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判明

娘の部屋を内緒で掃除をする。

「どうしてまた?」

私は日に日に増える人形のミヤ子に絵を見て気が狂いそうになる。ぬいぐるみやパステルカラーのカーテンがあるのにミヤ子とミヤ子の絵でどす暗い空間になった。ずっといるのがとても気が重い。彩葉とその友達が毎日のようにミヤ子の絵を描くのが日課になってる。それさえなければどこにでもいるような女の子なのに。日記にすらそんなものがたくさん書かれるようになった。

「あやちゃん、どうして。」

ずっと人形と絵を眺めていると目がぐるぐると動き出している。

「邪魔をしないで。」

「邪魔はしてない。あなた達こそ何者なのよ。」

「私はあやちゃんの友達。あやちゃんと友達になりたくてこの家にきたの。」

「お義母さんを殺ったのもあんたなんでしょ!正直に答えて。私はあやちゃんに傷ついて欲しくないの。」

私は涙を流しながら言った。

「私がやった証拠はあるの?」

「ないけど、あなたを見た日からどんどん不幸が家で起きてくの。旦那とは不仲になるわ、ストーカーにつけられるわで。」

「それもただの偶然。」

人形はケタケタと笑う。笑いすぎて顔が取れてしまった。

「何がそんなに面白いのよ!ねえ、答えて!」

「ママ!しっかりして!ママ!」

「あやちゃん、オンライン授業じゃなかったの?」

「ずっと1人で暴れててどうしたの?何か大変なことでもあるの?何かあるなら私ママのこと手伝うからさ。」

彩葉は勝手に部屋に入ったことに怒らなくなった。むしろものすごい心配してる様子だった。

「私は人形のこと見てたのよ。」

「ミヤ子ちゃんは私の勉強部屋にいるのよ。ここにいるなんてママの見間違いだよ。」

「あやちゃん、確かにここで見たのよ。」

人形と何を話してたまでは娘に言うことは出来なかった。確かに娘の言う通り人形もなかったし、人形の絵ですらどこにも見当たらない。

「ほらどこにもないでしょ。ママ、前から気になってたけどミヤ子ちゃんのこと怖いの?」

「怖くなんかないわ。呪いの人形なんて子供騙しよ。そんなものに振り回されないの。だけどあやちゃんが人形と仲良くしたい気持ちは尊重する。」

「ママって怖い話しが嫌いなのね。呪いの人形はいるよ。でもミヤ子ちゃんは呪いの人形なんかじゃないよ。ミヤ子ちゃんは良い人達の味方なの。ママは常に良い人でしょ。だからミヤ子ちゃんもママの味方なの。」

だんだん娘が何を言ってるのか分からなくなった。私の見たものが幻覚なのかそれとも実体なのかも分からなかった。

「それならあやちゃんの味方でもあるね。勝手に部屋に入って騒ぎを起こすつもりはなかった。ごめんね。」

私は娘の部屋を出た。


いつものように夕ご飯を家族3人で食べる。

「ママの作るドライカレー本当に美味しい。最高!」

「ありがとう。」

「何か味薄くないか?俺味薄いの好きじゃないんだよ。」

「あら、ごめんなさい。」

旦那の料理に対する文句も前より酷くなっていた。ろくに料理ができないのに。

「前は良かったのに。味見してないだろ?」

「味見したけど。」

旦那の携帯が鳴る。

「電話なってるけどでなくて良いの?」

私は彼に言った。

「もしもし。」

旦那はキッチンのほうで電話をする。またあの女から何だろうか?

「え?それ本当か?嘘だろ!」

かなり動揺してる様子だった。

「分かった。」

旦那は電話をきって食卓に戻る。

「ごちそうさま。」

「今日は私が洗うからそのままにして大丈夫よ。」

「分かった。」

娘は部屋に戻った。

「誰から電話だったの?すごい慌てた様子だったけど。」

「俺の同級生が亡くなったんだ。」

「そうだったのね。」

「あのホームパーティーにも来てたやつだ。」

彼の同級生は無差別殺人の通り魔に後ろから刺されて亡くなってしまった。

「冬弥がまさかあんな目に合うとは思ってもいなかった。それに通り魔の犯人まだ逃げてて捕まってない。」 

「そうなのね。」

私からしたら他人事だった。確かに周りで不幸なことが起きてるがそれが旦那の知り合いのあまり得意な人じゃないとなるとどうでも良かった。私からその同級生についてきくことなどない。聞かなくてもどう言う人間か想像がつく。

「それに梨花のやつも離婚した。明子、ここを出て別の所に引っ越さないか?この家で過ごしてから周りで不幸が起きてる。俺達だって前より何も解決しない言い争いばかりになってるだろ。」

「住宅ローンがまだ残ってるのに簡単に引っ越すわけ?それに人形の迷信なんて私は信じないことにしたの。そう言うありもしない不安に駆られて正常な判断が出来なくなる方が問題よ。変なこと言わないで。」

「賃貸で貸せば良いだろ。」

「反対よ。あなたが良くてもあやちゃんはそんな急なこと受け入れられないの。部屋だって気に入ってるし。」

「彩葉が今良くてもいつか何か起きたら遅いんだぞ。」

「私達には何も起きないの。誰だって生きてれば幸せなことも不幸なことも起きるもんよ。他の人には分からないだけで。」

本当は私だって人形のせいにしたいし、娘や彼女の友達ですら人形を好きになってる。彼女達を無理矢理私が引き離すわけにはいかない。私が決めたわけじゃないし、誰かに言われたわけじゃない。私の本能と言うものが働いている。

「良い?早まったことはしないで。」

それに旦那の周りがどうなろうが私にとっては知ったことではない。

そんなことで言い争ってるうちにまた新たに不幸なことが起きる。

「どうしたの?そんなに慌てて。」

「俺の叔父さんが車にひかれて亡くなった。」

「あらそう。」

「何だその他人事な態度は!人が1人亡くなってるんだぞ。」

「逆に何を根拠に他人事だと思ってるの?」

「その人が死んで当たり前のような態度のことを言ってるんだよ。」

「逆に言うけど私の家族のことについてあなたそれほど関心持ったことある?」


旦那は私の家族のことを聞いたことはなかった。

「伯父さんから結婚記念日祝のものを貰ったわ。」

父親は母親が重い病気になって彼女を捨てるようにして離婚。そして母親は私が14歳の時に亡くなった。祖父母は10代になる前に亡くなった。私が唯一関わりがある親族は母方の伯父くらいだった。

「だから伯父さんの今度の誕生日の時に何かプレゼントしたいの。何が良いと思う?」

私に残された親族を大切にしたい。どんな時だって母と同じくらい私の幸せを願っていたから感謝をしたい気持ちでいっぱいだった。

「何でも良いじゃないか?明子があげるものなら何でも喜ぶだろ。」

「それを一緒に考えて。」

「お前の伯父さんとは数回しか会ってないから俺が簡単に意見して変なプレゼントをするわけにはいかないだろ。だからそれは明子1人で考えたほうが良い。」

「そんなこと言わないで。結婚記念日のお祝いは私だけじゃなくて克也にもしたのよ。だからちょっとで良いから一緒に考えて。」

「お返し合戦になるだけだろ。今度それを気持ちで返せば良いだけだ。」

私の提案を少しも考えてくれなかったし、私の伯父にすごい無関心だった。私は克也の義母にどれだけ関心を持って寄り添ってるかも知らないで他人事だった。この時私は思った。夫婦とは婚姻関係が結ばれただけの他人同士のつながりだと言うことを。絆などおとぎ話の世界だけだと思ってた。口に出さなくも頭の中で熟考しなくてもそんな考えが頭によぎった。


「俺が悪者だと言うのか?俺一人を悪者にしたいのか?君は優先順位と言うものを良い年して知らない。何より大切なのは遠くの親戚より近くの家族だろ。俺にはお前らを養う責任がある。君はそんな大きな責任を負わなくても良いだろうけどな。とにかくお前と彩葉を大切だと思ってる。」

「何よそれ。克也、ずるいこと言うのね。」

私はどんな気持ちかも分からず涙を流した。彼の期待を抱かせる言葉にいつもいつも私は取り乱してる気がする。最初からそうだったのか分からない。新築に住んでからそのような言葉が多くなった。

「泣くな。舞とはただの友達だ。あいつは男友達のような関係だ。あんな奴に嫉妬することはない。俺がお前を守るから。」

その後旦那と久しぶりに夜の行為を行った。


「皆、もしも付き合う彼氏が浮気するならどうする?」

ある日娘の部屋にお菓子を出そうとしたら娘とその友達が踏み込んだ話しをして入れるすきがない状況になっていた。

「ちょっと、まりちゃん、美咲の前でそう言う話やめな!」

理恵が行った。

「良いの。私はそれとは別のことで考えてるから。」

「私は分からないかな。多分悲しむかも。好きな人とかできたことないから。」

「彩葉好きな人いないなんて。隣の家の男の子は?」

「まさかそんなふうに見てないよ。」

「私もあやちゃんと一緒かな。それと正直私のパパを奪った浮気相手のこと正直許さないよ。だから私は同時にその浮気相手を恨むかも。」

美咲が言った。

「美咲ちゃん…」

「ねえ、もうこの話やめようよ。」

「そうね。言いだしっぺの私が悪かった。美咲が傷ついたらごめん。辛い時はいつでも話して。」

「ねえ、皆のパパとママは大丈夫?」

美咲が全員に聞いた。

「私は大丈夫よ。」

「うちも大丈夫。」

「うちのパパとママも仲良しだよ。だってこの家にはミヤ子ちゃんがいるから。」

娘は気味が悪い人形を友達に見せびらかした。

「羨ましいわ。私の家にもミヤ子ちゃんが欲しい。」

「うん、分かる。」

「ミヤ子ちゃん人形がいたら私のパパもママのこと裏切ることなんてなかったよね。あやちゃん、ミヤ子ちゃんきっと幸運を呼んでくれるよ。だから大切に扱ってね。」

「もちろんだよ。皆と同じくらい大事な友達なんだから。」 

娘も友達もどうかしていた。


「行ってくる。」

「今日はジムとか寄るの?」

「悪いけどそうする。」

「今日は許すわ。だけどあやちゃんとの時間を大切にして。」

「分かってる。」

そして私は夕方頃旦那の様子を作家仲間の1人と一緒に観察した。

「あれ?旦那さん、ジムの方通り過ぎたわ。レジーナさんが言ってた会員証のお店寄らなかった。」

「あとを追うよ。」

私達は気がつかれないようにあとを追う。

「あれ、誰!」

「静かに。まさか、宮内舞?いや…違う。」

旦那と会っていたのは私の全く知らない女性だった。

「どう言うこと!」

「静かに!気がつかれるわ。」

そしてさらにあとを追う。

「あの2人どこに行くの?」

「何で私に聞くの。そんなの私が知りたいわ。ここってまさか。」

私達は繁華街にいた。そして2人はレンタルルームに入ろうとした。

「嘘よ。嘘でしょ。」

私は写真を撮って、携帯をそのまま落とした。

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