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元冒険者と元魔王様が営む三ツ星☆☆☆(トリプルスター)SSSランクのお店『悪魔deレストラン』~レストラン経営で世界を統治せよ!~  作者: 雪乃兎姫
第6章 ~経営指南編~

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第100話 焼き菓子ついでのティータイム準備。

「これは『アップルパイ』と言う焼き菓子なのですか? いやはや、なんとも美味しそうな見た目に名前がマッチしていますね! もしかしなくても旦那様のお名前より、断然親しみやすいですよ!!」

「な、何で俺の名前を引き合いに出すんだよ、シズネさん! そもそも比べる対象にならねぇじゃねぇかよ……」

(というか、料理名と俺の名前が同列……いや、確実に下の価値しかねぇのはあんまりじゃないかい?)


 シズネさんはアップルパイを褒め称え、それとは対照的に俺の名前を貶めまくっていたのだ。さすがの俺の名前でも、こんな美味しそうな焼き菓子の前では形無しとなってしまうのも頷ける。


「にゃはははっ。お兄さんってほんと面白いんだね♪ 料理名よりも名前が下だなんてさっ! にゃはははははっ」

「おう、ジャスミン。お前までかよ……」


 ジャスミンにまで笑われてしまい俺の名前は紙くず同然、いつでもリサイクルできる状態に粉砕されてしまっていた。


「ま、甘いお菓子だけじゃ何だから飲み物もボクが用意するね!」

「……俺のことは普通に無視すんのかよ!?」


 そう言ってジャスミンは厨房へと行ってしまい、何やら俺達のために飲み物を用意してくれるようなのだが、「そもそもそんなものはあったのだろうか?」っと首を傾げてしまう。そもそもこの焼き菓子だってウチにある材料などでは、とても作れる代物ではない。「一体どこからこんな材料を用意したのだろうか?」そんなことを思っていると、ジャスミンが仰々しい道具を次々とテーブルへと持ってきたのだ。


「じゃ、ジャスミン、なんだよそれ?」

「えっ? これはポットだよ。お湯を入れておくやつ。お兄さん知らないの?」


 それは確かに片手で持てるお湯を注ぐポットだった。全体的に赤色をしており、水を注ぎやすいようにと口が細長で特殊な形状をしていた。

挿絵(By みてみん)


「いや、そんなポットくらい俺でも分かるからな。ってか、俺ってジャスミンにそこまで馬鹿だと思われてたのかよ!?」

「えっ? あ~……にゃはははっ」


 さすがの俺でも、それがポットだと言うことは一目見ただけで理解できた。だがジャスミンは少し驚きの表情を浮かべると、「そ、それもそうだよね!」っと誤魔化すように笑っている。どうやらジャスミンには、本当に俺がポットの存在を知らないと思われていたらしい。


「ま、ポット大好き旦那様は置いておいて……」

「シズネさん。それ、どんな通り名なんだよ。まるで俺がポットにご執心、ポット大好き人間みてぇじゃないかよ!」


 シズネさんから俺の新たな通り名「ポット旦那様」などと、まるでポッと()のような呼び方をされてしまう。

 

「ジャスミン、これは何なのですか? 何やら変な道具のようですが……」

「えぇっ!? シズネさんでもコレのこと知らないのっ!?」


 シズネさんは俺を無視するように目の前の道具に注目しながら、ジャスミンにそんな質問していた。どうやらウチのシズネさんでも知らないことはあるようだ。ジャスミンもそれには驚きを隠せない様子。


「ええ、見たことのない装置ですね。もしやここに何かを入れて湯を注ぎ、エキスのようなモノを抽出するのですかね?」

「うん! そのとおりだよ。上にこうして濾紙(ろし)……まぁ漉す紙(フィルター)を少し下の部分を折って入れ、ここにあるもの(・・・・)を入れてお湯を注ぐんだ♪」


 シズネさんは考えるようにその装置を観察し、憶測ながらも考えを述べた。するとジャスミンは「それで正解だよ!」っと実際にやってみせる。


「あるもの? それってお茶じゃないのか?」

「ううん。お茶じゃないよ、お兄さん。ここにはね……コーヒー豆を挽いたのを入れるんだ」


 一瞬お茶かと勘繰った俺だったがどうやら違うようだ。ジャスミンは自らがかけているバックから袋を取り出すとその紙の中へと入れていく。見ればそれは黒とも茶色ともいえぬ独特の色をした粉状の物だった。どうやらそれがジャスミンが言うには『コーヒー』なるものらしい。


「それでね、こうしたポットからお湯を注いで、っと♪」


 コポコポコポ……。円を描くようにお湯をゆっくりと注ぐと、水分を吸った粉が膨らみ香ばしい良い匂いと共に、ピタピタ下のポットへと溜まっていっていた。

挿絵(By みてみん)


「へぇ~。こんな感じにそのコーヒー? とか言うのを抽出するのか。お茶とは違った色合いだけど、何だか胃を刺激する良い匂いがしてんなぁ」

「あれ? お兄さん達ってコーヒー飲まないの? もしかして西洋だけの文化なのかな? ま、値段も高いからあっちの地方でも庶民の人達じゃ~、おいそれとは飲めないんだけどね。一部の貴族や学者、それにボクのように商品としてコーヒーを扱ってる商人だけが飲める、とっても貴重な飲み物なんだよ♪」


 俺達は少しずつ溜まっていく、そのコーヒーなる飲み物が完成するのをただひたすらに待つことしかできないのだった……。



 この物語もコーヒー抽出のようにゆっくりと時間をかけながら、ぶっちゃけ文字稼ぎしつつ、第101話へつづく

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