第二十話――屍と赤毛の双子
「これで、最後か」
右手でアイアンクローを追剥(雑魚)に決める。
タイム:5分28秒 ← new!
周囲には、気絶した追剥の山。
真ん中に、ちょっと血等に濡れた俺。
あれ? 俺殺人鬼?
「おいおーい、死んでないよなー?」
ちょっとそこの死体Aに聞いてみる。
「バケ……モノ……」
うし、ちゃんと生きてますね。
死んでたらハルに頼んで生き返らせなきゃらなかったからな。
面倒事は増えないに限る。
「さて、と」
ちょっと時間を食ってしまったが一応殲滅完了。
「サンドイッチは……食えないよなぁ」
が、しかし。
ある意味ハルは何も食べてないのかもしれない。
「そう考えれば、何も食べなくたって――」
ぐぎゅる。
……無理でした。
どこかに食べ物、落ちてないでしょうか。
「(なぁなぁ、話しかけてみようぜ?)」
「(やめときなって! この命知らずっ!)」
「(だけどよ、強い奴みたいだし、面白そうじゃん)」
「(馬鹿姉っ! そんなことで殺人鬼に話しかけないでよっ!)」
「(いいじゃんかよー。ちょっとだけちょっとだけ)」
「(この馬鹿っ! 阿呆っ! 戦闘狂っ!!)」
「(戦闘狂でも構わないもんねー)」
「(私はもう知らないっ! 勝手にしてっ!)」
はぁ、なんか幻覚みたいな声まで聞こえるし。
ってか。
「そこに居るの、誰だ?」
「「!」」
聞こえた声は――
「ここか?」
おう、なかなかに美少女な方々が二人いらっしゃいました。
オレンジ色、というか赤毛か?
日本人には間違ってもいない独特の色をした美少女、というか片方は美女って感じだな。
そんな方が二人。
どちらも目を真ん丸に見開いてて、驚きの表情。
けど、片方は怯えと恐怖で、片方は羨望と期待で。対照的なお顔。
しゃがんでるからよくは見えないけど、片方が肩よりちょっと長いくらいの髪を所謂ツインテにまとめてて、もう片方はショート。
ツインテの方はこの世界の女性身長平均って感じで俺より頭一つ小さい。ショートの方は俺よりは小さいが、差は僅かって感じか。
「あ、あの、私達は旅の者でっ! これでご勘弁をっ!!」
「あ、ちょ、エテ!」
顔が元に戻ったと思ったらあっという間に駆けていっちゃった。
ああ、せっかく野郎どもを殴り続けて荒んでた俺の心を癒してくれるかと思ったのに。
ていうか、あれ?
今の人たちから食べ物分けてもらえればいいじゃん。
「あ、ちょっとすいませんー」
ダッシュをかけて走ってる二人に並ぶ。
「え、あ、ひゃぁっ!?」
「おわっ、凄ぇっ!」
あれ、更に二人の速度が上がった。
「ひぃゃぁぁああああ!!」
そんな必死な形相で逃げられても困るのですが。
というか、御飯ー。
「誰かー! 助けてー!」
「ひゃはは、逃げろ逃げろー!」
ってか片方楽しんでないか?
「ちょっと待った!」
一気にスピードを上げ、二人の前に回る。
「ひゃっ!?」
「おわっ!?」
っと。
勢いを殺しきれなかった二人を抱きとめる。
いえ、下心などありません。等しく自然法則です。紳士たる者レディーにやさしくしただけです。
ちょっとショートの方が胸が大きいなんて、そんな事欠片も考えていませんとも。
「ぐ、離しなさい……っ」
ああ、ここで離したら逃げられるので離せません。
いえ、ただ逃がしたくないだけです。ちょっといろんなところが当たって嬉しいなんて考えてませんよ。
「解けませんか……ベラノはどうですか?」
「うーん、……解けない」
あら、こっちのショートの方は力が強い。
気を緩めたら逃げられそうだ。
「おーい、ちょっと話があるのですが」
御飯御飯。ごはんプリーズ。
「たとえ捕まっても山賊などの言いなりになどっ!」
話が繋がってない気がするのですが。
「そんな事するぐらいなら死んだ方がマシですっ!」
えっと、何を勘違いされてるんでしょーか。
「ちょっと……ご飯分けてくれないかな?」
「「へ?」」




