市場で必要な物を集めよう!
街に入るのに審査など必要なかったので、問題無く中に入ることができた。
一緒に来たメルカーは魚市場に早く行かないといけない、とのことだったので城門付近で下ろしてもらい、そこから一人で買い物をすると言って別れた。
初めての街と言うこともあって、意外とおのぼりさんになっており、商店や露天見ながらふらふらしていると、食料品を扱う店を発見した。
そこには、前世の日本のように小麦粉や米、醤油といった食品や調味料が大量に陳列されていた。少し値は張るが、それでも前世の値段とさほど変わらないように思えた。
ここは買うしかない!と意気込んで色々見て回っていると、店員から声をかけられた。
「兄さん、何かお探しかい?」
「えぇと、色々必要な物があって、どれをどれだけ買っていくか考えていたところですよ。」
「なんだい、そんなに大量に買ってってくれるのかい。それなら多少の値引きもしてやるさ。」
「もしかして、ここの店主さんですか?」
「そうだよ。私の名前はマーサって言うんだ。それで何をどれだけ必要なんだい。」
「それじゃあ、調味料から塩と胡椒と、後野菜なんかもいいですか?」
「そんなに買って、大丈夫なんかい?こちらとしては大量に買ってってもらえるなら助かるが、そんな大荷物をどうやって運ぶって言うんだい?見たところ何も用意してないみたいだが。」
「そう言えば、そうでした。じゃあ、今回は持ち運べる量にしときます。」
「なんだったら、うちで使ってない小さい荷車なら貸してやれんこともないんだが。」
「本当ですか!?もし貸してもらえるなら、ぜひ貸してください。」
「いいよ。その代わり色々買ってもらうからね。」
「分かりました。必要な物は沢山あるので、目一杯買わせてもらいます!」
こうして調味料をはじめとした各種食材などを大量に購入した。金額にして、金貨一枚ほどになった。商品は荷車に山積みとなり、かなりの重量がある。これを喫茶店まで運ぼうとしたら、どれだけ時間がかかるか分からない。何故こんなに買ってしまったのか頭を抱えながらもだえている。
周りから奇異の視線にさらされながらも、ここだけでは食材のすべてを仕入れることができなかったので、他の店も回らないといけない。しかも、行った先でもまた購入する量を考えないと、この荷車にはすべては載らない。どうするべきかと悩んでいると、これまた偶然の産物かメルカーと再会することができた。
「さっきの兄ちゃんじゃないか。そんなところでどうしたんだ?」
「メルカーさん。今必要以上に商品を買ってしまって、それの移送をどのようにしたらいいか、悩んでいるところですよ。」
「ああ、その荷車一杯の商品兄ちゃんが買ったんか。それなら1度戻ったほうが賢明だと思うぞ。」
「そうですよね。しかし、俺の喫茶店は門から出て10分以上かかるので、この荷物を持っていこうとすると、かなりの時間がかかるので、今日一日で何とかしたかったんですが、それはあきらめたほうがいいのかも知れませんね。」
「それは無茶ってもんだ。それより、そんなに買い物するなら、荷馬車を用意するなり、小分けにして仕入れるなり、もう少し考えて買わないと。」
「耳が痛い話ですよ。少しテンションがあがってしまって、この有様ですからね。」
「もう少し考えろよ。それなら料金は貰うが、途中までまた乗っていくか?」
「いいんですか?でも料金っていくらほどですか?」
「そうさな~、向かう場所にもよるが、銀貨一枚ってところか。どうする?」
「それだったら、お願いしてもいいですか?」
こうして、帰りもメルカーの荷馬車に乗せてもらうことができた。しかし、喫茶店は馬車道から少し外れているので、最終的には荷車を押していかないといけないので、そこは割り切るしかないと思っている。
しかし、今回のことで買い物は、小分けにして購入しないと、帰りが大変だと身をもって知ったので、それだけが救いかもしれないと思いながら、メルカーの荷馬車に荷物と一緒に乗り込むのであった。