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第36話 王都召喚

 ――王都イーディスエリー大図書館周辺地区。

 

「イリス! 大丈夫か!」

「私は大丈夫だけどこれって……!」


 その時、王都イーディスエリーの大地は大きく揺れていた。そびえ立つ木々も倒れ、次々へと建物が崩壊していく――。

 突然の出来事に人々は動揺し、そして困惑していた。


「地震なのか!?」

「何よ地震って……!」


(そうかこの世界にはプレートが存在しない……つまりは地震がないのか!)


「とにかく安全な場所へ避難しよう」

「ええ、そっちの方が先決ね」


 ソラがイリスを連れて避難できる場所へと行こうとしたその時、一つの少女の声が聞こえた。透き通った声――。どこかで聞いた声だ。


「ソラっち!? イリスっち!?」

「ミリィちゃん!」

「調査隊も……!? どうしてここに!」


 その少女はミリィ・リンフレッドだった。ミリィの後ろには数人の調査隊員と青髪のセリーヌ・アレストレイも率いている。


「ミリィたちはアイリスっちが失踪したから今ここにいるの!」

「あの学院長が失踪した!?」

「アイリス……。そういうことね」

「どういうことだいイリス。詳しく聞かせてくれないか?」

「わかったわ。恐らくロイドの場所へと行ってしまったのね……」

「え!?」


 その驚くべき事実に全員が驚愕した。


「無理もないわ……。アイリスはロイドへの復讐心が誰よりも強いの……。あの事件のおかげでね」


 10年前、王都全焼事件を犯した極悪ギルド、虚無の棺桶(ボイド・コフィン)。そのギルドのマスター、ロイド・イスタンベラにかかった重罪は永遠に解けない。

 事件前までは、善良なるギルドだったのにも関わらず、自分たちが信じていたギルドへの復讐心は切っても切れないものだ。


「アイリスさん……」


 ――その時、王都の揺れが徐々におさまっていった。


「揺れが……」

「ソラ! 空を見て!」

「何言ってるのイリス。俺はここに……」

「違うわ! 空よ!」

「ああ、その空……。それがどうかしたの?」


 空を見る限り、雲一つない空が伺えるだけだ。


「ソラっち……。気付かないの?」

「ミリィちゃん、どういうことなの?」


「私も気付きましたよ先輩」


 青髪ショートヘアーのセリーヌがそう告げたとき、ミリィはセリーヌの肩をポンと軽く叩いた。


「さっすがミリィのセリーヌっちだね!」

「ええ、はい……。神薙先輩!」

「は、はあ……」

「お気付きにならないのですか。雲が一つもないんです」


 それを聞いたとき、ソラは目を大きく見開いた。


「やっと気付いたようね……」

「ごめんな、俺鈍感でさ? ま、何かが起こってるってことだな……。さっきまでこの一帯は雲で敷き詰められていた」

「そうね、一瞬で雲が消えた……」

「イリスっち、ソラっち。それって何者かの魔法で雲が消されたってことなのかな?」

「空が動いているとか……?」

「いや、逆だよイリス。大地が動いているんだ」

「えっ!? そんなことがあり得……」


 イリスが言いかけたそのとき、


「ぬしら、それは違う……」


 ――と、倒れた木々をかき分けながら歩いてくる人影が一つ。


「あなたは!」

「ロギルス様!」


 容姿は若く、短い白髪の人影。その人影は正真正銘の英雄神ロギルスだった。その姿を初めて見たセリーヌは驚愕の目を隠しきれていないようだ。


「このイーディスだけが違う場所にテレポートした……。いや、召喚されたと考えていいだろう……」

「それは本当ですかロギルス様!」

「ああ、微かにロイドの魔力を感知できた。おぬしらもそう感じているはずだろう」


 ロギルスが視線を送ったのはミリィ調査隊だ。ミリィ調査隊は魔力の微かな流動を感じ取る探索魔導士がついているからである。


「は、はい! ロギルス様のおっしゃる通りです。確かにこの王都イーディスエリーを囲むように人間の目には見えない透明の結界と魔法陣が張られています」

「君たちなんでわかっていたのに言わないのさぁ!」


 それを聞いたミリィが頬を赤く染めて、微妙に頬を膨らませたまま言葉を放った。


「すみません先輩! 忙しそうな先輩に話しかけると失礼かと思いまして……」

「まっ、いいけどね! 言われても何もできなかっただろうし……」


 ミリィは豊満な胸を張りながら笑顔で後輩たちを許す。周りにいたソラたちもクスクスと笑っていた。




「貴様ら……随分と楽しそうにしているな……」




「――っ!?」


 ――背筋が凍るようなこの感覚。

 ――嫌気をさす殺気。

 ――心臓が潰れるような焦り。




 ――ニゲタイ。




 誰もがそう思った。戦う前から負けた感覚を誰もが感じた。


「ロイド……イスタンベラ……」

「よう、貴様らは俺を阻止しようとする……。したがって、邪魔者を殺しに来た……」


 それどころではなかった。額から垂れた汗がゆっくり首筋を通って地に落ちる。

 片目が金目の赤髪の男の隣には、檻に拘束されている知っている女性の顔があった。

 ソラは、それを見た刹那、すべてを壊したい気持ちにかられた。



「てめぇ、ロイド……。何故だ……。何故だ……。何故アイリスさんがそこにいるんだよ!」

話の関係で今回は少し短いです。

そしてもうすぐブックマーク件数100!

その瞬間を大いに期待して今後も投稿に精進させていただきます!

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