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第二十七話――騒乱の幕開け

「で、次のコイツは、東方から来た武器で、正式名称は無いんだが、アタシは「霆落とし」って呼んでる。一見ただの棒だが、この端っこのトゲを地面に刺すと、そこに雷を誘導できる。雷って当たったことあるかい? あの威力は本当に高くてね、威力は申し分ない。問題点は、雷が鳴ってる時じゃなきゃ使えないんだが――」


……眠い。


いや、ファンタジー武器を眺めるのは良いのですが、店長、お話が長いとです……。


「……――……」

「――で、コイツの出番だ。コイツは天候を支配する武器……だったんだが、失敗作だ。ただ、雷を呼べる、それだけの武器。しかも雷雲を呼んでも相手に当たらないって駄作。だから、天候を操るようなモンでもアタシが手に入れられたんだけどね。ただし、これを「霆落とし」と組み合わせて使えば、ラグと準備が難しいんだが――」


「すいません、なんか外が騒がしくないですか?」


「――やはり成功した時の威力は相当になると――ん?」


「……ぇらどっ………てな…」

「………はただ………だ………」


外がガヤガヤって感じで騒がしくなっている。


いや、この音だと、この店のすぐ外じゃなくて、街の入り口あたりか……?


「そんな音聞こえるかい?」


店長には聞こえないらしい。うーむ、結構遠いのか。


「ちょっと、見に行ってきます」


「あいよ、ほら、マントと入ってない分の伸縮剣だ」


黒マントの内ポケットに黒鍵Ⅱを入れてもらって、残りは俺が適当に買ってきた旅行バッグに入れてもらった。


「ありがとうございました、また来るかもしれません」


「そん時はまた面白い素材を持ってこいよー!」


「はいはい、では」


話が長いこと以外は良い人だったな、店長。


ただ、二度とドラゴンには会いたくない。ああ、絶対に。


「さてと……どうするかな」


騒ぎを見に行ってもいいが、ここはハルを追ってさっさと聖都につきたいという気持ちもある。


実際にはもうちょっとなら間に合いそうなのだが、取り返しがつかなくなるのだけはごめんだからな。


「……離し………っ!」


!?


今のは――――エテの声?


「……行ってみるか」


もし、イヴェールみたいにただ不良に絡まれてるだけなら、さっさと助けて終わりだ。


ただ、俺の第六感がその程度じゃないと言っていた。




さて、この辺は俺が入ってきた方とは逆の出口なんだが、確かにこっちからエテの声が――


「このっ! 離しなさいっ!!」


!!


居た。


エテと、それからベラノも後ろに居る。


街の外側には、足音的に鎧で固めた兵が二十人くらいか。


数人はこっちからでも見える。エテを囲めたは良いが、捕まえ方をどうするか考えてる感じだな。


鎖らしき物を持ってるから、あれで縛る気なんだろうが、暴れてて上手く縛れないって奴だな。


「暴れるな、エテ・エル・エンペシア」


ボスらしき唯一マントをつけている騎士がそう諭すように話してるがエテには聞こえてない。まぁ、普通そうだろうけどな。


さて、現状は――


騎士団長(仮)

・西洋剣(なんかヤバイと第六感が言ってる)

・西洋鎧(銀色ピカピカ。実戦向きじゃない可能性有)

・マント(青色、いや藍色か)


騎士団A~T(街の入口あたりで待機)

西洋剣(ノーマル)

西洋鎧(ノーマル)

・西洋盾(ノーマル。青い十字架みたのが描かれてる)

ただし、全員気味が悪いほどに同じ装備。ヘルメット被ったら誰が誰だかわからんと思う。


ちょっとつらいか。


タイムリミットもあるし、ここは――


「取り返してさっさと逃げた方が良いかなっと」


エテとベラノを囲んでいた騎士EとFを蹴り飛ばし、一気にエテの所まで行く。


そのままエテを左にベラノを右に抱えてジャンプ。


向こう側の家の屋根に着地。


「我ながらナイス強奪」


「あなたはっ……」


「おー、にーちゃんだ、久しぶりー」


おう、久しぶり。


「なっ!?」


「上だっ! 逃がしたっ! 撃ち落とせっ!」


あれ、随分と早く立ち直ったな。


家の屋根って意外と盲点なんだがな、バレちまった。


「ま、逃げるしかないけどな」


無駄な時間はいらん。さっさとおさらばおさらば。


「待って!」


……だから何故そこで「マッテ!」とか言うんだよエテは。


「……何だよ?」


「ペンダントをっ!」


ペンダント?


ペンダント、ペンダント――もしかしてあの騎士団長が持ってる赤い石ですか?


あの、右手にがっちし握られてる、アレ?


「ペンダントはこっちにある、問題は無い! 確実に包囲しろっ!」


…………。


あ、あぁ、そういう戦いなのねー。


ははは、……そういう話は早くしてほしい。


「ったく、とりあえず」


いくつか通りを飛んで、さっきの武器屋の前にダイブ。


足がちょっと痺れた。いや、問題無いけどさ。


「いらっしゃ――ってアンタか」


「ああ、俺だ、オレオレ」


オレオレ詐欺。名前は名乗らないよ。


「なんだい、また武器の話でも――」


「すまん、訳は後で離すからちょっとその二人預かっといてーっ!」


「あ、おい! ……行っちまいやがった。まったく、しょうがないな」


済まないな、店長。


あの騎士団無駄に足早くてすぐそこの通りまで来てるんだよ。


エテとベラノも上手く空気読んで自分で隠れてくれるといいが。


そこは上手くいけと祈るしかないな。


後は俺が――囮として土埃上げながら走ってりゃいい。


「っ! 見つけました!」


おっと、もうバレたか。


さて、武器屋からは……大分離れてる。これならエテとベラノは店の中に居れば問題は無い。



「さて、と」


目の前で盾を構えつつ叫んでる騎士Bはしばらく放っておいて、軽く準備体操。


理想は乱戦の中でペンダントを取る事だが、あの騎士団長、たぶん実戦には出ない。


となると、必然的に騎士のほとんどを相手にして、騎士団長を裸にする必要がある。


まったく、面倒な事してくれやがって。


「ったく、体力の温存とかどっかいっちまうじゃねぇか」


エテとベラノを追っていた連中。


十中八九、ビレイ村を殲滅した奴ら。


そんな奴ら相手に、



俺が、手加減なんて出来る訳無いじゃないか。


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