ラメルとの雑談
ラメルにダージリンを淹れるために、裏庭の紅茶の木で収穫すると、すぐに店内に戻ってきた。
すると、ラメルは席を立ち店内をウロウロしていた。
「何か気になることでもあったのか?」
「うん。人族の喫茶店がどうなっているのか気になって、あちこち見て周ってただけだよ。」
「それで、何か気に入った物でもあったのか?」
「気に入ったというか、テラスで湖を眺めながらお昼でも食べれたら、最高なんだろうなって思ってね。」
「つまりお腹が減ったという事か。それなら軽く食べられる物でも作ってやるよ。」
裏庭で採ってきたダージリンの茶葉は少しすみに置いておいて、軽食を作る準備を始めた。
何を作ろうか迷ったが、フィールみたいに肉と要望を言わないので、パンケーキでも作ってやるかと思って作り始める。
料理を始めてすぐに、ラメルにはテラス席に移動してもらった。
パンケーキはすぐ作れるので、出来たパンケーキと一緒にダージリンの紅茶を持って、テラスの席に運んだ。
「わあ~、ありがとう。この料理は何て名前なの?」
「それはパンケーキだな。蜂蜜をかけて食べるとおいしいぞ。」
「パンケーキって言うんだね。それじゃあ蜂蜜をかけて食べさせてもらうね。」
ラメルが食べ始めるのを確認してから、メルカーが飲んでいたコーヒーカップを回収して、流しに持っていく。
幸せそうに食べるラメルを眺めながら、貴族に会うための服装はどうしようか考えていると、ラメルが食べ終わった皿を差し出してきた。
「おいしくてすぐに食べちゃったよ。おかわりがほしいぐらいだよ。」
「それは嬉しいことを言ってくれるね。だけど、これ以上サービスすると、うちの売り上げに響くから、これで終わりにしてくれると助かる。」
「あはは、それは大丈夫だよ。フィールみたいに無茶なこと言わないよ。」
「フィールが無茶なことを言ったって、話したか?」
「昔のことを知っている私からすると、フィールが無茶なことを言うのはよくあることだから、そこから予想しただけだよ。」
「なるほどな。しかし、こんなに早くフィールの友達が来るなんて予想していなかったから、驚いたぞ。」
そう、フィールと会ったのは一昨日のことだったから、こんなに早く来るなんて予想できなかった。
しかも、同じドラゴン族のラメルが来るなんて想定外のことだ。
何故こんなにも早くここのことを知ったのか聞いてみた。
「何で、こんなにも早くここのことを聞けたんだ?そこが不思議なんだが。」
「それは、ちょうどフィールに荷物を渡す約束をしてて、その時に話を聞いたんだよ。」
「なるほど。それなら納得だ。それでどうだったうちの店は?」
「とても素敵な場所だよ。料理も美味しいし、飲み物も充実している。でも1つ疑問に思っていることがあるとしたら、従業員は一人だけなの?」
「そのことなんだが、資金的に人を雇うのが難しいから、俺一人ですべてをこなすしかないんだよ。」
今の資金状況からすると、人を雇うのはかなり厳しい。
しかし、まだ正式にオープンしているわけではないので、一人でも問題ないのだが、今後のことを考えると誰か雇ったほうがいいのは目に見えている。
「なら、私が働いてあげようか?」
「なんで、そうなるんだ?それに荷物を渡したんなら、もう帰るだけだろ?」
「そうだけど、ここなら楽しく働けそうだったから、もし人を雇うことがあるのなら声をかけてほしいなって思っただけだよ。」
ラメルなら、問題なく働ける気はするが、今は雇う余裕がないから、返答はしないが、出来れば可愛い女の子に働いてほしい、と心の中で妄想を膨らませるのだった。




