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突然ですが、貴方は異世界に召喚されたいですか?  作者: 十三月
第二章――喧騒と怒号が響く街
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第十六話――時詠みの巫女

「らぁぁぁぁぁああああ」


体に宿る激怒のままに、自分の中の、咆哮を開放する。


骨は軋み、拳が震える。


肺は膨らみ、血が沸騰する。


興奮剤の塊を突っ込むかの様に、撃鉄を振り下ろした。



地面を手でつかみ、狼のような状態で、地面を四肢で蹴る。


ぽかんとした表情のイヴェールを視界にかすめ、門へと突き進む。


先ほどの咆哮でこちらにばれた事に気付いたのか。


それともばれる事は計算のうちだったとでも言いたいのか。


門は呆気無く開き、入った瞬間に閉められた。


敵勢力は――


青年1(大将っぽい。一番先頭に居る)

・槍(3メートルぐらいか。超巨大)

・鎧(銀色。この世界で珍しく合金っぽい感じがする)


騎士1~20(右側に10人、左側に10人)

・槍(80センチほど。スピアって感じか)

・盾(1メートルほど横幅もある。模様は特に無し)

・鎧(鈍色だが、金属)


騎士21~40(後ろの方の建物の屋根の上に各々乗ってる)

・弓(どっちかっていうと弩? ボウガン?)

・鎧(軽装。金属でないヤツも居る)



しっかし。


「随分とまぁ大勢で」


暴れる体を抑えつつ、大将らしき男へと挑発を飛ばしてみる。


「聞いた通り、化け物の様だな」


が、今度の奴は余程自信があるのか、口の端を歪めて皮肉を返しやがった。


街長の策略だのはどうでもいいが、この男は強いと第六感が警鐘を鳴らす。


ここは部下から沈めるべきか。


「全僧兵、『時詠みの巫女』の名の元に、戦闘開始っ!」


は! 今度は『時詠みの巫女』と来たか。


随分と厨二が多い世界で。


が、しかし。そんな名前とは裏腹に動きはどうやらプロの模様。


「盾で囲えっ!」


きっちし体を盾で護りつつ、包囲網を狭めるやり方。


どこぞの傭兵とはレベルが違うっぽいな。


けど、この体はチート性能なのでっ。


「何処へ行った!?」


素で5メートルほどジャンプできるんですよね。


いやー、空が綺麗だ。


「上だっ!!」


いや、もう遅いです。


とりあえず、右側の騎士4の上に着地。


ぐしゃって音を聞きつつ、命は取ってないと確認してから、未だ盾を明後日に向けたままの両隣の騎士3と騎士5に回転蹴りを喰らわせてみる。


「相手は化け物だっ! 気を抜くなっ!」


ええ、気を抜いてたら勝てませんよ、俺。


というか、一般人じゃ俺に勝てる人いるのかなぁ。


嗚呼、ぜひファンタジーな力を持つ方とお会いしたいものです。


「ぐえっ」


とか考えつつ、とりあえず5人ほど沈めたのですが。


「弓兵っ」


いつのまにか騎士達が下がってて、矢がこっちに向いてましたよ。


「始めっ」


横へのダッシュで避けようとするも、何発か被弾。いや被矢か?


「ちっ」


わき腹に刺さった矢を引き抜く。


トゲトゲな矢じりがとても痛いです。


当ててくれたのは――騎士23、25、26、30、38か。


「せいっ!」


なので投げ返してみました。


お目目を狙ってやろうかと考えたのですが、優しい俺は同じくわき腹で勘弁してあげたのです。


「もう一度一斉発射っ!」


またも降り注ぐ矢の雨。


いや、雨にしては少ないか。


これなら、いけるか……?



「なっ!? 矢を空中で掴んだっ!?」


うーん。なんかどっかの漫画で見たシーンですな。


あっちは銃弾だっけ? すごいよねー、人間じゃないよねー。


「お返しな」


こちらの矢も持ち主のところにお帰り願いました。


大丈夫、足を狙ったので致命傷はゼロですよ。


「くっ! 全僧兵っ! 刺突の陣!」


と、今度は騎士1~20(数人欠落)がフォーメーションを変えましたよ。


今度は、真ん前に騎士11、12、13の盾。そのすぐ後ろに青年1。


けど、一目見て違うのは。


「へぇ、その槍って実戦で使えるんだ」


青年1の持ってる槍が三人の盾の間から飛び出ております。


しっかし改めてみると凄い槍だな。


普通に3メートル以上あるか。人間用じゃないなありゃ。


「お前のような対化け物では特になっ!」


と、巨大な槍が迫って参りました。


ああ、騎士15さんお疲れ様です。そんな無駄に大きい物振り回すなんて。


「けど、これってただの的だよな」


しゅっ、って感じで懐に突っ込んでみました。


さぁて、至近距離でどう料理してくれようか。


「今だっ!!!」


!?


盾だけが急に素早くっ!


「なっ」


押し潰されるように盾で押し返してくるっ!?


「これで、止めだっ!!!」


と、盾の隙間から、巨大な槍が構えられているのが見えた。


あれは……刺さったら痛そうだ。


けど、死なんだろう。きっと。俺ゾンビだし。


「<時針>っ!」


ざん。


胸に巨大な槍が刺さった。


その槍が、沈み込んで、体にめり込んで……。


あれ、なんでだ……。


意識が……。


遠く……。



「タカアキっ!!!」


最後に、どこか聞き覚えのある、声が聞こえた気がした。


そして、俺は、意識を、手放した。


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