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接近

休日になり、娘が友達の家にお泊まり会することになった。真理子の家だ。友達の真理子も私達と同じように一軒家で生活をしている。

「克也、どこに行くの?」

「2階に行ってくる。」

いつもしない大がかりな掃除をした。

「ここか。この不気味な人形は。」

旦那は娘の部屋に勝手に入って人形を手にとった。

「何してるの!いない間に勝手に入るならまだしも、娘の私物を勝手に動かしてどうするつもり?」

「これを捨てるんだよ。」

「捨てるですって?やめて!」

「今捨てていつの間にかなくなったことにすれば全て解決するだろ。」

「本当に何が起こるか分からないからやめて。」

「捨てに行く。」

「待って。」

旦那を追うように外を出た。

「待って!はやまったことはしないで。どこに行くの!」

つい大声を出したから周りの人からの視線を感じた。私が頭おかしい人かのように見る目線か迷惑な行為をしてる人かのように見るというところだろうか。だけどそんなことを気にしてられない状況だ。

「どこに行ったのかしら。」

私は旦那を見失ってしまった。

「もう何なのかしら。」

私はあきらめて家に戻った。

「おかえり。人形は見つかったか?」

旦那は私の方を見て笑った。

「嫌味かしら。」

「必死そうに人形を探してたもんだから。」

「なんてことしてくれたの!」

「明子、しっかりしてくれ。君の頭の中は人形のことでいっぱいなのか?あれは誰のものでもない。何かの手違いでうちに行き渡ったんだ。気にすることはない。」

「もう私は知らないわ。」

私は掃除を再開した。バッグの中を整理する。

「ずいぶん整理できなかったわね。あれ、このメモは。」

そのメモは引っ越し業者の青年、金井宗治のIDなどが書かれたものだ。何故か捨てる気にはならなかった。すぐ近くにゴミ箱があったが私の財布の中に彼のメモを入れた。


「パパ、ママ、ただいま。」

「彩葉おかえり。」

「あやちゃん、おかえり。」

私は娘を抱きしめた。

「もう、ママは相変わらず大げさだよ。」

娘は照れくさそうな感じだった。

「彩葉、お泊まり会はどうだった?」

「真理子ちゃんの家、うちより広くて、プールとかもあったから楽しかった。それに九官鳥をよく話してて面白かった。パパより話すの上手かも。」

「パパが口下手だと?まあ楽しめて良かったな。」

「真理子ちゃんが突然枕投げしだして、仕返しにたくさん枕投げたけど負けちゃった。真理子ちゃんは運動神経抜群だよ。学校でも一番走るの速いし、たびたび表彰されるし。」

「枕投げか。パパの小学生の時を思い出すな。」

「あなたはいかにもそう言う悪ふざけしそうね。」

「からかうのもやめろよ。」

「それとお泊まり会で奇跡が起きたの。」

「奇跡?」

彩葉の表情は幸せそうだった。

「お泊まり会について来たの。」

人形のミヤ子を見せながら言った。

「ミヤ子ちゃんがついて来るなんて思ってなかった。」

「良かったわね…」

「ママ、パパ、どうかしたの?もしかしてミヤ子ちゃんのこと嫌いなの?」

「まさかそんなわけないでしょ。あやちゃんの友達のことなんて悪く言うわけないでしょ。」

「そうだよね。」

舞い上がって走って階段をかけあがり、部屋に戻った。

「克也。」

「何だ?彩葉のことか?」

「当たり前よ。他に何があると言うの。もしかしてあやちゃんに申し訳ないと思って真理子ちゃんの家にその人形を届けたんでしょ。きっとそうよ。」

私は変な気分だった。冷や汗が止まらない。

「馬鹿言うな!俺がそんなことするわけないだろ。だって昨日公園で捨ててきたんだぞ!」

「それじゃあ、あやちゃんの家に何であると言うの!あなたが捨てるなんてするからこんなことになったんじゃないの?どうなのよ!」

「明子!落ち着け!そんなの関係ないだろ!最近の君は間違ってる。おかしい。母親として娘を正しい方向に導くのが役目だろ!」

「もう私どうすれば良いの。ただでさえ変なお客さんのことで悩んでるのに。」

「変な客ってなんだよ。どうして話してくれなかったんだよ。」

「この前話したけど、詳しく話した所であなたが聞いてくれるわけないでしょ。」

「良い加減にしろ。」

旦那は私を突き飛ばした。

「私を突き飛ばすなんて最低!今までのあなたはどこに行ったのよ!こんなの克也じゃない。」

「何でそうなるんだよ。」

私は旦那に暴力を受けたことは今までなかった。何で旦那がこんなふうになってしまったのだろう。

「正直に話してよ。あの人形捨ててないのよね?」

「だから捨てたと言っただろ。これで十分だろ!明子?」

「嘘よ。」

不安で仕方ない。もうどうしたら良いか分からない。

「明子、大丈夫か?明子!しっかりしろ!」

いつの間にか視界がまくっらになった。暗闇の中からかすかに旦那が叫ぶ声が聞こえたような気がする。


私は気がついたら病室にいた。

「明子、やっと起きたか!」

「私はいったい何をしてたのかしら?」

「家の中で気絶してたんだよ。」

「私が気絶?」

私は連日のストレスと過労で倒れてしまった。その後旦那が救急車を呼び病室に運ばれた。

「ママ!起きて良かった。」

彩葉は私を見て泣いていた。

「ごめんね。心配かけて。こんなつもりじゃなかったの。」

「謝ることじゃないでしょ。ママがいつも言うように謝るのは人を傷つける悪いことをした時でしょ。気絶だって、ママがそうなりたくてなったわけじゃないから。」

「私はもう平気よ。」

私達は手続きをして、病院を去った。

「今日は明子は疲れてるようだから外食に連れてってやる。」

「やったー!」

「お言葉に甘えるわ。」

家族3人で高級中華料理店で食事をした。


娘はいつものように自宅学習だ。

「今日はてこの原理について解説します。」 

「宜しくお願いします。」

「てこには支点と言う支えになる点の上に板などを載せます。少ない力で重いものを持ち上げるメリットがあるんです。」

私は娘がオンライン学習を勉強部屋でしている間に部屋に入った。そして人形を見つけた。

「これね。」

とても不気味だったので木の箱に入れた。すると箱が揺れだした。

「な、何よ!捨てないから許してよ。旦那みたいに無下に扱わないから。」

そう言っても箱は揺れ続ける。

「めいちゃん…」

「何だって?」

箱の方から声が聞こえた。

「めいちゃん、ここから出して。」

教えてないはずの小学校の時友達に呼ばれたあだ名で呼ばれた。

「あなた、喋るの…?」

箱から出したら無言になった。

「ねえ、何か言ってよ。」

すると人形が勝手に笑いだした。

「いや!何よこれ!」

人形を落としてすぐに娘の部屋を出た。

「お義母さん、最近うちで変なことが起きてます。」

私は義母の遺影がある仏壇の前にいた。

「旦那が捨てたはずの人形が家に戻ってきたり、一人でに目が動いたり笑いだしたり、それが突然廊下に落ちたり、今日なんて人形が箱の中で喋りだして…娘がいるので中々人形を捨てることが出来なくて。もしかしてあの人形ってお義母さんのですか?」

聞いたところで遺影の義母が喋り出すわけではない。私は不安の中でかすかな期待を持った。

「お義母さんの形見だとしたら娘があの人形にすごい愛着湧くのは分かります。お義母さんは彩葉のことをすごい可愛がってくれましたし、彼女もお義母さんと一緒の時はいつも楽しそうだったので。」

義母と娘は娘が幼い時からよく遊んでいたし、お互い笑顔が絶えなかった。2人でカフェに行ったり美味しいものを食べたり、植物園に行ったり、それくらい義母のことが好きだった。葬式の時もかなり泣いていた。夢にも義母が出ることがある。

「きっと幸せを呼ぶ人形なんですよね?そうですよね?」

義母の遺影を力強くつかみながら私は泣いた。涙が止まらず仏壇に涙がこぼれ落ちて、鈴に涙がつもった。私は疲れて数分間ベッドに寝込んだ。頭がとても痛かった。しばらくして作品づくりに戻った。

「そろそろ夕ご飯の支度しないと。」

家族そろって食卓を囲む。

「パパ、この公式分かる?」

「どれ?これは簡単だ。」

「2人とも、勉強のことは食事の後にして。」

「分かった。」

「今日は電話が殺到して大変だったな。」

いつものように旦那の仕事の話を聞いた。

「え?」

「停電か?」

家の電気が消えた。

「急にどうしたんだ?」

「そんなに電力使ってないのよ。電子レンジも使ってないのに何でかしら?」

「明子、彩葉、ここにいろ。俺がブレーカーをチェックして来る。」

旦那がブレーカーに問題がないか確認しようとした。

「ママ、私達大丈夫なの?何も見えないよ。パパは大丈夫?」

「大丈夫。皆大丈夫よ。安心して。何かあったらママがあやちゃんのこと守るから。」

何が起きてるのかさっぱり分からない状態だった。窓とドアが風で揺れる音が聞こえた。

「あー、やめろ!」

「克也!」

暗闇の中克也の悲鳴が聞こえた。

「パパ!パパ!」

「あやちゃん、大丈夫だから。パパはこんなことで死なないから。」

「きゃー!」

何も揺れてないのに皿が落ちた。娘と一緒に私は悲鳴をあげた。

「ミヤ子ちゃん、もうやめて!」

「あやちゃん、何言ってるの?」

しばらくすると音がなくなって静まった。また何か現れそうな感じだった。

「電気がついたわ。」

「良かった。」

「そう言えば、克也が危ない!」

旦那のところに向かった。

「克也!」

旦那には皿の破片が腕に当たって怪我していた。

「大変だわ。今すぐ手当てするから。下手に動いたりしないで。」

私は旦那を手当てした。出血が酷い状態だった。包帯を何重にもまいた。

「ありがとう。」

「こちらこそブレーカー直してくれてありがとう。」

「いや、ブレーカー直そうとしたが何も異常はなかった。」

「それなら何で電気が消えたの?」

「油断は出来ない。不審者が家に入って来たかもしれん。」

「警察に電話する。」

「いや、俺がボコボコにしてやる。」

「あやちゃんの前でそんな姿見せないで。」

「おい、誰かいるのか?ここにいるならボコボコしてやる。今すぐここを出てけ。」

あたりを見合わしても誰もいなかった。

「何だったのかしら?」

何故か娘はニコニコと笑っていた。それからも私達の家や周りでどんどん怪異が起きる。

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