転移完了、、、
転移が完了したのか、だんだんと意識が覚醒してきた。
さざなみの音、身体を波が揺らす。
ん?波が身体を揺らす?どういうことだ?もしかしてと思い身体を起こしてみると、湖のなぎさに転移されていた。おかげで下半身が水浸しだ。
「あの駄女神、転移させる場所をもう少し考えてから転移させろよ!こんな波うち際に転移させること無いだろう!」
と、ここにいない駄女神に文句を言ったところで意味は無いのだが、やり場のない怒りを何処にぶつければいいのか分からない。文句を言うぐらいはいいだろう。
しかし、転移は無事に済んだようだ。後は、俺が経営するように言われた喫茶店を探す必要があるだろう。
そう思い立ち上がって、周りを見渡してみると、建物らしき物は見当たらない。
どんな場所に転移させてんだよと、文句を言いたいところだが、現状一刻も早く喫茶店を探し出さないといけないので、周囲を探索しようと思い歩き出そうとしていると、荷袋が置いてあるのに気がついた。
あの女神からの贈り物かと思い、場所を変えて中の物を確認することにした。
ちょうどいい所に大き目の流木が落ちており、それに腰をかけながら袋の口を広げた。
中には、鍵と羊皮紙が入っており、鍵は喫茶店のものだと思われるが、羊皮紙には何が書かれているのか気になり、広げて読んでみることにした。
そこには、要約すると転移時に本来転移させようとした場所から、ちょっとズレた事が書かれており、ついでとばかりに鍵のことや喫茶店の場所の地図が記載されてあった。
「しっかし、あの駄女神、転移する場所をミスった上に、ここから10分も歩かないといけないとか、マジで何してくれてんだよ!」
ここで怒っていても意味が無いので、記載されてある場所に向かうことにした。
砂浜を地図を読みながら歩いていると、正面に雑木林が見えてきた。地図にはその雑木林を迂回しながら、砂浜をさらに西に向かうと、雑木林を越えて少ししたところに見えてくると書いてある。
地図の通りに雑木林を右側にして砂浜を歩いていくと、5分ほどすると雑木林の端が見え始めた。そこからさらに砂浜を歩いていると、雑木林と草原の狭間辺りに構造物が見えてきた。
さらに近づくと、立派な二階建ての建物が見えた。一階にはテラスもあり、建物の裏には畑もあり、ここが地図にある喫茶店であることが分かった。
正面に回り、鍵を袋から取り出すと、正面玄関の扉に鍵を差込回してみる。そうすると、鍵が開く音がしたので、ゆっくりと取っ手を回して開けてみる。
すると、そこにはゆったりとした、広いスペースにダークブラウンで統一されたテーブルと椅子が並べられており、その奥にはカウンター付きキッチンスペースがあり、入り口からキッチンスペースまで一望できる。そして、トイレの隣に二階にあがる階段があった。
見た感じ落ち着いた雰囲気の喫茶店だという事が分かった。
しかし、かなりの広さがあるこの喫茶店で、最初のうちは自分ひとりで切り盛りするとなると、かなり骨が折れるだろうと思った。
とりあえず、キッチンにはどんな道具が揃っているのか確認するために、奥のキッチンスペースに向かうことにした。
キッチンスペースと客室の間は小さめのスイングドアで区切られており、出入りが楽にできそうだ。
奥のキッチンに入ると、そこには見たことがあるような道具が所狭しと置いてある。冷蔵・冷凍庫、オーブンにかまど、何かの石がはめ込まれたガスコンロらしき物、水道、包丁やザルなどの小物も完備されており、不足が無い感じだった。
皿なども白色に統一されており、これなら何とかやっていけるかな?といったところだ。
キッチンの確認が終わったので、次は二階の確認をしていこう。