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第三十七話――『時詠み』

「さて、と」


将軍らしき頭は倒した。なら、残兵はどうするか。


「に……」


「に?」


「逃げろぉっ!」


敗走するに決まっているのである。


ま、そんなもんでしょ。



後はせいぜい末端の六十人だし、大軍勢戦は終わりか。


ただ、どこかで将のもとに集合されるとうざいから、適度にかき回す必要があるが。


「はっ、ココはドコ、ボクはダレ!?」

「ハル、起きたか」


背中からもぞもぞとした気配が。というか気絶しても剥がれないって、やっぱ『スキル』凄いな。


「むぅ、タカアキもっと乗ってよー」


「それだけ元気なら十分だな」


一応体の確認。



鷹秋

・血だらけのマント

・血だらけの右手



うん、問題無い。


ああ、問題無いとも。



「じゃ、逃げさせてもらいますか」


「あ、その事でタカアキに言っておきたいことがあるのさ」


「ん?」


何? またなんか裏設定?


「いや、『時詠みの巫女』がこっちに向かってると思――」



ゾクッ。


何だ!?


何だ今のは。全神経が一瞬で警戒態勢を取ったぞ。


「ここに……居ましたか……」


「!?」


……何か殺気のオーラが見える巫女様がいらっしゃるのですが。


「あの……、どちらさまでしょうか?」


一応聞いてみる。この場に巫女なんて一人しかいないと知ってても聞いてみる。


「ふふ、名前なんてただの記号です」


何か厨二が入った黒幕さんがいらっしゃるー!?


「ふふふ、何をそんなに驚いているのですか?」


いや、何かヤバい雰囲気なのですが。


背中を見せたらやばいって第六感が言ってるし。


というか、昨日見た『時詠みの巫女』と比べて、


「違う……?」


良く分からないが、第六感はそう言ってる。


抽象的すぎて分からないが、とりあえずあの貧弱っ娘とは違うような気がする。


まぁ、体の筋肉の付き方から、そこまで貧弱ってわけでもなさそうで、どちらかというと……元気なのに元気じゃない体、ってイメージ。


自分で言ってても訳分かんないけどね。


「ふふ、まぁ何でも良いではありませんか」


うーん。


何だろ? このモヤモヤ感は。


「そんな事より、大事な大事な彼女さんをちゃんと抱えてないと駄目ですよ?」


なっ!?


肩の感触が一瞬で消えた?


「ほぅら、ね?」


『時詠みの巫女』の手の間に……ハルが、捕まってるだと。


「ふふふ、そんな怖い顔で睨まないで下さる?」


「……何をした?」


「さぁ、何でしょう? ふふふ」


高速移動、ってのは有り得ない。


俺の目で見えない速度で移動したとは考えにくいし、そもそもその速度まで行くと風の動きから何処に移動しているか解る。


だが、今のは確かに一瞬で盗られた。


つまり、考えられるのは、


「瞬間移動のスキルか何かか……」


「ふふふ、そんなものではありませんよ?」


瞬間移動ではない……。


確かに、こいつらは時間を稼げと言っていたし、それから考えるには瞬間移動では無い、か。


となると、『時詠みの巫女』の名から察して、


「時間停止……チートにもほどがあるだろ……」


「ええ、正解です。ふふふ」


おいおい、そりゃねぇだろ。


時間停止、ってのがあるのはまだいい。問題は攻略法が無いぞ。


某漫画では、主人公がもともと時間停止使いだし。某ゲームでは、時間制限がある。


というか、時を止めるなんて基本的に出ない。


「こりゃ、予想外にヤバい相手だな……」


<時針>のあたりで薄々気付くべきだったか。


こうなると、黒鍵Ⅱの残りとかそういう話じゃなくなる。


後は、向こうに何か弱点がある事を願うだけだが……。


「そう簡単には教えてくれないだろうな」


「ふふ、私の力に弱点なんて……。ふふふ」


それに、相手は仮にもこのファンタジー世界の一大勢力。


弱点をカバーするアイテムの一つや二つ、持っていて当然か。


「クソっ」


「あらあら、言葉使いが悪いですよ?」


となると。


最も簡単な方法は、奇襲。


相手が気が付く前に忍び寄って、時を止められる前に倒すのがベター。


もう見つかっちまってる今、奇襲となると、方法が限られてくる。



「…………」


相手は一応、人間。


なら、一気に背後に回れば、そのまま驚いている間に倒せる、はず。


ここは一気に脚に力を込めて……。


「だぁっっ!!」


!?


「ふふ、それじゃ甘いですよ?」


……今のが、時間停止か。


一瞬だけブレたが、本当に瞬間移動しやがった。


これじゃ見えない。けど、


「これだけじゃないさ」


黒鍵Ⅱ五十本。


全剣、投擲。


「なっ」


ダッシュは相手の気をそぐための行動。


本命は、上空に投げた黒鍵Ⅱ。


時間停止のスキルなら、何処へ行っても避けられない攻撃なら意味が無い。


広場全域、黒鍵Ⅱで埋めた。これなら、どうだっ。


「んてね。ふふふ」


!?


「おいおい、マジで反則じゃねぇか」


こいつ、ナイフが落ちる寸前で時を止めて、ナイフの位置を弄りやがった。


停止中も干渉できるとはいえ、そんなのありか。


「ま、それも最後じゃないけどな」


「!?」


こっちも囮。


昔っからバトル漫画は囮が二重なんてよくある事だっ。


ほんとのほんとの本命は、手の中に残しておいた黒鍵Ⅱ。


こいつを、一気に投擲っ。


「どうだっ!」


正確には、ナイフが落ち始めた時には既に投げている。


丁度、避けきって安心している『時詠みの巫女』に当たるように。


これは避けられない、はず。


少なくとも、人間の反射ならば。



「砂埃っ……」


あー、黒鍵Ⅱ五十本は流石にサービスしすぎたか。


後はハルを回収するだけか。



ただ、投擲の時に確かにあいつの頭を狙った。


殺すことになるが、それ以外にハルから避ける方法が無い。


人、殺しちまったかもな。


「ああ、とうとう俺も、本物の化け物か」


「さて、それはどうかしら」


「なっ!?」


こいつ……。


「ふふ、『時詠み』をなめないで、ね?」


右手に握った血だらけの黒鍵Ⅱ……、素手で取りやがったかっ。


確かに、頭で考えるより脊髄反射のほうが反応は早いが、冗談だろ。


「なんつーチート……」


「ふふ、それじゃ、貴方の負けね」


げ、時が止まり、やが、った。


「じゃ、楽しかったわよ?」


待、ち、、や、が、れ。


「バイバイ。ゾンビ君」



こ、、の、、、や、、、、。



、、、、、、、、、、。


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