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関係

最近旦那の様子が変だ。

「今日は2人にお土産だ。」

「やったー!」

お土産に毎日ように娘が喜ぶ。

「やけに遅かったね。」

「ジムの帰りに買ったんだ。」

「この前通ってるジム解約したから帰りがはやくなるとか言ってなかった?」

「悪い。他に良いジムが見つかって。」

「そう。」

最近は帰りが遅くなってはお土産ばかりだ。

「背広かけときますから。」

背広からはいつもしない香水の匂いがたまにする。

「今日は背広からいつもしない匂いがするのね。香水にでもはまったのかしら?」

「そ、そうだ。」

「私この匂い嫌いなのよ。かいでると具合悪くなるわ。」

旦那にそう言ってお風呂に入った。お風呂場で汚れだけではなく、誰のか分からない不愉快な匂いを落とした。

「最近うちの嫁がやたらヒステリックで手に負えないんだよ。だからお土産でも買って嫁の機嫌を直してあげてるんだよ。また機嫌損ねそうだから気をつけないといけないな。」

こっそり旦那が通話してることを聞いた。

「お前は昔からのだちだ。俺のこと何でも知ってるよな。」

電話の時はいつもと違う旦那だった。

「昨日は誰かと電話してなかった?」

「昔からの友達と話してたんだ。」

「そう。友達と話す時は幸せそうね。」

「まさか聞いてたのか?」

「わざと聞かせてたんじゃないの?それならあんな通話私のいる空間でする必要ないよね?私のこと嫌いなんでしょ?だけどあなたがどうしようが私は別れない。大事な娘のためにはね。」

私は旦那携帯を壊して洗い物をした。

「何するんだよ。物に当たること無いだろ!」

「私が悪いと言いたいのね。あなたの気持ちはよく分かったわ。だけどあなたが良い父親でいるには必要不可欠の手段なのよ。」

「明子、相変わらず恐ろしいな。気持ちの浮き沈みが激しいから今はよく休んだほうが良い。」

「また同じセリフ?都合が悪くなるといつもそう言うふうに言うよね。いくらでも私のことを悪く言うが良いわ。」

私は旦那と口論した後、人形を持って仏壇の前に行った。この日は不思議と人形が怖くなかった。私はピアノの不気味な音楽を流しながら踊る。体がどんどんはやく動く。異常なくらいに。

「そうよ。もっと楽しそうに踊って。」

私は不自然に笑う。そしてまた体が勝手に動く。何故か嫌な気分ではなかった。

「いつまでも忘れない。気が済むまで忘れないわ。」

私は気がついたら歌っていた。人形は私くらいの身長になっていた。

「そうよ。それで良いのよ。」

電気が全て消える。娘が私と人形が踊っている様子を楽しそうに撮影していた。

「わ、私何してたのかしら。」

気がついたら私は倒れていた。娘もいなくなっていた。

「あれ?ない!嘘よ!」

義母の遺影がいつの間にか消えていた。

「どう言うこと。」

私は突然の事態をどう対処することも出来なかった。

「あやちゃん、私のこと動画で撮ってた?」

「撮ってないよ。何で?」

「何となく聞いてみただけよ。あやちゃんがそんなことするはずないわよね。」

「そうだよ。私がママのこと突然撮るわけないよ。」

「次も授業でしょ。勉強部屋に戻ってね。」

「分かってるよ。」

私は多分どうかしていたのだろう。


「こんにちは。」

「こんにちは。」

隣の家族は私達の家とは違って幸せそうだ。知りもしないのに羨ましく感じる。

「綾人、塾に送れるわよ。」

「お子さん、高校受験なんですね。」

今まで隣の家の人とプライベート話を持ちかけたことはなかった。 

「そうですね。中学受験に失敗してかなりプレッシャーを感じてて。公立の中学に入りました。だけど高校は名門私立大学の付属校に入る為に一生懸命頑張ってるの。娘さんも中学受験の時じゃないの?」

偏差値の高い名門大学に入れれば将来安泰で理想的な人生を過ごせると信じているのだろうか。正直他の家の子供にはそこまで関心ない。彩葉の友達以外は。

「いえ、私の娘は中学に行かないので。娘が中学に行きたいと思えば中学に行かせますし、行きたくなければ無理に行かせません。これがうちの方針です。」

「でも学校に通わなければ社会性は身につきませんよ。」

「その社会性の定義は何ですか?」

「学校は会社や一般社会の社会常識を学んで社会に適応する場です。行かないとお子さんかなり困るかと思いますよ。」

隣の藤原さんは悪気なく言ってることは分かってる。私は彼女の思う社会性の全てが正しいとも思わないし、その社会性の中には精査されるべきものもたくさんある。それに彼女のことを心の奥底で分かろうとなんて思わない。

「社会性なんて常に変わるものなんですよ。学校が全てだと私は思いません。」

「私は本当に心配して言ってるんです!このままだと本当に社会に出て困りますよ。困るのは相田さんじゃなくて、娘さんですよ。よく考えて見てください。」

「何を言おうとうちの教育方針を変えるつもりはありません。」

2つの言葉がぶつかり合う。同じ言語でも通じ合えない。同じ言語でも方向性が同じとは限らない。

「それでは私は買い物をするので。高校受験成功するように陰ながら応援してます。」

社会性などあってないようなものだ。人間の本質は自分勝手だから。

「いらっしゃいませ。」

スーパーでは機械のようにマニュアル通り文句すら言えない店員がレジ業務をしてる。

「あら、明子さん。」

「あなたは?」

「やだ、忘れないでくださいよ。私、舞よ。」

「どうも。記憶力がそこまで良くないもので。」

興味ない人は覚えようとも思わない。旦那の幼なじみと言う理由で距離感近い人間のことなど私は興味がない。

「こんな所で会うなんて奇遇ですね。最近克也が疲れてるって話を男友達から聞いたんですけど何か知ってますか?」

「旦那ならいつも元気ですよ。騒がしいくらい元気ですし。娘にも最近ケーキとかを買ったり、仕事後ジムに行く元気くらいありますよ。その情報誰から聞いたんですか?」

「色んな男友達から聞いたのよ。」

私が詳しく聞こうとすると困っているようだった。

「その色んな男友達って?全員の名前言ってください。」

「覚えてるわけないでしょ。それにあなたに娘がいたなんてはじめて聞いたわ。克也からもそんな話聞いたことないわ。」

旦那は表面的には娘に関心を持ってるけど、彼からしたらいない存在だ。

「この前旦那が開いたパーティーでいましたけど。あなたの娘さんのせいでかなり悩んでいたみたいですけどね。」 

「それどう言う意味よ。私の娘を悪者扱いしないでくれる。あなたに娘がいるなんて分からなかった。相当陰の薄い子のようだね。存在感ないわね。あら、ごめんなさい。私本当のことついつい言ってしまうので。ストレートにものを言う性格なので。」

「陰の薄い子と言って自分の認識能力のなさを誤魔化してるんですね。まあ良いですよ。あなたの挑発で怒れるような気分ではないので。」

私は宮内舞に相手できるほどの気分ではない。人形のこと、しつこい客のこと、旦那との夫婦関係で悩んでるから彼女のことは今はどうでも良い。まだあの客につきまとわれてるような感じがするし、いつ見てもミヤ子と言う人形が不気味だと思うから毎日毎日気が気ではない。

「そう言えばこの前不安にさせてすみません。」

私はじゃがいもを袋に入れる。

「何のことですか?」

人参を袋に入れて行く。

「私と克也が付き合ってたことですよ。だけど今は応援してるんです。2人の夫婦関係がこれから先も上手くいくように。私と克也は今は男友達みたいな感じなので。ストレートにものを言い合える関係なので。」

私はじゃがいも投げた。

「痛い!あっ!服が汚れたじゃないの!」

「すみません。投げたつもりなくて。」

「この服お気に入りなの!」

あの女は服着た人間ではなく、服を着たゴミ箱だ。口からどんどん有害な言葉を出すゴミ箱だ。どんなに良いものを着ようとどんなに良いものを食べようとどんなに良い旦那と結婚生活をおくれてもゴミ箱と言う本質は変わらない。

「私は用事があるので帰りますね。」

私はスーパーをあとにして帰宅した。

「ママ、今日の夕飯何?」

「今日はあやちゃんの大好きなカレーライスよ。今日はいつもより勉強頑張ったからね。いつも頑張ってるけど、今日はいつも以上だったわ。」

「そう言えば、ママには話すけど、美咲ちゃん今パパとママが喧嘩してて大変なの。私は美咲ちゃんのこと心配で。」

「どうして?もちろん私はあやちゃんのこともあやちゃんの友達のことも言わないわ。」

「美咲ちゃんのパパが他の女の人のこと好きなって会ったから大変なの。美咲ちゃんのママにも心ないことたくさん言ったり、何も気にかけてくれなくなって。」

「一番辛いのは美咲ちゃんよ。」

「そうだよね。でも私はどんな辛い時も3人の友達だよ。」

夫婦の関係は子供がどうするかは大体の場合どうすることも出来ない。特に世間が結婚至上主義であれば離婚した子供は不幸な眼差しを向けられる。

「明子!」

カレーライスができあがり、ちょうど旦那が帰って来た。

「おかえりなさい。」

「ちょっと向こうで話せるか?」

「分かった。」

私達は娘が夕ご飯を食べてる間話をした。

「今日、同級生から電話が来て、服を汚したようだな。ちゃんと謝らなかったって言うけど本当か?」

「本当よ。謝る価値がないと思ったから。この際だからはっきり言うけど今まであなたの同級生だから悪く言いたくなかったけど、私宮内舞が嫌いなの。よくあんなのと付き合っていたわね。」

「分かった。服は俺が代わりに弁償する。」

「そう。まだあんな女のこと気になってたの。」

「今はただの友達だ。不安にさせるつもりなんてなかった。だけど舞のことは悪く言うな。俺の友達だから。」

「私はあなたが本当に潔白だとはっきりさせたいの。」

「だからただの友達だ。不倫なんてするわけないだろ。」

「それなら私のお願い聞いたら私はあなたが潔白だと認めてあげる。もし拒否でもしたら許さない。」

「お願い?」

「私、宮内舞のこと嫌いなの。今日もストレートにもの言うとか言って平気で娘のこと悪く言うし、一言一言が人を馬鹿にするような感じだし、あなたと距離感が好きじゃないの。今後あの女と関わらないならあなたとことを許してあげるし、潔白を認めてあげる。拒否するなら何が待ってるか楽しみにしててね。」

旦那と私は見つめ合う。

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