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第23話 アイン村の戦闘

 アインベルク王国を北に歩いたところに小さな村がある。その村はアインベルク王国のすぐ隣にあり、アイン村と名付けられている。海辺の砂浜に位置しており、本来ならば観光スポットとされてもおかしくはない。――が、そうはいかない。

 アイン村からは溶岩島がはっきりと見える。溶岩島は火竜が住み着くとされ、人々は近寄りたがらない。そこで、実力派魔導師が火竜討伐に挑むのだが、返り討ちにされいる。溶岩島は死者が出るベスト10と名の上がるほど、危険な島なのだと。

 溶岩島に向かうためにはその村で、名のある職人に超耐熱船を作ってもらわなければならない。

 ソラたち含む総勢100名のアインベルク騎士団は、そろってアイン村に到着したところだ。


「……あれが……溶岩島……か」


 ソラは目の前に広がる光景を見て呟く。

 騎士団の騎士全員に目の前の巨大な溶岩島を眺めた。

 1㎞は離れているのだが、溶岩の熱気が肌を刺すようにして伝わってくる。

 ソラは溶岩島から伝わる存在感オーラに手がブルブルと震えた。

 

「ソラ。怖い……?」


 心配したイリスがソラの右手を掴んで、落ち着かせようとした。

 

「いや……。止まらないんだ。今から火竜ドラゴンに会えるっていううずきが――」

「ソラさんそれは……」


 騎士団長のレントがソラの言葉に目を丸くした。


「俺は幼少期の頃から火竜ドラゴンってのは憧れで――ずっと見たかったんだぜ。それに本物の火竜ドラゴンと言ったらもうワクワクして仕方がないくらいだ!」

「はあ……」


 現世モラルではドラゴンなんて空想上の生物だった。それが異世界に来て見れる。それだけで、ソラは右手が疼いて仕方がなかったのだ。

 ――と、その時。


「アンタたちが超耐熱船を作ってもらいたいという団体かい?」


 後ろから声がした。騎士たちの群れが真っ二つに割れてそこから水着姿の巨乳で30代後半とみられる女性が現れた。


「……は、はい。そうですが」

「アタシはロカ・イベラ。ロカさんって呼んでくれてもいい」


 レントが応答すると、ロカが片手に巨大なハンマーを持ち、逆さにしてそれを砂浜の地面に突き立ててた。

 ロカが目を細めるとソラの方に近寄ってきた。


「……なっ、なんすか。俺、巨乳はあまり興奮しないんですが……」

「ほう。お前が――付き合っちゃくれないかい?」

「待ってくれ! 俺にはイリスという恋人が」

「そういう話じゃないわ! アタシと戦え言うとんや!」

「はっ、はい!?」


 ソラが不意打ちを仕掛けられたように驚いた。


「『はい』と言ったってことは、戦う意志があるね? さあ、行くよ」


 と、ロカがハンマーを軽々と持ち上げると、一気に横にハンマーを振り回した。


「痛っ!」


 ソラは両腕をクロスさせて防ごうとしたが威力の方が上であり、大きく飛ばされた。


「ソラ!」

「ソラさん!」

「――この野郎。やりやがったな……来い! 紅血の剣ブラッディ・クレイモア!」


 ソラが叫ぶと、右手に漆黒の剣が召喚された。


「それがイーディスの英雄が持つ漆黒の剣ね……なるほど」

「どういう目的か知らないけど容赦なく行くぜ! おばさん!」

「おばさん言うな餓鬼が! そう言ったからには多少やられる覚悟がある言うことやな! ……アタシの魔力は『強化』。あまり戦闘向けではないけど、アタシは強いで?」

「だったらすぐ終わらせるってことで!」


 ロカが一気に跳んでくる。ロカがソラとの距離を詰めると――。

 ソラは目を瞑り、剣を右手に、タイミングをうかがった。


(そこ……! 居合術――抜刀襲神影ばっとうしゅうじんえい……!)


 ロカの目の前からソラは消える。ソラがロカの死角を通り、後ろに回ったところを右手にもった剣で薙ぐ。

 ――が。


「ふん!」


 ロカが体の軸を回し、ソラの剣を間一髪で振り払った。


(何!?)


 ソラが驚愕を覚えた。防がれたことのない居合術が今、破られた。ソラはそれだけでただ者ではないと悟った。


「見た目以上で――おばさん」

「イーディスの英雄はそんなものかい!?」


 ロカがハンマーで砂浜の砂を吹雪のように飛ばした。

 それを受けてしまったソラは目を瞑ってしまう。砂が目に入ってはどうにもならない。


「くっそ! 目が……!」


 ソラが目の前を見ようと意地で目を少し開けようとする。ぼやけているが、空中に舞うロカの姿が見えた。


「質量強化……! はあっ!」


 ロカがそう呟くとハンマーを振り下ろしながら砂浜に向かって落下する。

 ――ドン!

 爆発したときのような大きな音が響く。その威力はすさまじいもので、砂浜の砂が一気に舞い上がる。

 ソラは間一髪で避けたのだが。


(――あれ喰らってたら死んでたぞ!? 何考えてんだあのおばさんは!)


「とどめだよ!」

 

 ロカが突然、ハンマーの遠心力を利用して回転し始める。砂が舞う中で、舞い上がった砂が一気に吹き飛んだ。


(あのばばあとんでもねえ!)

「――ソラ! 逃げて!」

「ソラっち!」


 心配するイリスとミリィの声が聞こえた。――恐らくロカはハンマーを飛ばしてくるのだろう。


(俺が避ければ、皆を巻き込んでしまう――。それはダメだ。ここで俺が食い止めなければ!)

「はあぁぁぁ!」


 ソラの剣から突然、漆黒の魔力が溢れだす。今までの比ではない程の濃い魔力。


「つくづく嫌な魔力だね! アタシのハンマーを喰らいな! 強度強化! はあっ!」


 ロカは回転しながらハンマーをぶん投げる。ロケットのような威力で回転しながらハンマーは飛んでくる。


「――猛天大舞踏(もうてんだいぶとう)!」


 ――と、ソラの一回転の大回転の舞が、ハンマーを綺麗に真っ二つに切り裂いた。

 漆黒の魔力での見えない威力がゆっくりと揺れ動いた。

 ハンマーの残骸は漆黒魔力と共に消し飛び、騎士たちの安全は確保された。


「ソラさん……僕の鍛錬であそこまで!」

「すごい成長力……」

「ソラ。見ないうちにあんなになって」

「ソラっちすごいよ!」


 レント、イリス、アイリス、ミリィが続いてソラの剣舞に目を引かれた。


「ふっ、ふざけるな! アタシの強度強化を破っただ!? そんなことは――!」

「お返しだおばさん!」


 ソラが剣を消し、右の拳に漆黒の魔力を込めた。漆黒の魔力が威力を増し、周囲に膨大な風を吹かせた。

 怒りと希望が混ざった複雑な魔力を感じ取った。


「――兇閃牙迅拳(きょうせんがじんけん)――!」


 右手の拳を力強くロカの中腹に打ち込まれた。


「……くあっ!」


 ソラの拳がロカの腹にめり込むと、すさまじい威力でロカは飛ばされる。5回バウンドしながらその砂浜に倒れた。


「すっ、すごい……」


 ふと、そんな言葉がイリスの口から漏れた。


「ごめん、レントさん。ちょっとやりすぎました」

「ま、まあ。ロカさんには悪気はないみたいだし、許してあげましょう」

「そ、そう……ですね……」


 ロカがゆっくり立ち上がると、騎士たちの方へ近づいてきた。


「やるじゃないかい……イーディスの英雄。アタシが騎士の群れにハンマーを投げ飛ばしたのはアンタが必ず切り裂いてくれると信じていたから」

「あまり感心しないけどな……」


 そうお互いに言葉を交わして握手を一つ交えた。


「そうそう。超耐熱船を作るには少し時間がいてな。今日はここで泊まっていってくれるかい?」

「勿論です」


 ロカの問いかけにレントは答える。

 アイン村は少し寂しい雰囲気がする。溶岩島の危険さに、あまり人は住み着かないのだ。

 少々の木造の建物が残っているがほとんどの人はアインベルク王国に移住したという。




  *




 小さなアイン村に夜が来る。

 ソラとイリスは二人で一つの空き家を借りた。

 手入れのされていないボロい家だったが、広さは十分に足りていた。


「お風呂に入れないのは悔しいけど、ソラと一緒なら私は嬉しいかな」

「ありがとうイリス。……流石に今日は疲れたな」


 イリスの薄桜色の髪と今にも溶けてしまいそうな真っ白な肌が月光に照らされていた。

 ソラがその姿に見とれていると、


「ねえ、ソラ? ベランダに出て少し話しない?」

「…………」

「ソラ?」

「あっ、ああ、ごめん。そうだな……そうしようか」 

ロカは30代後半という設定ですが、どのくらいのおばさんだと想像したのでしょうか?

外見はどのようなものと想像したでしょうか?

人それぞれだと思いますが、自分はあまりしわのないスタイル抜群の巨乳女性を想像しています。

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