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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第164話 開店の準備が整った二つの店と店名表示の義務感

「これならもう立派な武具屋に見えるよなぁ~」

「そうさね。アンタが手伝ってくれたおかげで早く片付いちまったよ」


 そこは一階のジャスミンの道具屋とは違い、そこは簡素で狭い店内ながらも武器と防具が揃う立派な『武具屋』へと早代わりしていた。


<武器屋&防具屋『凶器と狂気が入り乱れる(いこ)いの場:のんびり亭』>

挿絵(By みてみん)

「いやぁ~、首尾よく店の名前も勝手に(・・・)決まっちまったし、こりゃ~幸先が良いってもんさねぇ~。おや、アンタなんて顔してんだい? そんなしかめっ面しちまってさぁ~?」

「…………」

(しかめっ面の一つや二つしたくもなるってもんだろうよ。何せまだ名前について話振ってもいねえにも関わらず、勝手に決められてんだぞ。しかも何だよ、『凶器と狂気が入り乱れる憩いの場』ってのは? なに憩ってんだよ。もう前後で矛盾がしまくりじゃねぇか)


 俺は店の名前が勝手に表示されたことも然ることながら、その名前についてツッコミを入れてしまうのだった。


「これであたいも、武具屋『のんびり亭』の主になったさねっ!!」

「…………」


 ……何か知らないが、アリッサは店が完成した喜びに打ち震えているようだ。まぁ確かに昨日何も無かったどころか、埃が積もっている部屋が今は綺麗様変わりしているのだ、しかもそれが自分の店へと……俺だって今のアリッサの喜びが解からないわけじゃ~ない。

 だがそれでも今に至っても疑問なことは疑問として心の中に残っているのも確かである。


「……俺、一階の方手伝ってくるわ」

「ああ、そうかい? 悪いねぇ~、こんな手伝ってもらっちまってさ。……ありがとよ♪」


 もうここでの俺の手伝いは終わったと悟ると断りを入れ、今度はジャスミンの店を手伝いに向かうことにした。

 その去り際、アリッサから感謝の言葉を述べられた俺は、後ろ手に右手を挙げることでそれに応えるのだった。



 トントントン……。リズム駆るに階段を降りたつもりは毛頭無いつもりだったが、一様にそんな音が足元から奏でられてしまう。

 そして一階の道具屋が見えると、そこは先程とは見違えるような光景になっていた。


「お~~っ。こりゃ、すげぇなぁ~」


 その道具屋らしい店内の光景に俺は思わず、感嘆の声を漏らしてしまった。

 そこはまさに誰がどう見ても『道具屋』だったのだ。


<置いてないものは無い!! すべてが揃う死の商人の館『道具屋:マリー』>

挿絵(By みてみん)

「…………」

(だから誰なんだよ、そのマリーってのは!? あのギルド長でツンデレ金髪ワンピース娘『マリー』のことなのか!? ……いや、そもそもココはアイツの店じゃねぇだろ!? まぁ確かに間借りというか、借りてはいるけれども……むしろここは普通『ジャスミン』とか、『ライラック』って名前が店名として付くはずだろ? 何で別人の名前付けていやがるんだよ……)


 またもや勝手に……とはいざ知らず、俺が一階部分へと降り立つとほぼ同時に上の方にそのような表示がなされ、嫌がおうにもツッコミせざろうえない状況に追い込まれてしまう。

 たぶん上もそうだと思うが、毎回毎回店へと足を踏み入れる度、上部にそのような表示がなされる仕組みなんだと思う。


「あっ、お兄さんだぁ~。上のアリッサのお店はもう準備終わったの?」

「……ああ、なんとか……な」


 俺の姿を見つけたジャスミンはいつもの調子と笑顔を向けて「二階はもういいの?」と、自分の仕事を止めて声をかけてきてくれた。


「うにゃ? お兄さん……何かあったの? 何だか元気無いように見えるけど……」


 度重なるツッコミのしすぎと手伝いからの疲労感から反応が薄くなっていたのだが、ジャスミンはそれを「何かあったのかな?」っと心配してくれている。


「(ジャスミンって、ほんと良い子だよなぁ。その笑顔見てると、こっちまで悩んでいるのが馬鹿らしく思えちまうもん。……まぁ俺よりも年上のお姉さんなんだけどさ)」


 さすがにこのままジャスミンに要らぬ心配をさせるのもアレだと思い、それっぽい言い訳をする。


「ちと、疲れちまってな。にしても、上も様変わりしちまったけれど、こっち凄えぇことになってんな!」


 俺は「疲れからそう見えるんだろう……」と前置きしてから話をすり替えようと、ややオーバーリアクション気味に声を大きくしながら驚いてみせた。


「にゃははっ。まぁ元々道具屋だったって話だからね、模様替えというか、アヤメさんが持ってきてくれたものを上手く活用して装飾してみたんだ♪ どう? それっぽい感じに仕上がってるでしょ?」

「ああ、こりゃどこからどう見ようが『道具屋』以外の何物にも見えねぇわ」


 今朝まではただの床板だったのに今は床一面にモフモフの毛皮や絨毯などが敷かれ、アヤメさんが持ってきてくれた備品棚は商品を置く商品棚へと早変わりして所狭しと様々な商品が置かれていた。

 そしてカウンター横には『月見草(つきみそう)』なのか、白い花が優しげな光を放ちながら飾られている。


「おっ! あれって月見草か? 珍しいなぁ~。これもアヤメさんが持ってきてくれたのか?」

「うん! 『夜、月を見るのに役立つ草』だから月見草。これがあれば営業が終わって灯りを落としても、ずっと光っててくれるから防犯になるだろうからって……。あと見た目も綺麗だしねぇ~」


 月見草には『魔素(エール)』と呼ばれる魔力が微量ながら含まれており、それで光を放っていると聞いたことがあった。灯りが無い昔はこれを頼りに夜道を歩いたりしていたとか。

 一体どんな原理で魔素が溜まって光ってるのかは不明だが、例えその原理を知らなくても生活の役立つことには変わらない。



 ぶっちゃけその原理とやらが思いつかなかっただけなので……とは思っても言わずに、お話は第165話へつづく

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