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あたしの朝の日課、コーヒーを家族全員分いれること。
あたしの母親は朝が弱くていつもあたしが学校を出る時間には起きていない。
特に最近は。中学くらいまでは頑張って起きてくれていた。
けど、あたしが高校に入ってから、突然パートを始め、それをきっかけに起きられなくなったらしい。
だから半年くらい前から朝ごはんを作るのはあたしの役割になった。
ご飯は日本人らしく白飯、卵焼き、お味噌汁。ちゃんとお茶も用意しているのに、朝はみんなコーヒーを飲む。昔からなぜかうちでは朝はコーヒーが準備されていた、お茶ではなく。変な組み合わせだが、みんな気にしていない。母親の影響であたしを含めこの家族は「ご飯であっても朝はコーヒー派」になったのだろうなあと思う。
そんなことを考えていると、
「おい、美波」
「…はい!」
「おかわり」
「あ、はい」
あたしは父親にご飯のおかわりを頼まれていた。
(びっくりした…)
「ねえちゃん、声でかいよ」
そして横にいる弟にツッコまれた。
「ごめんごめん」と笑って謝る。
父親も弟もくすっと笑う、つられてあたしもくすっと笑う。平和な毎日を送っていた。
朝の身支度を終え外に出ると、少し雨が降っていた。
歩いて20分程の距離にある学校、傘をさそうか迷っていると
「どうしたんだ?」と歩が後ろから話しかけてきた。
「傘さしていくか迷ってたとこ。」
「さしていけよ、...女の子なんだから。」
「え、あ…うん」
(…どうしたんだろう)
歩がそんなことを言うなんて思わなかった。昔からあたしのこと男みたいに扱ってたあの歩が。どうしたんだろう。
そんなことを考えているうちに歩は3歩程先まで進みあたしの方に振り返っていた。
「一緒に行くか?」
「う、うん」
あたしは傘を開き先にいる歩の後を追って、あたしは少し急ぎ足で学校へ向かった。