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第二十五話――ドラゴン咆哮

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


「ごぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


誰かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!


助けて。




ぜぇ……ぜぇ……。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


誰か、ホント助けて…………。


この、ドラゴン、煩すぎる……。


耳、鼓膜破れるっ!


というかさっきから破れては治って破れては治っての繰り返しで耳が痛いっっ!


「というかっ―――」

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」

「ドラゴンって言ったら炎だろうがぁっっっ!!!!!」


こいつら炎吐かない癖に咆哮ばっか放ちやがるっ。


誰か耳栓ください。


ホント、切実にっ!


もう粘土でいいから耳塞ぐもの下さい。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


「だぁぁぁっ!! ちょっと黙れぇぇぇっっ!!」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


もうやだこの山。


なんだよ、咆哮ドラゴンって。ティガ○ックスですか? ティガレッ○スなんですか?


追剥なんかの比じゃ無いっ! ていうかまだ炎のドラゴンの方がマシだったような気がするよ。


ホント、はた迷惑なドラゴンだよ。


しかもさ、ここ洞窟なんだよ? 声が反響してやばいんですけど。


こう、音波が体を貫通していく感じがする。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


がぁっ!!


耳を手で、というか腕全体で覆ってるけど無理。音が耳を切り裂く感じがする。



「だぁっ! お前、俺を怒らせたなぁっ!!」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ……あ?」


ドラゴンだからって容赦はしないっ! いやむしろ出来ない。


全力のっ! 全開でっ! 倒してやるっっ!


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


「そこのドラゴンっ! 黙りやがれぇぇええっっ!!!!!」


全力で右腕を叩きこむ。


こう、攻撃後の一切を考えない全力の一撃。


右腕そのものを砕きながら打ち抜く超ドストレート。


筋肉への負担? そんな物耳以下だ。


骨への負担? そんな物も耳以下だ。


人間、痛みを感じる場所が大切なんだ。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」


「耳元で叫ぶなぁっ!!」


再度、再生した右腕を叩きこむ。


もうなんか吹っ切れました。ええ、右腕一本ぐらいで静かになるなら儲けものです。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ―――」

「叫ぶんじゃないっっっっ!!!」


咄嗟に左足を踵落とし。


今度は左足が折れたがまぁ大丈夫。耳の痛みがガンガン響いてて足の痛みが脳に届いてない。


「ぎゃ……」


「まだ叫ぶかっ!?」


「ぐぅっ……」


お? 倒れた?


おお、討伐完了。


クエストクリアー。お疲れ様でした。


「はぁ……はぁ……、もう……死ねるっ……」


反動ダメージと耳だけなのに、満身創痍。


やっぱ、この一撃、強いけど疲れるっ。


体は動かないので爽快に地面に寝そべる。


あ、欠伸出た。


ドラゴンなんて倒すもんじゃないね、うん。



まぁただ。


「ドラゴンですら倒せたか……」


インドアの宿命である、あんまし筋肉ついてない右腕を見つめてみる。


けど、この細腕で倒したんだぜ? 凄くないか?


いやまぁ、二回ほど壊したけど。左踵の分もあるけど。


「…………新技完成っ、てとこか」


名づけるなら……愚者の一撃、とか? このネタマイナーすぎて伝わらないかも。


まぁあれだ。原理は同じ。


こっちの被害とか怪我とか一切無視した一撃。後始末は放棄。


筋肉すらぶっちぎって相手に拳を叩きこむ。そんな感じ。



ま、でも。


これなら、届くかもしれない。


ハルを連れ去った、俺を殺した、あいつらに。


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