04 Wahrheit der Finsternis Ⅰ
エリーザは狼の顔をまじまじと見つめた。
口からは間違いなく息をしている。鼻は湿っている。頭全体には灰色の獣毛に覆われている。耳はピンと立って、プルプル震えている。そしてその瞳は紅色で、何故か優しそうな感じがした。
「ほ、本物よね…。」
エリーザはそう狼頭に言った。すると狼頭は、
「…えぇ、本物です。」
と言った。それを聞いたエリーザは、
「…何で?、何で!?。」
と激しく混乱した。
――「…どうぞ、ココアです。」
「ありがとう。」そう言いながらエリーザは狼頭からコップに入ったココアを受け取った。
エリーザは臭いを嗅いでみる、特に変わった臭いはしない。
それからココアを少し口に含む。特に変わった味はしない。少しぬるめの普通のココアだ。
「毒なんて入れませんよ。」
狼頭は少し笑いながら言った。
エリーザは狼頭が自分の分のココアを飲んだことを確認すると、自分も飲んだ。
「落ち着きました?。」
狼頭は少し心配そうに聞いてきた、するとエリーザは、
「え、えぇ…、大丈夫よ。」
と言った。それを聞いた狼頭は、
「…そうですか。」
と言った。
それから沈黙の時が流れた。
そして沈黙の時を破り、エリーザは、
「…ね、ねぇ。君って何なの?。」
と聞いた、この時エリーザは正直答えてくれるとは思っていなかった。
しかし彼女の言葉を聞いた狼頭は、
「…キメラ、通称は、獣人と言って、軍が作った生物兵器…、だそうです。」
と言った。彼女はそれを聞いて驚いた、
「…キメラ?、軍?、生物兵器?、…どう言う事?、それにあの男は何?。」
と聞いた、すると狼頭は困った顔で、
「ちょっ!ちょっと待って下さい!、そんな近づいて…。」
と言う、いつの間に彼女は狼頭の目の前まで来ていた。
あわててエリーザは狼頭から離れる。
狼頭はエリーザを見る、そして、
「今から話す事は、僕がみんなステパンさん、…あのスナイパーの人に聞いた事です。…聞きますか?。」
と聞いてきた、その顔は真剣なようだった。エリーザは頷く。
狼頭はゆっくりと話を始めた。
すべては10年前から始まっていた。
マディナ・シャポワレンコ、彼女の『今まで誰もなし得なかった、神の研究』その意味とは?。
次回『Wahrheit der Finsternis Ⅱ』