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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第116話 かき分ける肉の壁の果てにあるものとは一体……

「おっ! これは珍しい物だな。ちょいとここいらじゃお目にかかれない工芸品だよな?」

「お兄さんそれはね、ここから西南にある街の『クジャータ』って所の工芸品で。この辺りには無い……」


 そうして俺達はジャスミンと共に出店を見て回ることにした。さすがは西方から来た商人である、どの品物についても詳しく下手をすればそこの店主よりも説明できるほどだった。

 だがその事について褒めると「これくらいは普通だよ~。じゃないと仕入れる際に騙されるし、お客さんに物を売る時にも必要な知識だもんね!」っと軽くあしらわれてしまった。


「ふ~ん。じゃあジャスミンはあんまりお店の形式というか、販売方法についてはあまりこだわりがないんだな」

「うん! あくまでボクの夢は大商人になることだから、最初がこうしたお店……露店やリヤカーだろうと何でも良かったんだ。あっ、でもでもシズネさんから隣の建物を貸してもらうって話は、ボクにとってもありがたい話だから誤解しないでね!」


 そして何時しか、話はジャスミンの商売の話になっていた。今はまだジャスミンにレストランの調理を頼み、互いに共通の仕事をしているので話が自然とそちらにいってしまう。人間互いに何かしらの『共通の話題』があると、盛り上がってしまうものである。俺達にはそれが『共通の仕事』と言うだけだった。


「ふふっ。ワタシ達の方こそ、ジャスミンが来てくれたおかげで大いに助かってますよ。だからそのように取り繕わなくても大丈夫ですのですよ」

「にゃははっ。ありがとう、シズネさん♪」


 慌てるジャスミンが微笑ましいのか、シズネさんは「ワタシ達こそ、貴女には助けられています」っと感謝の言葉を述べ、これ以上萎縮しないように語りかけるとジャスミンも笑顔でシズネさんに応えていた。


「アンタ、あたいに喧嘩売ってるのかい!!」

「「ガヤガヤ、ガヤガヤ。ガヤガヤ、ガヤガヤ」」」

 

 見ると前方で何やら人だかりができて、騒がしくともガヤっていた。たぶん昔の俺と一緒で名も無きモブキャラのみんなは出番が欲しくて、こうしたその他大勢の『ガヤ役』としてそこに活躍の場を見出しているのかもしれない。俺もシズネさんに出逢わなければ、そこに参加していたことだろう。


「何かあったのでしょうかね? 旦那様、ジャスミン!」

「ああ!」

「うん!」


 俺達は「何事があったのか?」っと示し合わせた様に頷いてそこへと急ぐことにした。

 そして人がゴミのように肉の壁として立ちはだかるのをかき分け押し退けると、そのまま勢い余りその騒ぎがある場所の中心へと躍り出てしまう。


「うわっとと! あっ……こ、これは一体……」


挿絵(By みてみん)

 どうやらこのビッチビチの格好をしたお姉さんが先程の怒鳴り声の主みたいだ。見れば店主らしき丸々と太った男の襟首を掴み、締め上げている最中のようだ。もしかしてカツアゲでもしているのだろうか?


 そのお姉さんは赤が特徴のマントにスカーフ、程よい大きさの胸には下着など無粋なものは一切着けずに皮のベルトのようなもので上部だけを支え、そして海賊が被るようなパリっとした大きめの黒帽子と厚ぼったいこれまた黒のブーツ、肩に触れる程度に長い金髪のサラサラヘアーにエメラルド色の瞳、そして何よりも一番の特徴は右腕から右手までを覆う皮の手袋と共に握り締めている大きく反り返った形が特徴の剣だった。あれは……サーベルと呼ばれる武器だったと思う。一見どころか、二見三見しようとも、誰がどう見ても強気ビッチ風の海賊お姉さんである。


「なんだい、アンタ? アンタもコイツの仲間なのかい?」

「えっ? いや……別に俺は……」


 そして突然現れた俺に対してそのお姉さんは「アンタもコイツの餌食になりたいのか!」などと、サーベルを横へと向けキラっと光を反射させて俺に興味を示していた。

 俺はいきなりの展開に対応しきれず助けを求めるよう周りを見渡すと、一緒にいたはずのシズネさんとジャスミンの姿が何故だか無かったのだ。更には野次馬である肉の壁(ミートテック)共にも視線を差し向けても、みんな揃いも揃って明後日の方を向いてしまい、助けを懇願する俺の視線から示し合わせたかのように逃れてしまう。


「ふん!」

「ぐはっ……きゅ~」


 そしてそのお姉さんは締め上げていた脂肪の塊(ファットマン)に興味をなくしたのか、突き放すように突き押すと店主はそのまま後ろから地面にパタリっと倒れてしまう。

 

 カッカッカッ……。標的(ターゲット)を俺へと移したのか、お姉さんがゆっくりと歩み寄ってくる。一体これから何をされるか分からないまま、俺は逃げ道を探すため首を千切れんばかりの勢いで左右へと振る。だが生憎と人だかりのため、それが壁となり逃げ道すらもまったく無い状態。


「(ど、どうする……俺はどうしたらいいんだ……)」

『…………』


 だがしかし選択肢も表示されないまま、その時を迎えてしまうのだった……。



 何故お姉さんは主人公に興味を示したのだろうか? それを今から次話執筆までに思いつくことを祈りつつ、お話は第117話へつづく

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