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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第145話 新品と中古品の何たるかとカッパだ?

「棚貸し、まぁ委託販売なんてそもそもしてくれるところがあるのかよ……あっ!」


 俺はそこで思い当たる節があることに気づいてしまったのだ。 


「ふふっ。ようやくアンタも気づいたのかい? そうさね、アンタんとこのお嬢ちゃんが上手い具合に話をつけてくれたみたいでさ。ま、その分手数料とか請求されちまったけど、それも出世払いってことにしたのさね」


 アリッサは少し自慢げだったのだが、自らお嬢ちゃん……つまりシズネさんの話になると不満なのか、少しつまらなそうな顔でそう説明してくれた。要はいつもの如く、である。きっとシズネさんがマリーに対して「今度、ウチで武具屋を始めるのですよ。ですからそっちで商品融通してくださいな♪」とか軽い感じで頼んだに違いない。俺はマリーの額にピキピキと青筋が張り巡らされ、今にもキレそうな顔を思い浮かべてしまい苦笑いをしてしまうのだった。


「ははっ。じゃあ商品については何も問題ないってことなんだな。でも商品を飾る棚とかはどうするんだ……あっいや……それもマリーってか、アヤメさんあたりが手配してくれるか」


 俺はアリッサに続けて尋ねようとしたのだったが、その途中自ら自己完結するようにそう呟くとアリッサは「そういうことさね」と一言告げるだけだった。つまり武具屋の商品や備品についてはギルド側、マリーやアヤメさんに全部丸投げする形なわけである。「それでいいのかよ……」などとご都合主義に疑問を呈そうにも、既に身をもって無意味だと知っているのでそのまま口を(つむぐ)むことにする。


「ま、あたいのとこは商品をただ売るなんて普通(・・)の商売だけじゃないんだよ!」

「はっ? えっ? じゃあ他に何があるって言うんだよ? 普通、店屋って物を売るだけだろ?」


 俺は一瞬アリッサが何を言ってるのか理解できなかった。店屋は品物を売る。これはレストランや宿屋の用に商品の形が無くとも、『目に見えないサービス』といった形のれっきとした商品なのだ。それが普通の商売である。なのになのに……である。アリッサはそれ以外にも何かをしようと考えているらしい。


「ふふん♪ まぁ……ね。でもあたいは商品を客に売るだけじゃなく、客からも商品を買い入れるつもりなんだよ」

「んんっ? それって客とも『商い』をするってことなのか? でもそれは武具屋としては……普通、だよな?」


 そう武具屋において、商品がすべて新品である必要性はないのだ。これが食べ物や消費アイテムの薬草などだったら、新品というか食べ残しや使い古し、腐ったものなんてものは論外となるのだが、武具だけは別なのである。


 武器も防具も消耗品であり、それぞれ耐久性・消耗率というものがある。これは使うことでも減るし、年数経過による劣化も含まれる。剣は刃が欠ければ切れ味が落ち価値が下がるし、鎧にヒビや傷があれば当然防御力が落ちるまたは防具の意味を成さないかもしれないので、その価値は大幅に下がることになるわけだ。


「なら、常に新品を買えばいいのでは?」と思われるだろうが、新品の武具とは値が張るものである。それも想像よりもずっと高い。よって冒険者皆が皆、新品の武器や防具を買うことができずに他の冒険者から使わなくなった古い装備貧を貰い受けたり、性能が落ちる中古品を買って、どうにか上手い具合に使いこなして日々ダンジョンでの冒険を凌いでいるわけなのだ。


 また新品を買える者は今自分が装備している品が不要になるので、そのままその買った店で買取、つまり下取りしてもらうことがある。これは使わない装備を持っていると荷物になるかという面もあるのだが、売ることにより少しでも金にするという心理が働いているのだろう。かくゆう俺も冒険者だった頃には、そうして少しずつ自分が身に付ける装備や服を良くしようとしていたものだ。


 だから武具屋において中古の販売、そして客の持ち物を買い入れるということは普通のことなのである。



「そんなことはあたいだって知ってるよ。アンタ、何長々と説明してるのさね? あたいがしようってのは『caparra(カッパーラ)』さね!」

「カッパ……だ?」


 俺はいきなりアリッサがカッパの話をしてきて「何言ってんだコイツは?」という表情をしてしまっていた。


「(そもそもカッパってなんだよ? 想像上の生き物? 雨の日に被るやつ? それとも別の何かなのか???)」


 俺はとても混乱していた。まさか生き物の話じゃないだろうし、雨も降ってやしない。だとすると……そんなことを思い考えていると、アリッサが飽きれたようにこう言葉を口にした。


「カッパじゃないさね!! caparra(カッパーラ)! まぁ略すと『CPR(カパラ)』ってんだけどね。何かい、こっちじゃ聞いたことないのかい!?」


 アリッサは少し怒りながら俺が間違った言葉を訂正したきたが、そもそも俺がそのカパラだかを知らないと知ると驚きの表情を浮かべるのだった。


「あ……うん。そんな言葉初めて聞いたよ。そのカパラってのは何なんだよ、アリッサ。武具屋に関係あるのかよ?」


 俺は説明するようにアリッサに尋ねるのだった……。



 果たしてそのcaparra(カッパーラ)とは何なのか? そんな疑問を残しながらも、お話は第146話へつづく

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