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第四十八話――332880s

「予想以上に人数が多い……まずは、防御を固めておくべきか」


ハルとアキ。戦力としては申し分ない二人だが、この俺が血なまぐさい戦場にそのまま出す筈も無い。


俺のハーレムメンバーである以上、安心の絶対防衛機能を付けておくべき。


万が一にも億が一にも傷つけでもしたら、この世界滅ぼすよ、俺。



「えーっと、んじゃ……」


とりあえず、<曲げる>でハルやアキの周りの空間を弄って、空間を隔絶させる。


悪党どもからの攻撃を空間ごとぶった切ってシャットダウン。鉄壁の守り。


ただ、それだけだと孤立してしまうから、こちら側からは攻撃可能にしておく。


まぁつまり、ハルやアキ側からは攻撃し放題だが、反対の敵側からは攻撃が一切届かない。そういう状況。



「さて、それじゃ張り切っていきますか!」


「……ぐぇ」


「ぐぅ………」


「がはっ…………」


あれ……?


なんか既に屍の山が出来ているのですが。


「何故に全滅済み?」


「タカアキ遅いよー」


「アンタ、そうやって茫然としてると隙だらけよね……。なんでアタシこんなのに負けたんだろう……」


「え? 何? もう終わっちゃった?」


「何言ってるのさ?」


「こんな雑魚相手に十秒以上かかるなんてあり得ないわよ」


「あ、そう……」


何か俺の予想の遥か上を行くスペックだったみたいですね。二人とも。


この二人に対して、防御(笑)。


「ほらー、タカアキさっさと次行くよー」


「……はいはい、今行くよ」


もうなんか色々どうでもよくなってきた。


無駄に凝った戦闘とかする必要ないね。うん。


さっさと終わらせちゃうか。








五万人組手。団体戦(三名)。


タイムレコード:92分28秒



……言いたいことは分かる。皆まで言うな。


「今更だけど、ものすごく今更だけど、俺達はもう一般人には戻れないんだろうなー。」


「この中で一番人間離れしてるのはタカアキでしょ?」


「そうそう。アンタが一番『一般人』からほど遠いわよ」


「いや、でもここまで酷いとは思わなかった……」


何がどれくらい酷いって、この大陸に蔓延る秘密結社、その数約500組。


それが、僅か一時間半足らずで全滅である。


まぁ一応、『貴族』とか『裏政府』とかの怪しい単語が入り混じった場所は見なかったことにしたので、それでも数はある程度少ないのですが。


というか、何故に政府非公認不干渉の「悪党の巣」が500組もあるのやら……。


そりゃ統一国家なんてものをこの程度の文化レベルでやっちまったんだから仕方ないんだろうけどさ。


国王様専用の「軍備」もそのテの手合いに対しては動いていないようだし。


……本気で大丈夫か? この国。


まぁ、しかし。こいつら「悪党」は俺達『スキル』持ち三人のチートで一時間半で殲滅できる程度の戦力でもある。


俺や『時詠み』レベルがごろごろしてる魔窟なんて想像したくも無いが、少なくとも数人はいるだろう。俺達レベルの人間が。


そして、『スキル』を持っている人間と持っていない人間の戦闘能力は、それこそ銃を持っているか丸腰かの差ぐらいはある。


この圧倒的なまでの実力差がこの歪んだ階級社会を成立させてるのかもしれないな。



「しっかし、何が『どうやっても大陸中の悪党を全滅なんて無理!』だよ。一日どころか半日すらかかんなかったじゃねぇか!」


「いや、アンタがアジトを数秒で探知できるのが一番の時間短縮だと思うぞ……」


まぁそうなんだけどね。


でもでも、数百人居るメンバーを数秒で全滅、しかもご丁寧に『全治三ヶ月の怪我』とか『名のある医者に見せればすぐに治るけど今すぐは治せない怪我』とかに手加減してる。


これも結構人間離れしてると思うんだ。


まぁ今更だけどさ。


「というか、『スキル』を持ってる人間と持ってない人間の隔たりって大きすぎないか?」


「いや…………まぁ、そうだな」


ん? アキにしては歯切れが悪い返答だな。


「あぁ……タカアキは、そこら辺の事情知らないのか」


「事情?」


「いい? タカアキ。基本的に『貴族』ってのは『スキル』を持ってる人間の事を呼ぶんだよ」


「そうなのか?」


そんな0の使い魔的な世界観だったのか、ここ。


「もちろん、『貴族』ってのは血筋で決まるんだけどね。そもそも『貴族』ってのいうのは『王』に『スキル』を貸し与えられた人間が、『貴族』って名乗ったのが始まりなのさ」


「だから、『貴族』、ひいてはこの世界の有力者は『スキル』持ちなのか……」


そりゃぁ、階級社会になるわけだ。


「まぁ、大分昔の話だから、今はいろんな違いがあるんだけどね。『スキル』を使いこなせない……ボクみたいな貴族もいるし」


「ハルは上手くやってるさ。少なくとも、俺から見てハルは全力を出してる」


「……うんっ! まぁでも、ボクもいつかは完璧に使えるようになりたいけどね」


「ああ、そうだ。ハルならそこにたどり着けるさ」


この俺より頭二つ分小さい女の子は、俺の数倍努力家なんだから。


けど、とりあえず今はネガティブな話題は吹っ切りたいのでハルの頭をなでなで。


「さて、あらかた殲滅して、『煌星の影』のアジトも分かったし、一旦城に帰るか?」


虱潰しに調べつつ、アジトに残ってた情報網から『煌星の影』の拠点は割り出してある。


まぁ情報網って言っても大したもんじゃなくて、その場に残ってた匂いなんだけどな。


「そうだな」


「うん。そうしよ」


「それじゃ、城に向かって歩――」


「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


!?


「今のは……イヴェールの声!!?」


「タカアキっ!」


「ああっ! 急いで城に!」


いったい何事だ!?


今の悲鳴は普通じゃなかった。


イヴェール……何でもないといいが……。


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