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突然ですが、貴方は異世界に召喚されたいですか?  作者: 十三月
第二章――喧騒と怒号が響く街
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第十話――午後ティー(微糖)

さて、そんな訳で、上手くイヴェールとハルをお店へとご案内。


ちなみに、ここら辺で一番綺麗お店を選びました。いえ訂正します、しか選べませんでした。


正直、中世ヨーロッパ風をなめていた。まさか糞尿放置までとは……。


みなさん、トイレは正しく使いましょう。


「ま、この店は外観が綺麗だし問題無いだろ」


そんな中辿り着いたのは白い壁が綺麗に映えた喫茶店。


ちょっとこじんまりしている感じがあるが、中々良さそうなお店である。


「じゃ、入るか」


ちなみにこの世界に「ごめんください」や「何名様ですか?」や「ご注文がお決まりでしたら御呼びください」は無い。当然無い。


店に入ったら自分で椅子を見つけ、机に持っていって勝手に座れ。である。イヴェールがそう説明してくれた。


ハルが道中の会話で勝手に誤爆ってくれてなければ俺も分かんなかったけどネ。


ちなみに二人の仲は見た目のオブラート一枚分は仲が良さそうである。その下は知らん。


「ええと、タカアキさんはどれを頼みますか?」


イヴェールさん、笑顔で聞いてくれるのは嬉しい。


が、しかし。


「読めん……」


何かミミズがのたくったような感じの字らしき物があるだけで正直どこまでが一文かすらわからん。


「?」


が、この世界唯一無二の字が読めなかったらイヴェールに怪しまれてしまう。


どうするっ!? どうするよ、俺!?


「あ、ボクはテキトーでいいよ。イヴェのと同じのでいいから」


その手が有った! GJハル。


「俺はいいよ、イヴェールが頼んでからで」


「え、あ、はい」


二人揃って具体的に言わない事に困惑したのか、急にメニューに目を走らせるイヴェール。


「え…………」


けど、何か様子おかしい。


何か急にだらだら脂汗をかいてませんか?


「あの、私は…………いいです」


あれ? 何故に?


「遠慮しなくてもいいぜ?」


「タカアキさん達に迷惑かけるわけにはいきませんし……」


話が見えない。いったい何事ですか。


「「?」」


?がダブりましたね。ハルと。どうでもいいけど


「その、私、お金が……」


「へ?」


ハルが読みもしなかったメニューに目を通す。


「ケルク山脈産茶葉使用アイスティー、銀貨20枚」


そしてメニューを読み上げる。うむ、それ頼もう。


しかし、何か問題が?


「安くない?」


「信じられないほどお高いですっ!」


あ、お値段の方か。


なるほど、銀貨20枚とな。確かにそれは高そうだ。金貨半分くらいか。


いや、物価知らないから具体的には分からんが。


「ああ、お金なら大丈夫」


が、しかし。そんな事にめげてる暇は無い。アピールチャンスである。


「金貨なら10枚ほど……」


ちょっと服に手を入れる振りをしつつ、足元の金貨箱から金貨を数枚取り出す。


「ね?」


「あ、それボクのお金っ!」


バレた。というか。


「バラすなよ、ハル」


「嘘吐きは狼にでも食われちゃえっ!」


嗚呼、俺のお金がハルにひったくられてしまった。無念。


「…………」


そしてそんな漫才を前に固まってる方が約一名。


「えっと、その、ハルさんとタカアキさん達は一体どういう方なんですか……?」


「さぁ? 一般人AとB?」


「主人と下僕」


「誰が下僕だぁっ!」


俺はハルの下僕になった覚えは無いのですが。


というか、ゾンビになったからって主人に従順だと思うなよっ。


「あ、ハルが下僕とか?」


「さて、タカアキの自爆スイッチはドコだったかなー」


「あ、ちょ、ストップ。そう言うの無し。心臓に悪いから」


心臓無いけどね。


「(貴族様とかそう言うのなんでしょうか……?)」


「へ?」


「い、いえ、なんでもないです」


いや、ハルには聞こえなかったかもしれんが俺には聞こえたぞ。


なるほど、無駄に金持ってるのは貴族な訳ですね。


そんで怪しむだけってことは、恐らくこの辺に貴族が来ることは稀、か。


なるほど、ハルの常識が当てはまらないところも多そうだな。


「さて、じゃあ今度はちゃんと注文を――」

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああ」


ふむ、本日二回目の悲鳴。しかし美少女臭がしない。


「で、注文を」


「黄色い声じゃなかったら無視するんだ、タカアキ……」


何、俺は忙しいのです、イヴェールさんを落とすために片時もほかの事を考えている暇などないのです。


「ぎゃあああああああああああ」

「良い悲鳴ですね。宴の始まりには丁度良い!」


再び聞こえた声は野郎どもなので無視。耳の一片すら傾ける必要はない。


「さぁ、始めなさい!」


「で、注文を――」

「へっ、邪魔するぜぇ」


今度はドアを蹴破られる音で掻き消されましたよ。


「はぁ、俺は、これでも比較的平和主義なんだが」


とりあえず、何かの拍子に店の物壊すと弁償させられる可能性が高いので、まず立って椅子をテーブルの中に入れておく。


で、更に店の損害が多くて本日臨時閉店にでもなってイヴェールとそのなんとか山産紅茶が飲めなくなると困る。


なので。


「少し俺が注文終えるまで黙ってようかっ!」


侵入者君に右ストレートをぶち込む事にする。


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