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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第127話 無賃金強制労働も子供の遊びの延長線上

「ぬほほほほほぉ~っ♪」

「もきゅ~~~~~っ♪」


 突如としてドアを開け放ち入ってきたのは、なんとサタナキアさんともきゅ子だった。空中に浮遊して移動するサタナキアさんの柄の部分にもきゅ子が掴まり、楽しげにそのまま二階にある部屋へと駆け上ってしまう。


 それを見ていた俺達と改築工事をしていた山賊さん達もぽか~んとした感じで、ただ呆然と見守ることしかできなかった。ってか、マジでシズネさんの指示どおり音一切出さずに仕事してたんだな。


「ね、ねぇ……まさかアレじゃないわよね?」

「もしアレなら、なんとも言葉に出来ないさね……」


 そして今し方の光景を目の当たりにしたアリアとアリッサはギギギーッっと、油の切れた機械のように俺の方を向きそう質問を投げかけてくる。


「…………ああ、アレだよ」


 俺が唯一口にできるのはそんな肯定する言葉だけだった。

 さすがの俺でもちょうどタイミングよく、あんなコミカルな登場の仕方をするとは思わなかった。誰がどう見ても、ふざけているとしか思えないだろう。


「……残念ながら、アレなのですよ」

「シズネさん……いや、何でそれを俺の肩叩いて言うのさ? 諭す対象、間違ってるよ」

「あっ、すみません……つい」


 ぽんぽん。シズネさんはまるで俺が質問したかのように肩を二回ほど叩き、諦めるように首を左右に振る。だがしかし、何故かそれをアリア達ではなく俺にしたのだろうか? 彼女なりのボケなのだろうか? まぁでも指摘したら謝ってくれたからいいけどね。


「ま、まぁ確かに剣が何か叫びながら浮遊して動いていたわね」

「ああ、それに何かしがみ付いていなかったかい? まるでありゃ~、ドラゴンの子供みたいな感じだったけれど……」


 どうやらアリア達は信じられないとは思っても、実際目の当たりにしたことで真実であるとどうにか納得したのかもしれない。


「ま、まぁ……サタナキアさんだしねぇ~。ね、お兄さん?」

「ははっ。そ、そうだな。ジャスミンじゃねぇけどさ、それが一番しっくり来る説明だしなぁ。あっ、それとさっきの赤いドラゴンの子供は『もきゅ子』ってウチで預かってるんだわ。ね、シズネさん?」

「何で二人共、最後疑問系なのか分からないけど……アレ見ちゃったら、もう認めるしかないわよねぇ~」

「そうさね。世の中不思議なことばっかりさ」


 ジャスミンと俺は「サタナキアさんなので……」と強引な理論のアリア達に延べどうにかこうにか納得させる。


「そんなに興味があるのなら、二人を呼んでみましょうか? おーい、サナぁ~、もきゅ子ぉ~」


 誰もそんなことを頼んでいないのにシズネさんは何故だか大声を張り上げて二人の名前を叫び、召喚しようとしていた。


「ファ~ン♪ ファ~ン♪ なんじゃ、なんなのじゃ? そのように声を張り上げて(わらわ)達を呼びよってからに」

「もきゅ~?」


 そんな呼び寄せに応えるよう、先程と同じように浮遊ししがみ付きながらゆっくりと二人が二階から降りて来た。 


「……(ボソリッ)普通に来ちゃったよ」


 俺はまさかシズネさんが呼ぶとは思わず、そして呼んだからと言って普通に降りてくるとは思わなかったので、ボソリッとした小声で本音を漏らしてしまう。


「いえね、お二人に新しいウチの仲間を紹介しようと思いまして、それで呼んだのですよ」


 シズネさんは呼んだ理由を告げると、二人もコチラのテーブルへと招いた。

 そしてファ~ン♪ ファ~ン♪ とサタナキアさんお得意の浮遊音を奏でながら、ゆっくりとテーブル席へと着席した。


「お~っ! 新しい奴隷仲間なのかぇ? 確かに見たことのないのがおるのぉ~」

「もきゅ~!」

「えっ? えっ? ど、奴隷仲間?」

「……アンタら、奴隷なのかい?」


 サタナキアさんが明け透けも無く、そんなことを言うとアリアとアリッサも「奴隷」という言葉に引っ掛かりをみせると同時に、俺とシズネさんの方を向いてきた。

 それはまるで「今の話、本当なの?」といった驚いた表情である。


「あっ、いや……まぁ……そのぉ~……」


 俺自身も「その件だとその奴隷仲間の一味だよなぁ~」と少し怪訝そうな顔を浮かべながら、「どうなのシズネさん?」といった感じで妻であるシズネさんの方を向いてしまう。


「こほん。いえいえ、何やらお二人とも大きな誤解をしているようですが、それは一種の遊びです遊び。ほら、よく子供の頃は「勇者だ魔王だ社畜だ」な~んて役割を決めた遊びしましたよね? あれと一緒一緒♪」

「あ~……確かに子供の頃ってそんなことをしていたかもね~」

「そうさね。あたいもそれで海賊になったようなものさね」


「ええ、ええ。それの大人になったバージョンで、しかも賃金が一切発生せずに働かされる役割の総称なんですよ~」

「ああ……そう、なのね。それならまぁ……」

「そう言われると……なんだか、妙に納得しちまうね」


 シズネさんは訳の分からない理論を持ち出して「子供の遊びがそのまま大人になっても移行しただけだから……」とクソみたいな説明で二人を納得させていた。


「(騙されてる。アリアとアリッサ、お前らシズネさんの良い様に騙されてんぞ。本当にいいのか、これで? また新たな無賃金労働者(犠牲者)が増えちまっただけなんだぞ……)」


 俺は新たな奴隷仲間を得て、以前よりも安心どころか逆に不安を増すだけだった……。



 資本主義の本質を解きながらも、楽しめる……それが悪レス! などと訳分からないことを述べつつ、お話は第128話へつづく

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