解決できるという魔法のハンマーが装備されているので大丈夫です!」

「ま、魔法のハンマーぁ~っ?」


 俺は聞き無いないその単語に、思わず眉を(ひそ)(いぶか)しげな表情をしてしまうのだった……。



 次話までにその魔法のハンマーの概要を考えつつ、お話は第16話へつづく

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