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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第102話 ぶっちゃけ名称は適当。凡ミスなクリティカルヒット

「ふむ。確かに今まで味わったことの無い飲み物だな! ちなみになんだが、ジャスミンよ。これは『カフェラ~テ』が正式名称のなのか、それとも『カフェラテ』なのか? またそもそも『コーヒー』なるものとは一体何が違うと言うのだ? 何だか先程から色々な名前が多くて混乱してしまうぞ!」


 アマネはその美味しさよりも、名称が気になっている様子である。確かに同じ飲み物だというのに、いくつも名前がありアマネでさえ混乱してしまうのも頷ける。


「う~ん。ま、ぶっちゃけ間のニョロニョロ~は無くてもいいかな。ボクがふざけてみただけだもん(笑) それにこれは『コーヒー』とは違うかな。ミルクを入れる割合によっても名称が変わったりするからね。そもそも『ラテ』ってのは牛乳(ミルク)って意味なんだよ。これは温めた牛乳の割合がかなり多いから『カフェラテ』が正式なのかなぁ~。ま、呼び名が違うだけだから、ただ単に気取ってるだけなんだけどね♪」


 そんなアマネの疑問に対しジャスミンは臆することも無く、「別に呼びたいように呼べばいいじゃんか♪」などと軽い調子で受け答えた。


「いやいや、ジャスミンふざけてたのかよ!? ってか、そんな適当な答えで本当にいいわけ? しかも色々な名称出した挙句、本当はただ気取りたかっただけってオチ(・・)なのかよ!? それは一番やっちゃいけないことなんだぞ! あと仮にそう思ったとしても、口に出すんじゃねぇよ!!」


 俺はアマネの代わりだと言わんばかりに、ジャスミンに対してツッコミを入れてしまった。というか、あまりにもツッコミ処が満載すぎて、もはやスナップを利かせツッコミをする右の手首が疲労骨折しそうになっていた。きっと普段からツッコミをしているため、知らず知らずの内にダメージが蓄積していたのかもしれない。


「(まぁ、まだ辛うじて左手だけは無事に残ってるから、ツッコミには事欠かないんだけどさ。それでも利き手が痛いのは確かだわ)」


 俺はツッコミ民族としての誇りを再確認すると同時に立ち位置を変えることにより、左手の出番を増やすことに努める。


「はははっ。ま、名称なんてものは得てしてそのようなものですよ。例えば『旦那様』と『旦那summer(サマー)』なんてものは、公然とした親戚みたいなものですしね! 単に文字が違うってくらいの些細な問題ですよ(笑)」

「いや、それ呼び方同じでも意味が全然違う上に、全然意味通じないからね。大体どこら辺が公然なんだよ? 俺の名前のミスマッチは誰か公認の立場だったのか?」


 シズネさんもジャスミンのそれに(なら)い適当な言葉をくっちゃべり、俺の名前で遊び始めると「アニメ化しちまえば、文字の違いなんて些細な問題は消失(レジスト)されますからね(笑)」っと誤魔化しに走っていた。ま、確かに呼び方だけで見れば同じに……いや、伸ばし棒入ってるから呼び方も、アクセントも全然違うんじゃねぇのか? まぁそこいらはアニメ化した際、声優さん(中の人)に任せることにしよう。今当面の問題は俺達、外の人の立場が懸念材料であろう。



「旦那様はほんっとに細かい性格していますよね! もうこれからは『旦那ぁ~様』などと無意味にニョロニョロをぶち込みながら毎回呼んで、文字数稼ぎに貢献させちゃいますよ」

「そっかーっ。なら、ボクの場合は『お~っ兄さん』って呼びになっちゃうのかな? なんだか面倒だなぁ~」

「……いや、だからさ、てめえら俺の名前呼び名にニョロニョロ付けたして遊ぶんじゃねぇよ。毎回そんな呼び方されたら、こっちが戸惑いながら対応に困るわ!」


 シズネさんもジャスミンも悪ノリしているのか、俺の名前と名前の間にニョロニョロを入れて文字数稼ぎとやらに貢献しまくっている。俺もそれにツッコミながら例に倣って貢献する。もちろんツッコミをするのは左手オンリーである。


「ふむーっ。ならば私は『カフェラテ』と呼ぶことにするぞ!」

「いや、アマネよ。この流れで何普通に最初の会話続けようとしてんだよ。お前、無敵なのか?」


 アマネは何をトチ狂ったのか、今までの流れを断ち切るように『カフェラテ』と普通に呼ぶことを宣言したのだった。この空気の読めなさはある意味で『無敵』とも言えよう。


「ごくごく……もきゅ~っ♪」

「ほぉほぉほぉっ。(わらわ)ももきゅ子も、大層この飲み物を気に入ったぞ。ジャスミンよ、褒めてつかわす!」

「ははーっ。ありがたきしあわ……いや、これは俺のセリフじゃなかったわ」


 もきゅ子とサタナキアさんも、このカフェラテなるものが気に入ったのか、とても偉そうに作ってくれたジャスミンに感謝の意を示していた。だが常に臨戦態勢で生態系最下層の平伏感を生業とするこの俺が誤って、その偉そうな文言に反応してしまい、ジャスミンのセリフを奪う形となってしまった。


「にゃははははは~っ♪ お兄さんってほんと面白い人なんだね! ボクのセリフ取っちゃうとかさ、ほんと普通じゃとても真似できないよ~(笑)」

「ぅぅっ(照)」


 ジャスミンが盛大に笑い、俺は恥ずかしさからちょっとだけ顔が俯いてしまう。まさかセリフを履き違える凡ミスをしてしまうなどとは夢にも思わなかったのだ。


「旦那様……」

「な、なにさシズネさん?」

「きっと旦那様はお疲れなんですよ。少し休めば元に戻りますって♪」

「い、今のそんな優しい眼差しと慰め感は俺の心を容赦なく抉り取るから、マジでやめてくれよシズネさん」


 ポンポン♪ っと窓際族のリストラ感満載で、満面の笑みと哀れみの眼差しを兼ね備えたシズネさんから左肩を叩かれ、俺のライフゲージは赤色赤文字表示どころか、既にその枠表示すらも存在消失してしまっていたのだった……。


 

 窓際族の成れの果てになりつつも、カフェラテで体力回復を図りつつ、お話は第103話へつづく

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