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第二十三話――襲撃者

つん。


つんつん。


ペロッ。


ペロペロペロ。


ガリッ。


「痛ぇーーーっ!?」


痛いっ。


何かに噛まれた!?


「痛つ……一体誰だ! こんな事しやがったのは!」


鼻先が痛い。噛みあととか付いたんじゃないか? 今のは。


一体誰が、犯人だよ。


しかし。回りには誰もいない――が俺の嗅覚が誰かが居ると伝えている。


「ん? どこに居るんだ?」


俺の目の前の――下?


「!!」



……リス?


何かこう、リスによく似たヤツが居るのですが。


ただ、……尻尾が二つあるが。


「何だこれ」


ちょっと尻尾を手でつまんでみる。


「…ー! …ー!」


あ、もがいてる。


暴れたって逃げられな――


「痛っつ!」


今度は指先が痛い。


しかも、これまたミニマムな歯型に赤くなっている。


「噛みやがったな!」


「!!」


あ、こらまて。


逃げるな。待ちやがれっ。


「……! ……!」


あれ? どこだ?


この先にいった……よな?


「どこいった?」


地面を見てみるも、当たりは荒れ放題。


まともに地面が見える場所の方が少ない。


「逃がしたか……」


どっかに隠れてる気もするんだがな。


「まったく、なんだってんだよ」


人差し指の噛まれた所や鼻先の歯型は既に治っている。


痛みも、もう引いたからいいものの。


「次会ったら覚えとけよ……」


「ほう、次とは?」


「ん?」


あれ?


いつの間にか顔の傷跡だらけのおっさんが目の前に。


「お前が何をしたいのかは知らんが、次は無いぞ」


おいおっさん、何故に剣を抜く。


「お前はここで……死ぬんだからなぁっ!」


ざしゅ。


頭からずばっと切られました。


痛いです。とてもとても痛いです。


「ふん、生き残りは二名と聞いていたが、まさか帰ってくるとはな」


「……ったく、何すんだよ」


傷が治っても痛いものは痛いんだよ。大きいと治るのにも時間かかるし。


「なっ、何処だ!」


何処だ! じゃねぇよ。出会い頭に途端斬りやがって。


「痛いじゃねぇか」


「なっ…………」


あーあ、このテの傷が治る時は嫌いなんだよ。


びちゃびちゃとちょっとR-18な音が耳に響くから。後、とっても痛いし。


「人の事何殺してくれてんだっ!」


だからちょっとしかえし。


いえ、正当防衛です。思いっきり正当防衛ですとも。


「ぐはっ」


肋骨三本か。いい仕事をした。


ついでに木のささくれにダイブしたので追加ダメージ。


「怪物っ……」


まったく。怪物はどっちだ、辻斬り野郎。


「ぐっ……」


「こんなもんか」


手をぽんぽんして汚れを落とす。


ついでに仲間がいないか俺の五感サーチで検索っ!


「ん?」


サーモグラフィー(感覚)に反応有。


「そこか?」


20mほど離れた所に……体長10cmほどの熱源反応。


「ああ、さっきのリスもどきか」


「ーー! ーー!」


「コイツを教えてくれたんだろ。ありがとよ」


頭なでなで。


「ーー!」


あ、目を細めた。うーむ、予想以上に可愛いな。


「ーーー!」


ん? 鳴き声が他の所からも聞こえてきた。


「って、……行っちまいやがった」


もう一つの鳴き声の場所を探していたらいつのまにか手の下から消えていた。


「ま、サンキュー」


「ーー!」


リス語は分からんが、なんとなく「どういたしまして」という気配が伝わりました。


うむ、世の中助け合いだな。


そう、助け合いこそ大切。いがみ合いや、まして殺し合いなどもっての他。


そんな奴らにはちゃんと怒ってやらなきゃな。


「さて、そんな訳で何の用かゆっくり話し合おうか?」


殺し合いどころか、一方的にこっちが一言も発する間もなく殺したんだからな。


そりゃぁ、ちょっと痛めな尋問して用を聞くのが筋でしょう。ねぇ?




「しっかし、厄介な事になったな」


とりあえず拳についた血を拭く。


いえ、ただの鼻血ですよ? ははは、それ以外の血が出るわけないじゃないですか。


「偶然、ってのは重なるもんだな」



お兄さんと拳で語り合った結果分かったのは、


『時詠みの巫女』がこの村の殲滅を依頼した事。


この男の属するチームがそれを受けて、この村を壊滅させた事。


全員残らず捕まえてこい、という命令だったという事。


ただ、二人だけ逃がしたので現在この男のチームがその二人を追っているという事。


二人組はこのあたりに潜伏中である事。


そして、



二人組の名は「エテ」と「ベラノ」である事。


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