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05:「傍に、いるわ」(ずぅっと、一緒よ)
■■ 秘め椿 ■■
「傍に、いるわ」
嫣然と笑って、彼女はそう言いました。
私の両頬を両手で挟むようにして、額を合わせるようにして。
声にならない声で、でもはっきりと紅い唇を動かして。
(ずぅっと、一緒よ)
その声を、私は聞いたと思いました。声には、なっていなかったはずなのに。
嬉しくて、夢中で頷いて、何度も「うん」と答えていました。
「うん、――うん。傍に、いて?」
私の頬を包む白くて細い両手を、その上から握りしめて、自分の頬に押し付けるようにしながら。
今まで一緒にいられなかったぶん、これからはずっと、ずぅっと。
「一緒にいよう、――姉さん」
きっと、それは他人の目には美しくも悲しい、姉と弟の別れに見えたでしょう。
でも、私たちはそうではないことを知っていました。
それは、惨めで哀しいひとつの恋の終焉だったのです。
私と姉の、秘めた恋の。




