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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第126話 それは果たして『夢』か『現実』か……

「あっ、そういえば……ウチには『呪いのアイテム』がありましたよ!」

「「「「えっ!?」」」」


 シズネさんは思い出したかのように突如としてそんなことを言い始め、俺以下ジャスミン達も驚きの声と共にシズネさんの方を向いてしまう。


「う、ウチにそんなのあったっけ、シズネさん?」

「あら、旦那様はご存知ないのですか? 変ですね~、毎日会っている(・・・・・)というのに……」

「毎日会ってる……俺が? それって……ま、まさか……」

「ええ、そのま・さ・かですよ♪」


 そこまで振られて俺は気づいちゃいけないことに気づいてしまった。そんな察した俺を見て取り、シズネさんは「ニヤリ♪」とした笑みを浮かべ勿体付けていた。


「うん? お兄さんは何か心当たりあるの? 知ってるジャスミン?」

「うんんっ。ボクは知らないけど……」

「そうさね。あんたらだけで納得してんじゃないよ! あたいらにもちゃ~んと説明おし!」

 

 アリア達は一様に「説明を早くしろっ!」と言った感じで俺に話を続きを促した。俺は落ち着くよう両手を広げて突き出しながら、こう答えた。


「た、たぶんシズネさんが言ったアイテムって、ウチの『聖剣フラガラッハ』に封印されてる魔神サタナキアさんのことだと思うんだ」

「「魔神サタナキアぁ~っ?」」

「あっ、そっか……」


 俺がサタナキアさんについてを口にすると、アリアとアリッサは声を揃えて驚いていた。だがジャスミンだけは心当たりがある……と言った感じで納得していた。


「お兄さん、ま、魔神って何よ、それ? それに聖剣ってのは一体……」

「そうさね、そうさね。ちゃんと一から説明してくれなきゃあたい達には分からんさね!」

「え、え~っと、だな。つまり……」


 俺は二人に詰め寄られ、勇者であるアマネのこと、そして魔王を唯一倒せる存在の聖剣フラガラッハ、そして剣身に封印されし魔神サタナキアさんについてを簡単に説明した。

  

「う~ん、人の言葉を喋る剣かぁ~……なんだか俄かには信じられない話よねぇ~。それに魔王を倒せる唯一の剣がレストランにあるのもちょっと……」

「そうさね~、それに魔神とやらが封印されているだなんて、ちょっと可笑しな話だしね。実際ソイツをお目にかかれば、ちったぁ違うんだろうけれど……」


 どうやら二人とも俺の話だけでは半信半疑のようだ。


「にゃははっ。まぁアリアが信じられないってのも納得できるけれども、実際サタナキアさんを見れば驚くよ! 何せ空中に浮遊しているんだよ!」

「えっ? 空まで飛ぶの? ……剣が?」

「いやいや、空飛んで何してんのさね、その魔神とやらは? 余計胡散臭さが増した感じだよ、そりゃ」


 ジャスミンの言葉でさえもアリア達は信用しないどころか、「ジャスミン、貴女大丈夫なの?」などと額に手を当て心配されてしまっていた。


「まぁ……普通はそう思うよな。説明している俺でさえ、物語というか本の中の出来事みたいに感じちまうもん。でもな、ほんとなんだぜ」


 アリア達が信用しないのにも俺には嫌というほどに理解できた。実際シズネさん達に出逢わずに、そんな話を聞かされたら俺だって絶対信じようとしないだろう。

 今でさえも、何で名も無いどころかキャラ設定すらなかった俺がシズネさん達とこうして一緒にいるのか、そしてどうして選ばれたのか理解できなかったのだ。


 ……いや、シズネさん最初に「ワタシの引き立て役に俺を選んだ」とか言ってたかもしれない。だがそれだけでは説明出来ないほど良い目にあい過ぎているのだ。

 シズネさん、マリー、アヤメさんと仮とはいえ夫婦(?)になったり、アヤメさんやアマネとラブなことをしたりと考えられないほど幸運すぎるのだ。


 極偶にだが、俺は「今この瞬間、夢の中の出来事なのではないか?」そういう風に思ってしまう時がある。

 もしかすると俺は未だ一人で毎日ただただ何の目標もなく惰性に生き、何ら刺激が無いつまらない人生を送りながら、冷たいベットの上で今も寝ているのではないか? これ自体夢なのではないか? もしもこれが夢ならば、この夢から醒めてしまったら……そう思うと毎朝起きるのが怖くてたまらない。


 だからこそ今のシズネさん達との楽しい時間がかけがえのないモノだと感じるし、それと同時にそれを失うのが今は何よりも怖いと感じてしまっている。

 昔、俺が一人だった頃には考えられない感情かもしれない。家族も身寄りも、友達すらもいなく、孤独であるとすらも感じられないほどに冷え切った心。だがそれもシズネさんと出会ったことで一変してしまい、今は一人だった頃が遥か遠い過去のように思えてしまう。


 確かにシズネさんとの出会ってからは色々な苦労もした。料理もできないのに料理を作ったり、何もしていないのに理不尽にもモーニングスターでぶん殴られたり、人としての尊厳(プライド)をこれでもかっ! と踏みにじられたり……あれ? わりと俺ってば、酷い目遭いすぎじゃねぇか?

 ま、まぁそれでも毎日何かしらの出来事があって賑やかで楽しいし、刺激ある毎日を送っているのは事実だった。もしそれを一言で言い表すとならば『楽しい』だろう。


 だがいつの日にか……この楽しい毎日に終わるが来るのだろうか? そのとき俺は、シズネさんは一体何をしている……


 カランカラン♪ ちょうどそのとき、玄関ドアのベルが鳴らされ来訪者の訪れを告げると同時に、俺の回想はそこで途切れてしまうのだった……。


 

 第127話へつづく

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