残酷な記憶2
彩葉は克也と舞をにらむ。
「何してるの?あんた達何やってるのか分かってるの?」
「もう一人の主役の登場。」
「小学6年だからって許さると思ってるの?はやく服を着せて。」
「まあ落ち着けよ。哀れなヒーロー神林さん。」
「あやちゃん…助けて…」
とっさにそんな言葉が出た。
「これからゲームをはじめる。その名もいじめられっ子戦闘ゲーム。まずは服を着て。大事な写真を撮ったから。それと携帯を壊しても無駄よ。」
彼らは悪知恵だけは一人前だった。
「中元が神林を20回ビンタしてさらにコーラをかけたらゲームクリアとして撮った写真はばら撒かない。もしゲーム辞退するなら写真をばら撒く。」
相田克也は笑いながら言った。
「あやちゃん…私、あやちゃんを傷つけることなんてできない。」
「駄目だよ。私をビンタして!そうすれば助かる!」
「でも…」
「私は良いね。」
「自己犠牲なんて、私そんな苦しい思いするあやちゃん見てられないよ。」
「明子ちゃんの夢応援したいから。明子ちゃんの未来に汚点を残したくないから。はやく!」
私は涙を流した。止まらなかった。そして私は彼女をビンタした。
「1!!」
またビンタする。
「2!!」
「3!!」
「い、痛い…」
「あやちゃん…やっぱり…」
「良いの。続けて。」
どんどんビンタする。
「15!!」
「16!!」
私の息はどんどん苦しくなる。周りはゲーム感覚でこの異常な光景を楽しんでいた。
「17!!」
「18!!」
「19!!」
「20!!」
全て終わった。
「最後に仕上げにコーラをかけて。」
コーラと私の涙が混じる。
「よくできたじゃん!」
「マジでやったじゃん。笑えるんだけど。」
「神林さん、可哀想。あんなに中元さんのこと守っていたのにこんなかたちで裏切るなんて。」
「いじめっ子ってあんたなんじゃないの?」
彩葉以外全員私に嫌味を言いながら笑う。
「あやちゃん…ごめん…」
何も言わず彼女は走って出て行った。
「良い?これから私達に逆らったらあの画像ばら撒くから。」
「そんな!あのゲームで終わりじゃなかったの?酷い!」
「うるせぇ!」
克也に蹴飛ばされた。
「克也派手にやりすぎ。証拠残ったら不味いから。」
私は帰り道、神林と言う表札をずっと眺める。ここまま謝るべきか私は分からなかった。罪悪感と脅されてる恐怖心が私の中で共存した。顔も見たくないのだろうか。何もできずそのまま通り過ぎてしまった。
「これからどうしよう…」
私は誰にも言えなかった。自分1人で抱えるしかなかった。何かに見られてる感じがしたがそんなこと気にする余裕もなかった。
「おはよー、中元さん!」
「めいめい、おはよ!」
「おはよ…」
「早速うちらからのお願いだけど神林の机に死ねって書いて。」
「何で?」
「断ったら画像ばら撒くぞ。このブス。」
宮内舞、新井阿美、鈴木道子は悪魔だった。
「書いたよ…これで良いんでしょ。」
同時に私も許されない悪魔だった。
「誰なの!こんな落書きしたの!」
担任以外の先生が見かけた。
「神林さんが自分でやりました。」
私は彼女達の指示通りで動いた。
「おい、中元!」
「相田君、何?」
「神林の椅子に墨汁をばら撒け。」
「お前断ったら相田君が何するか分からないよ?俺達も画像持ってるんだからな。」
「きゃーーー。」
「騒ぐな。」
克也を中心とした男子達からも命令された。私は言われる通りにした。
「何これ…墨汁!?」
「どうしたの?そんなにズボンが黒くなっちゃって。」
「ヒーロースーツも台無しじゃん。そっかヒーロー気取りだからしょうがないか。」
彩葉は泣いていた。彼女の悲しみは止まることはなかった。
「中元、あいつにボールをぶつけろ!」
私はボールをぶつけた。
「中元さん、私達からのお願いだけど、神林さんの給食にだけホコリ入れてくんない?」
今度は自らの手を汚さず私に全部私に嫌がらせをさせた。私には断るすべもなかった。私はずっと指示通りに動く悪魔だった。
「あやちゃん、あんたなんて死んじゃえ!死ね!死ね!」
「流石にあれはないんじゃない?」
「いじめられたのに何であんなことするの?」
一部の事情を知らない同級生は私をいじめグループの一員として見ていた。そう思われてもしょうがない行為と言動ばかりだった。
「あんた何で学校来てるの?」
彩葉は完全に笑わなくなった。
「あやちゃん、こんな馬鹿な私でごめん…」
私は下校中いつも泣いていた。謝っては自分の保身にばかり走って、何も解決に導くことなどできない状態だった。
「明子、あんた元気なさそうね。」
「お母さん、私より自分の体調の方を心配して。今日はいつもより大変なんだから寝てないと駄目でしょ。」
「身体が強かろうが弱かろうが親が子供のことを心配するのは当たり前だろ。」
「ちょっと授業が難しくて大変だっただけだよ。大したことないから。心配かけたね。私はいつも平気だから。」
母親に全てを打ち明けたらショックで死んでしまうかもしれなかったから嘘をつき続けた。
「明子、とっととこれ洗え!」
父親からの暴力はほとんど私に向けられることになった。死にたいと思ったけど、彩葉の苦しみと比べれば私の苦しみはちっぽけなものだった。
「中元!神林のスカートをめくれ。」
「うん…」
私は走って彩葉にぶつかった。彼女は転げ落ちた。
「言ったことと違うけどこれも悪くないな。」
「中元も中々エグいことするよな。」
「あやちゃん、ごめん…」
「謝らないで。惨めになるだけだから。」
楽観的な考えの彼女もどんどん悲観的な考えになった。
「あんた何読んでるの?」
読んでるのは図書室で良く本だった。行動範囲は彼女が安全圏とする図書室にまで拡大した。
「何するの!」
私は言われる通りに彼女が読んでいた本をビリビリに破った。その光景を見て他の学年の子達もびっくりしていた。
「あなた何やってるのか分かってるの?」
「すみません。」
全部彩葉が責任を負うことになった。本は後日彼女の両親が弁償するのことになった。
「あやちゃん何て友達じゃないから!」
恐ろしいことに私はだんだん罪悪感が薄まっていった。彼女達の指示以外にも自ら嫌がらせすることになった。そして彼女の心の傷は深くなり大きな事件が起きる。
「あやちゃん、私のこと呼び出して何?もしかして私のこと恨んでるの?あんな画像ばら撒かれるの怖かったからしょうがなく私は従ったのよ!」
私達は理科室にいた。
「そうだよね。私が同じ立場ならそうだったかもしれない。私は明子ちゃんを責めるつもりなんてないよ。」
「そうよ。私は被害者だったんだから。」
「でももう罪悪感を抱える必要なんてないよ。今までありがとう。」
「何をするつもり。」
「さよなら。」
そう言って彼女は謎の液体を飲んで窓から飛び降りた。
「う、嘘…あやちゃん!!あやちゃん!!」
私は大声で叫んだ。
「どうしたの?中元さん!」
「あやちゃんが謎の液体を飲んで窓から…」
外でも騒ぎになっていた。
「皆さん、大変悲しいお知らせですが、一緒に学校生活を共にしてた神林彩葉さんが亡くなりました。」
全員私の方をにらんだ。
「先生!」
宮内舞が手を挙げた。
「中元さんが全てやりました。私止めたんですけど中元さんが神林さんをいじめ続けて。」
彼女は嘘泣きをした。イジメの主犯格は皆嘘泣きだった。相田克也も手を挙げた。
「俺も中元さんがいじめてるの見ました。でも見て見ぬふりした俺達を悪いんです。」
「だけど止めたら中元さんにいじめられるかもしれないから怖くて。」
彼女の葬式でもクラスメイトが出席した。
「神林さん、中元さんを止められなくてごめんなさい。」
中には私が弱みを握られていたことを知っていて何も出来なかった子もいた。だけど私は間違いなく加害者だ。死ぬのが彩葉じゃなくて私、中元明子なら良かったと思った。
「まだ12歳なのに。いじめた同級生に追い込まれて自殺よ。」
「許せないわ。」
「あんたが彩葉のことをいじめたのね‼︎」
「すみませんでした。私がやりました。」
「あんたなんていなければ今頃娘は死んでないのよ。」
「菜子、落ち着け。君はもう二度と顔を見せないでくれ。
当然彼女の両親から恨まれることになった。
「神林さんもあの子のお父さんやお母さんも可哀想。今度は誰を自殺に追い込むつもり?」
「最低。」
「何であんたが学校来てるのよ。」
「中元、やることがえぐいよな。」
私は学校中の悪者となった。いじめの標的はまた私に戻った。
「お前がいじめの主犯格か?見損なったな。」
家庭では父親から体罰を受けた。
「明子…」
「お母さん、ごめんなさい。」
「あなた、脅されてたんでしょ?」
母親は私を庇った。
「違うの。私が全部やったの。」
私は病弱の母親に迷惑をかけたくなかった。学校に行きたくなくても行くしか私には選択肢がなかった。
「あんたが何で学校来てるの?」
「キモいんだけど。」
「いじめっ子はどこだ?ここか。」
私へのいじめは卒業まで続いた。卒業して中学に行っても私の噂は止まることはなく、入学早々いじめのターゲットになった。もちろん脅しで相田克也と宮内舞と同じ中学に通うことになった。
「見て。キモくない?」
「いじめだけじゃなくて援交もしてたの?」
「最低じゃん。」
「キモすぎ。」
写真が勝手にどこで流失して掲示板で使われた
「おい、中元、あそこの家を万引きして来い。」
克也からは犯罪になることをさせられた。
「中元、陰キャ男の田口とキスしろよ。」
「ブス女とブサイク男とのキスとかギャグだろ。」
性的ないじめも増えた。きっと田口俊も傷ついたに違いない。私の心は壊れそうだった。家に帰っては物を壊して暴れていた。
「もう限界。」
私は人気のない森に行った。ちょうど崖があったのでそこで飛び降りようとした。
「本当にそれで良いの?」
「誰?」
「ここよ。」
そこには人形がいた。
「人形が喋った。」
不気味な人形だった。
「私はミヤ子よ。人の復讐で生きてるの。そうね。一回の復讐で40年は生きれるわ。20年前大きな復讐を実行した人がいて次の人物を探していたの。」
「復讐?私が悪いの。」
「それで良いの?いじめの主犯格だと思われて過ごしても。まあ良いわ。私のことを触って。」
すると呪印が手に現れてすぐに消えた。
「これで契約完了、私の寿命は25年、25年間の間で復讐を実行すること。」
どんな条件で私を選んだか分からなかった。
私は全てを思い出した。私は罪悪感と喪失感もあって彩葉との思い出を作り上げたのかもしれない。
「もうすぐでミヤ子の寿命は近づく。君は復讐をするようにたくさん動いた。これから本格的に動いてもらう。」
「必ずやるわ。」




