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第三十三話――巫女様の寝顔

「おいおい、マジであのおっさん何モンだよ……」


現在位置、『時詠みの巫女』本教会地下三階。


街の別の教会にある、なんか怪しめな穴を抜けた先が繋がってるって話だったのだが……。


ここまで簡単に入れるとは聞いていない。


「警備もこんな所じゃザルだしな……」


天井に張り付いてしばらく通行人を観察してみたが、定時の見回りの、すごくやる気なさそうな奴等しか来ない。


ちなみに、天井に張り付いた方法は、誰にでもできない方法。


ちょっと石に指をめり込めただけ。ね、簡単でしょう?


ただ、難点は降りる時に指を外すのがえらく面倒という事。


「さて、っと」


両手の指を外し終わって飛び降りてみる。


警備の時間的にしばらくはここには誰も来ない。


「後は登っていけばいいんだよな」


ここが白い塔の最下部。


で、最上部が『時詠みの巫女』の部屋。


ハル、と思わしき少女は未だ護送中。ただし、明日の朝にはここに着く。


そして、基本的に宗教裁判が始まってしまえば全騎士団に護られ、ハルを助ける方法は無い。


ただ、一瞬だけ、『時詠みの巫女』への謁見の際に、騎士団が離れる隙がある。


ここは騎士団の総本部でもあるから、ばれた瞬間から200人以上の騎士と戦うことになる。


難儀な事に、貴族上がりの使い物にならない騎士は地方都市でお仕事させられるらしい。


よって、ここに居るのは無駄に強い奴等だけ。


仮に上手くいったとしても、最低でも『時詠みの巫女』親衛隊10人とは戦う事になるから、いかに戦闘回数を減らせるかが勝負だ。



「よっ、ほっ」


階段は使わず、窓を利用して登っていく。


登るのはそこまで難しくない、問題は誰かに見られないかどうか。


一応、太陽は沈んでるから、黒いマントが上手く隠してくれるよう祈ってるしかないのだが。


「ここが、三階っと」


窓から空き部屋と思わしき部屋へと入る。


『時詠みの巫女』が居るのは五階だから、後二階分登らなければならない。


「疲れないのは良いが、緊張するよな……」


誰かに見らているかもしれない、という恐怖は意外ときつい。


ただ、肉体的には疲れてないのだからこうやって休憩を取る必要は無いのだ。気休めはこの辺にしてさっさと登ろう。



「さて、と」


もう一度、壁に指を突き刺して登っていく。


ちなみに指は痛くない。痛覚なんて切ってある。


コツが難しいのだが例の新技の時に、感覚を切れる事に気が付いた。


今のとこ切れるのは掌と指先と、足か。


ま、アレはそうでもしなきゃやってられない技ではあるのだが。



「着いたか」


五階の窓から部屋の中へ侵入完了。


「『時詠みの巫女』は睡眠中か……」


無駄に豪華な天蓋付きベッドの真ん中に、少女が眠っている。


暗くてよく見えないが、白……もとい銀髪か?


顔立ちは完璧美少女、どっちかっていうとハルみたいなお人形系か。


ただ、すさまじく肌が白い。


日の光に当たってるのか? と言うほどに白い。真っ白。


ただ、何処か健康的では無いイメージなのは気のせいでは無い筈。


目は閉じてるから不明。身長その他も毛布で隠れてて不明。


ただ、総合評価としてはかなり綺麗なお方です。


「うーん、美少女を苛める俺の主義に反するんだがなぁ……」


まぁ女神との契約だし仕方あるまい。


報酬は先払いでもらってしまっているので、キャンセルはできないのだから。


「上手くいくといいが……」


なんとなく、目の前の少女が全ての元凶とは思えないまま、部屋の天井へまた登る。


そして、屋根の板を外して、屋根裏へ。


何か色々とおかしい気もするが、まぁ気にしたら負けさ。


そしてこの屋根裏の存在を知っていたあのおっさんは何者かっていうのも気にしたら負けさ。


「さて、おやすみー、っと」


明日が本番、今のうちに体をできるだけ回復しておこう。


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