第三話――これはゾンビですよね?
突然ですが痛いです。
とてつもなく痛いです。
こう、体の節々が焼ける様に痛いです。はい。
「痛ぇ」
ほら、あんまりにも痛いから口に出して言っちゃたじゃないですか。
……あれ? 俺今しゃべった?
「!」
もう一度、リプレイ、リトライ、リサイクル。
「っ痛ってぇぇぇぇえええええ」
はい、もう一回呟くつもりが、心の底からの叫びになりました。
だって痛いんだもん。痛いのは嫌いなのです。
どっちかって言うと、気絶しなかった事を褒めてほしいのです。
ただ、1つ良いことがありました。
今の反動で、眼が開きましたよ。
ついでに物も見えるみたいです。五感万歳。
そして、良いことあった時は悪いことも一緒に起こるんですよね。コレ、神様の法則。
「生き……返った……」
眼を真ん丸にして驚いてらっしゃる少女が約1名。
信じられない驚き、って感じの顔ですね。
まぁ、仕方ないよね。
死人が生き返ったんだもんね。俺だって驚くさ。
けどですよ、俺ってばガラスのハートですから。
なんとなく、その顔だと傷つくんですが。
そんなわけで、無意識のうちに俺は返事を返してしまいました。
「生き返って悪いか?」
なんか、言ってから気が付いたんですけど、コレなんか下っ端臭がしますよね。
死亡フラグ量産型の。
「え、あ、うん、全然……悪く……ない」
おう、今度は泣き出し始めましたよ。
そんなに嫌か、俺が生き返ったのが。
……嫌ですね。すいませんでした。
真っ青で血みどろな奴が生き返っても嫌ですよねー。HAHAHA。
「で、君は誰なんだ」
なんとなく空気が死亡フラグに流れそうだったので話題振り。
ちなみにイギリス紳士は天気の話から始めるそうですが、生憎天井があるので天気の話はできません。
というわけで自己紹介いってみよー。
…………。
進みませんでした。
少女さんこっち見たまま今度は固まってるよ。涙のあと付けたまま。
何が、何が問題なんだー!
あ、そっか。こういう時って先に名乗るもんだよね。
というわけで、きっちし相手の目を見てご挨拶。
「俺は、タカアキ。黒井鷹秋」
ちなみに少女さん(仮)はよく見るとかなりに美少女な13歳ぐらいの女の子でございます。
髪は金髪。しかも染める感じじゃなく地毛。長さは腰ぐらいまであるのか?
顔立ちは整ってて、どっちかっていうとドール系のお顔でしょうか。
背は……ちょっとわからないけど、座ってるのを見る限りでは……日本人の13歳平均身長にちょっと劣る感じかな。
ちなみに、右のおてての爪がちょっと赤黒く染まってるのは見なかったことにします。
ええ、ただの美少女です。何のことは無い美少女ですとも。
「ボクは、ハル」
おお、ようやく美少女さんが口をきいてくれましたよ。
しかしハルか。なんかピンクの悪魔を作ってそうな名前だな。
「さてと」
そんな妄想をしていたら体の痛みが引いてきたので立ち上がってみる。
お、立てた。
バランス感覚が少しずれた気もするけど。
ついでに、ちょっと体操してみる。
右手良し、左手良し、右足良し、左足……多分良し。
概ね良好ー。
とりあえず体は動くようになったから、次にやる事は……
ちょっと腰をかがめて、未だに座ったままのハルに話しかける。
「色々説明してくれるかな?」
ハル(美少女、そして俺の体を改造した人と同じ声)とお喋りだな。