第二話 「遊び仲間」
森の坂道を下り、小川の橋を渡る。
それから少し歩くと、癒野は森を抜けた。
森を抜けた先に広がるのは青々とした草原、遠目には村が目視できた。
癒野が目指すコトバ村である。
道沿いに十数分歩くと、漸く村へと到着した。
コトバ村は他の村に比べれば小さいが活気溢れる、豊かな村だった。
道を歩けば、元気いっぱいに遊びまわる子供の声や姿が目に付き、
畑に見れば、農家の人間たちが汗水垂らしながらも笑顔で耕し、
市場に行けば、新鮮な食材が売られており、主婦や店の人間が世間話で盛り上がっている。
これがこの村の日常風景だ。
癒野「おっちゃん!」
「おっ!癒野ちゃんじゃないか!
久しぶりだねぇー。
今日は何をお求めで?」
癒野「えーっとねー、林檎とね、ニンチィンとね、チャガイモとね、タマネギとね、後ね・・・((ry」
癒野が言った食材を、店の男性は彼女のショルダーバッグに詰めていく。
因みにこのショルダーバッグ。
四次○ポケ○ト式なので、「何で入るん?持てるん?」というツッコミは明後日の方向へ捨てて下さい。
「はい!まいど!」
癒野「また来るねっ!」
癒野はバッグを受け取り、代金を払う。
店の男性に別れを告げると、次の目的地へと足を運んだ。
「あら?癒野?」
癒野「んあっ!アリチャだ!!」
とある花屋の前で声をかけられ振り返ると、そこにはアリサが花を持って立っていた。
アリサ「また森に引き篭もってたんでしょ?
土がついてるわよ、顔に。」
そう言って、アリサは癒野の頬についた土をハンカチで拭った。
癒野「ありがとう、アリチャ!」
アリサ「どういたしまして。
ねぇ、これから何処行くの?」
癒野「んーっと、ユーゴん家!
ユーゴママにパン貰いに行くの!」
アリサ「なら、一緒に行かない?
私もユーゴにお花、届けに行くの。」
癒野「うん!行く!!」
アリサと癒野は並んで、ユーゴの家へと向かう事にした。
癒野「でも、何でお花?
・・・・・・・・・・はっ!もちかちて、愛の告h「違うからね。((黒笑」シュミマシェンデチタ。」
アリサ「・・・・ユーゴのお母さん、最近、寝込んでるのよ。
何か、病気なんだって。
ユーゴはユーゴでお父さんのお仕事手伝ってて手が放せないし・・・。
だから、代わりにお花を届けて欲しいって頼まれたの。」
癒野「へぇー。
・・・ねぇねぇ、アリチャ。
ユーゴのママ、何て病気なの?」
アリサ「ユーゴは唯の熱だって言ってたけど・・・・、でも彼此一週間は寝込んだままらしいわ。
農家だし・・・過労かしら・・・?」
癒野「・・・。」
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村の端にある、広大な小麦畑と大き目の家。
ユーゴの家に二人はやってきた。
癒野は家のドアをノックしようと歩き出そうとするが、グイッとアリサに引っ張られ、引き戻される。
そして、そのまま引き摺られるようについて行くと、家の裏の畑へとやって来た。
表とは違い、裏では野菜が植えられていた。
カボチャ、トウモロコシ、トマト、キュウリ、ナスなど、種類は様々である。
そして、その畑の中のトウモロコシ区域にあたる場所に、一つの麦藁帽子が見えた。
アリサ「ユーゴー!!!」
アリサは麦藁帽子、基ユーゴへと声をかける。
すると、ユーゴはトウモロコシ区域から顔を出した。
ユーゴ「アリサ!
・・・っと、癒野!?」
ユーゴは驚いた顔で、畑から出てきた。
ユーゴ「久しぶりじゃねーか!
今まで何してたんだよ。」
癒野「ん?宝石探しだよ?」
アリサ「また、ハルモーンで採掘!?」
ユーゴ「・・・・・・本当、よく罰が当たらないな。
あそこ、聖域だろ。」
アリサとユーゴは呆れ顔で言った。
ハルモーンとは、癒野とワイズミーが暮らす森の名だった。
あの森は1000年前、賢者の一人がヘカテの暴走を抑える為に創ったとされる“シルフ大樹木”という、魔法の神木を守る聖域なのだ。
非常に迷いやすい上、モンスターも生息している為、常人なら生きては出てこれないと云われている。
癒野「癒野もワイジュも平気だよ?
家の周り、モンスター除けのお花咲いてるし。
癒野、何度も森の奥、行ってるけど帰ってこれるよ。」
ユーゴ「・・・・やっぱ、お前、普通じゃねーな。((汗」
癒野「だって、エルフだもん。」
アリサ「あっ、そっか!」
ユーゴ「いや、それ、種族関係ないと思うけど!?」
と、三人が話していると、畑からユーゴパパが出てきた。
ユーゴ(パパ)「随分賑やかだと思ったら、アリサちゃんと癒野ちゃんか。
癒野ちゃんはパンを買いに来たんだよね?
・・・ちょっと色々あるけど、まぁ、立ち話も何だ。
二人共、家に上がっていきなさい。」
アリサ「はい!お邪魔します!」
癒野「しましゅ!」
ユーゴパパの言葉に甘え、三人はユーゴの家へとお邪魔する事にした。