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第三十五話――屍の本気

さて。


「逃げるか」


何度も言うが、この戦闘においての最優先事項は殲滅戦では無くあくまでハルの奪還。


やる事やったら逃げるのが王道である。


「え、ちょっと、タカアキ! 逃げるなー!!」


ハルが抱えた左腕の下から何か言っているが聞こえない聞こえない。


というか、今の状況は色々ヤバいんだよっ。


「侵入者ども!!」


ほら、言ってるそばから親衛隊とのエンカウントだ。



親衛隊1&2(入口見張り)

・騎士装備(西洋剣・西洋盾・鋼製鎧)


親衛隊3~8(五階見張り)

・騎士装備(上に同じく)



何か二人から増えてるが、さっき飛び降りた時の振動で集まってきたのだろう。


「やっぱ、もっと慎重に行くべきだよなっ」


とりあえず目の前の親衛隊Bをジャンプしつつ足蹴にして、そのまま右腕で着地、そして右腕回転キック。


「とりあえず八人!」


まだまだ先は長い。何せ百人抜きだからな。



「止まれ! 何者だ!」



親衛隊9~18(四階見張り)

・騎士装備



ええい、またか。


というか、これ階層ごとに居るんじゃないだろうな。


「賊徒とみなす! 攻撃せよ!」

「「「「はっ」」」」


ったく、無駄にチームワーク良いな、おい。


「だらぁっ」


懐に入らせてくれそうになかったので、正面突破。


ハルを抱えて、背中から超速ダイブ。


「げ」


「タカアキ!」


けど、槍が一本刺さった。


「ハル、は大丈夫か」


貫通はせず、背中に刺さっただけ。


「なら、問題無いか」


「問題大ありさ! この馬鹿タカアキ! また死んだらどうするのさ!」


「大丈夫大丈夫、今度は死なないって」


無論、そんな保証は何処にも無いがな。


「うー。まぁ、タカアキの事信じてるけどさ……二度と死なないでよ」


「了解、マイマスター」


無茶はあんまりしない方針か。


なら、秘密兵器の出番だな。


「居たぞ! 侵入者だ!!」



騎士団1~15(三階第一広場見張り)

・騎士装備(以下略)



では、黒鍵Ⅱの実力を味わうが良い。


「そらよっ」


右手の指に三本の剣を挟んで、投擲する。


この、投げる寸前にボタンを押して、投げられてる間に刀身が伸びる様にしておくと、


「がぁっ!」

「がはっ!」


たとえ鋼の鎧装備の上からでも相手を吹き飛ばして気絶させる程度の威力は出るのですよ。


「ビンゴ!」


騎士団3,6,7を吹き飛ばす。


「何が……」

「茫然としてる暇はねぇよ、そらもういっちょう!」


もう一度マントから黒鍵Ⅱを取り出しつつ右手に挟む。


そして出す勢いのまま投擲。


今度は騎士団2,4,5,10,12,14が吹っ飛んだ。


「何を投げた……っ!?」


「お前らの相手はしてる暇ないんでねっ!」


そのまま隙だらけになった残りの騎士団の間を走り抜く。


「さてと、ハル。左手が塞がってるのでどうにかしたいのですが」


「どうにかって、どうするのさ。ボクは今の状態じゃ防御もできないよ?」


「そうだな……背中に掴まれるか?」


「背中か……。うん、分かった」


おんぶ状態のハルをマントの下に隠す。これなら誰かわからないだろ。あからさまに誰かいるけど。


「ええと……右手に、力を……」


そういやハルも<宿す>が使えるんだっけか。


「んじゃ、行くぜ」


「うん、これなら大丈夫」



「止まれ! 今すぐ止まらねば命の保証は無いぞ!」



騎士団16~45(三階第二広場見張り)

・騎士装備



しっかし、何かこれ先に行けば行くほど人数増えてね?


このままだと今に大隊みたいなのにあたる羽目になるぞ。


「とりあえず、お前らはここで沈んでなっ!」


黒鍵Ⅱを今度は一本だけ取り出す。


そして、そのまま右腕全てを使い切って振り投げる。


「「「「がぁっ!」」」」


おっし、騎士団18,25,32,41の人、貫通。


この方法もなかなかにイケるな。


「今、何をしたっ」


というか、騎士団には見えてないのね。俺の華麗な投擲。


そりゃ早いけどさ。別に何を投げたか見えないほどじゃないだろ。


「さぁてねっ」


ま、見えないなら好都合。


一方的な攻撃になるだけですよ。


「ほらよっ」


今度は両手でそれぞれ一本ずつ全力投擲。


「「「ぐぁっ!!」」」


今度は三人貫通か。


あ、ちなみに当ててるのは手や足なので死んではいません。


胸とか当たったら致命傷だからね。殺さない主義な俺は優しいんだよ。


「んじゃぁなっ」


慌て始めた騎士団の間を縫うように走り、二階への階段へと急ぐ。


窓は既に封鎖されてるし、今の時間に外壁に張り付くと、恐らく外からばれる。


そうなると、ただの的になるから、ハルを抱えてる今は外からのショートカットはできない。




「そこまでだ」


おやおや、今度は大隊丸ごと出てきやがった。



騎士団46~100(二階見張り)

・騎士装備



「こりゃ、随分と大所帯で」


「ふん、好き勝手暴れている様だな? 侵入者」


「まぁね」


「さて、……戦闘開始だ、諸君。決して油断するな! 相手はここまで包囲網を突破してきた。ここで何としても食い止めよ!」


「「「「「「はっ!!」」」」」


こりゃ、予想外に辛いかもな。


「んじゃ、派手にいきますかっ」


とりあえず大跳躍。


そのまま5mほど、天井すれすれまで飛び上がる。


「対空! 弓兵!!」


「はっ!」


対応早っ!?


ま、良いけどね。このジャンプは逃げのジャンプじゃなくて、攻撃のジャンプ。


「これでどうだっ」


両手に黒鍵を三本ずつ挟み、一斉に投擲。


それをそのまま三セット連打。


「「「「がぁっ!?」」」」


上空からの刀剣落とし。


騎士団48,52,53,59,62,67,75,76,77,91,93,96,97に計九本の剣が貫通しつつ当たる。


ヒットは少ないが、何より無差別にあたるという事実が相手を怯えさせる。


「奴は化け物かっ……」


はいはい、化け物化け物。


化け物になるだけで、ハルが救えるなら結構。むしろ安い代償だね。


「さて、それじゃあサヨナラ」


「「「「なっ」」」」


そのまま跳躍を天井で蹴り返し、入口側へと降りる。



中々に良い効率で抜けられなかったか、今の?


「あ、大丈夫か? ハル?」


「…………」


まぁ、ちょっと味方も約一名気絶しちまったけど。



さて、残るは100人。


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