必要物資を確保しに行こう
二階に上がってみると扉が四つあり、その1つ1つを確認していく。最初の部屋には机と椅子だけが置かれたおり、次の部屋はベッドの骨組みしか置いていないなど、生活に必要な物はほとんど置いてなかった。
さらには何処に最低限の資金があるはずなのだが、それが見当たらない。これは用意し忘れたのか?と思っていると、金庫が置いてある部屋を見つけた。しかし、金庫の鍵は持っていないので、もしかして開けることができないのでは?と思っていると、金庫に紙が貼ってあり、それを読むと出入り口に使った鍵でこれも開けることができると書いてあった。
半信半疑で鍵を差込回してみると、すんなりと鍵が開いた。中には金貨や銀貨がそれなりに入っており、これならしばらくの間は大丈夫だろうと思う。
しかし、生活必需品がほとんど無いので、今すぐにでも買いに行かないと困ることになる。なので、持ってきた荷袋にある程度の金貨、銀貨を入れると街に向かうとしよう。
だが、大きい物を買ってもここに持ってくる道具が無いので、布団などの寝具は後回しにするしかない。それ以外の小物などは今日買えるだけ買ってこようと思う。
準備も済んだことだし、戸締りをしっかり確認したら街まで向かう。
街までの地図も最初の羊皮紙に書いてあったので、迷わないで向かうことができるであろう。しかし、喫茶店から街まで10分も歩くので、それなりの距離がある。
本当にこんな場所に喫茶店を作って人が来るのか?と疑問に思うが、あの駄女神のことだ、そこらへんのことは考慮してなかったであろう。
どうしたら、客が来てくれるのか考えないと、すぐに資金が底をつく可能性もありえる。
「本当にどうして、あんな場所に喫茶店を作りたかったのか、疑問だよ。しかも集客もできるかわからんと言うのに。こうなれば何とかして、集客を頑張るしかないか。」
愚痴を言いながら、道無き道を歩いていると、馬車道が見えてきた。地図を確認してみると、馬車道も記載されており、この道を北上すると、目的の大きな街があることが書いてある。
「意外と丁寧に地図が書いてあって助かるな。これなら、迷うことなく街にたどり着くことができるな。」
のんびりと馬車道を北上しながら、近くにどんな物があるのか確認しながら歩いているが、周りにあるのは草原だけで、これといった目印になるものが無いので、本格的に集客をどのようにすればいいのか、頭を悩ませることになった。
しかし、今悩んだところで解決策なんて出るわけ無いので、そんなに深く考えないようにしよう。そう思いながら歩いていると、後ろから音がしたので、振り返ってみると荷馬車が一台こちらに向かってくるのが見えたので、道をあけるように脇にどいた。
そうすると、荷馬車は速度を落として近づいてきた。
「お兄さん、今からネライダに向かうのかい?」
「そうですよ。まだ時間がかかりそうですか?」
「そうさな~。ここから歩いてまだ10分はかかるだろうな。何なら乗ってくか?」
「いいんですか?もし本当にいいのであれば、乗せてもらっていいですか?」
「もちろんいいさ。俺もあの街に用事があったから、そのついでだから気軽に乗ってくれ。」
「ありがとうございます。それではお言葉に甘えて、乗らせてもらいます。」
こうして、気前のいい商人らしき人の荷馬車に乗せてもらい、街を目指すことにした。乗せてもらってからあらためて名前を聞くと、メルカーと教えてもらった。そのほかにもこれから向かうネライダの街の話を聞けることができた。
話を聞くと、精霊湖の恩恵を受けた肥沃な土地で、農業や漁業が盛んらしく、野菜や魚が特産らしい。
メルカーはその魚を仕入れるために向かう最中だったらしく、タイミングがよく出会えなかったら、10分の距離を一人で歩かないといけなかったので、本当にタイミングがよかった。
そうして荷馬車に揺られながら乗っていると、ネライダの城門まで到着することができた。街に入るまで相乗りさせてもらい、無事に街に入ることができた。
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