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第十八話――蘇る屍

「………キさ……、…カ……さん」


眠い。


「タ……キ……、…カア…さ…」


物凄い眠気の中、何かが眠りを妨げている。


「……アキさ…! タカ………ん!」


何だ。何の用だ。


俺は眠いんだ。眠らせろ。


「タカアキさん!」


ひときわ大きい声が、頭に響く。


嗚呼、微睡(まどろみ)が消えていく……。


「一体何だってんだ……」


眠り眼を擦りつつ、頭をガジガジしてみる。


無理。やっぱ頭起きない。


「タカアキさんっ!」


んぁ?


「イヴェール、か?」


涙で腫らした顔が痛々しいイヴェールがそこにいた。


「一体どうした?」


そんな顔になるには、それこそ一晩中泣いてなきゃならないぞ。


「タカアキさんが、死んだかと思ってっ!!」


あ、そっか。俺死んでたのか。


「大丈夫、生き返ったから」


起き上ってみるが、体に痛みは無い。


胸のあたりを触ってみても、傷一つ残ってない。よし、問題無し。


まぁ、大分人間から離れた感はあるがなぁ。


「丸々二日も、起きなかったんですよっ!」


ああ、また涙が。


「泣くな、……それより他に何かあったのか?」


「それとっ!」


「それと?」


「ハルさんが、攫われて……っ」


!?


「ハルが? 誰に!?」


「『時詠みの巫女』の騎士団の人達に……」


あのヤロウども……。


しっかし、何故?


「はい、ハルさんは、その……、異形の物を造ったという罪で……」


異形……。俺の事か。


「ちっ、宗教裁判でもおっぱじめようってのか」


「はい……」


ったく、イヴェールの囮といい、人攫いといい。


女神に頼まれなくても壊滅させてやるっての。


「? そういやイヴェールは何故ここに?」


ここは恐らく部屋の感じから俺達の城で間違いない筈。


「私は……タカアキさんを城まで連れて行って、それで……」


街から追い出されたか……。


「私は大丈夫です、それよりも早くハルさんをっ!」


「まぁ待て」


「だけどっ! 私のせいでハルさんがっ……」


「まだハルが殺されたとは決まってない」


大丈夫。


俺の第六感は、まだハルが生きてるって言っている。


それに、女神がコンタクトを取ってきたって事はまだハルが死んでない可能性の方が高い。


となると、ハルは未だ護送中と考えるのが自然か……。なんで女神が、この俺に頼んだか見えてきたな。


「何、ハルも俺が助け出してくるさ」


「はい……」


体は万全。『本気』の後遺症も無い。


「問題は、その騎士団どもがどこに行ったかだが……」


「わからないです……」


だよなぁ。


「とりあえず、行った方向は?」


「あっちの方へ……」


この城から見て、街とは反対方向か。行ったことは無いな。


「遠くに行くとかは?」


「わからないです……」


情報は皆無、か。


だが、なるようにしかなるまい。


女神はああ言ったんだ。辿り着けぬ事は無いだろう。


「行ってみるしかない、か」


「タカアキさん……」


ああもう、そんな心配そうな顔すんなっ。


「大丈夫、俺は『死なない』さ」


イヴェールの頭をなでなでして涙を引っ込ませる。


「それじゃ、急いで出発だな」


とりあえず金貨箱から金貨を10枚ほど拝借。


下手に荷物を持っては、遅くなる。これと服があれば十分。


「ハルさんを、絶対助けてください!」


「ああ、もちろんさ」


さてと、それじゃ。



敵は『時詠みの巫女』とその手下の騎士団。


目標は騎士団よりハルを取り返し、『時詠みの巫女』を沈黙させる事。


時間制限は、ハルが奴らに処刑されるまで。



さて、少々出遅れたが、反撃開始だ!


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