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第四十四話――心の傷跡

で、次の日。


エテとベラノはビレイ村に帰る事にしたらしい。


まぁ『時詠みの巫女』教団は解体されたし、大分前からビレイ村に戻っても問題は無かったのだが、きっかけが無かったらしい。


で、昨日のアレで、エテがすぐに帰る事を決心したらしい。


まぁしょうがないね。俺だって気を抜くと死にかける屋敷には住みたくないからね。


「それじゃ、お世話になりました」

「にーちゃん、またなー」


ああ……貴重な『か弱い女の子』成分が……。


まぁ、か弱いかどうかは怪しいけど。割と前線に立てるタイプの二人だけど。


「何もないといいけどな」


形としては、教団は解体されたが、それでも過激派だの騎士団将校だのはしぶとく椅子に椅子に座り続け、『時詠みの巫女』不在を乗り切ろうとしているらしい。


元々たった一人の少女を祭り上げていた教団なのだから、いい加減諦めればいいと思うのだが。


「第六感がなーんか嫌な感じなんだよな」


俺の第六感は最近<曲げる>と同化して、軽い未来予知に近づいている。


無論、絶対予知とかじゃなくて、あくまで当たる可能性のある未来、みたいな。


それに受動的なので、こっちが見たい未来を見れるわけじゃないし、それが何時何処で誰に起こるのかまで詳しく分かるわけでもない。


それでも、この『嫌な予感』は元々当たり易い感覚だったし、まず間違いなく災難が起こる気がするのだが……。


「とりあえず、エテとベラノには<お守り>を持たせておいたし。後はこまめに遊びに行っておくか」


敵がいるなら潰せばいいが、敵が居ないから困っているのである。


「後は待つだけ、か……」


どうも、こういうのは慣れな――。


「「なぁーーっ!!!」」


「おわっ!?」


何だよ。今の悲鳴は。


ったく、いったい何やらかしたんだか……。





「タタタタカアキちょっと、どこ行ってたのさ!」

「は、早く、来て!」


城に戻ったら何故かドモリ気味のハルとアキに両手を拘束された。


で、俺の部屋に拉致られた。それでいったい俺の部屋にどんな化け物が居るのかと思えば。


「女神じゃん。こんなところで何やってんの?」


部屋の真ん中に女神が居た。


何故か、俺専用に座り心地をカスタムされたソファーにダイブした状態で。


「ふかふか~」


後、極上の笑みと奇声を上げないでくれ。いい年して恥ずかしくねぇのか。


「おい、女神、聞いてるのか?」


「わふー……」


「おい! それは色々と駄目だろ!」


その口癖はペドリャフカが言うからこそ萌えるんだろうがっ!


「あ、そういうこと言っていいんだ~」


「は?」


何言ってやがる。今の俺なら女神程度の攻撃力では傷一つ付かないね!


「『生ける(リビングデット)』で『有り得るはずの無いブルーアンバーズ・ライト』が必殺技の鷹秋少年」


「ぐふっ!」


タカアキ の こころのきずあと に 9999 の ダメージ。


「……お前、何故それを」


「あんたの記憶を見たときに。いやー、中学生の頃のは面白かったなー」


「『深淵に住まう漆黒の(クラウクルーアッハ)』とか、『命貪る拘束のグレイプニル』とか、『たった一つの真実(クロウ・リアリティ)』とか」


「ぐふっ! がはっ! げほっ!」


タカアキ の こころのきずあと に 2147483647 の ダメージ。


「後は……」


「もうやめて! とっくにタカアキのライフはゼロよ!」


ゼロっていうかマイナスだけどな。カンストダメ的な意味で。


「じゃあ、この辺にしとくわ。それより、あんたに用があったのよ――って聞いてる?」


「……黒歴史がぁっ」


「ねぇー、聞いてるー?」


もう、俺の傷を弄り返すのはやめてください……。


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