フィールの友達登場!
慌てて入り口に向かうと、そこには一頭のドラゴンがたたずんでいた。
すると、俺達が現れたのを確認すると、声をかけてきた。
「君達がここの経営者かな?」
「私がこの喫茶店の経営者のリュウタロウです。貴方は?」
「私はフィールの友達のラメルだよ。今は営業中かな?」
「営業中ですが、その大きさでは中に入れないと思うのですが。」
「そうだったね。じゃあちょっと離れててもらえるかな?」
そう言われ、ドラゴンから少し距離をとると、ドラゴンはその場で宙返りをすると、人の形になって降りてきた。
何をしたのか理解できていないが、とりあえず人の姿になったから、店内に案内することができるようになった。
「これで大丈夫でしょ?」
「今のは何をしたんだ?」
「今のは人化の魔法だよ?見るのは初めてなのかな?」
「ああ、フィールは最初から人の姿だったから、人化の魔法を見るのは初めてだ。」
これが、ドラゴンの人化の魔法なのかと、関心を示していると、ラメルが照れくさそうに顔をしかめる。
「実はあんなことをしなくても人化の魔法は使えるんだよね。」
「え。じゃあ何であんな宙返りをしたんだ?」
「それは、カッコいいと思ってやってみたんだよね。」
そんなことを言われて、少しこの子も残念な子じゃないかと思いはじめた。
何故カッコいいと思ったのか、少し問い詰めたい気持ちにもなったが、そこは抑えて店内に案内することにした。
「フィールから、何を聞いたか知らないが、普通の喫茶店だから、あまり期待しないように。」
「大丈夫。フィールから、紅茶が飲める喫茶店って聞いたから、ゆっくり紅茶を飲むつもりで来たから、安心してほしいな。」
「なるほど。じゃあどんな種類の紅茶がいいんだ?」
「紅茶にも種類があるの!?それはぜひとも聞きたいな。」
こうしてラメルに紅茶にどんな物があるのか説明していると、メルカーは暇そうにしていたので、新しく淹れたコーヒーを出してやると、嬉しそうに飲み始めた。
そうこうしていると、ラメルの説明も一通り終わったので、どれを飲みたいか希望を聞いてみることにした。
「じゃあ、説明も終わったし、ラメルはどれを飲んでみたい?」
「それじゃあ、初めて飲むことだし、アールグレイにしようかな?オーソドックスなものなんでしょ?」
「そうだな。それが一番無難かもしれないな。それじゃあちょっと用意するから、少し待っててくれ。」
ラメルは以外にも、いたって普通の注文をしてきたので、少し驚いたが、フィールが特殊なだけだと思うことにした。
淹れたてのアールグレイをラメルの前に出してやると、嬉しいそうに飲み始めた。
その後は3人で世間話をしながら、ゆったりとした時間をすごしていると、メルカーがそろそろ帰ると言い出したので、外まで見送りをしようとすると、それは断わられたので、少しのコーヒーをお土産に持たせる事にした。
帰り際にメルカーはまた来ると言っていたので、おそらく貴族の紹介状を持ってくるつもりだろう。
そして、メルカーはテーブルに代金を置くと、静かに帰っていった。
それを眺めていたラメルが、おもむろに口を開く。
「あの人、商人だったんだ。商売の話をしてなかったから、気づかなかったよ。」
「ラメルが来る前に、色々と商談みたいなことは話してたんだが、ラメルが来てからは、静かにしてたから、分からなかったかも知れないな。」
「そうだね。それより、新しい紅茶を淹れてほしいな。次はダージリンを飲んでみたいかも。」
「分かった。裏庭で採ってくるから、少しの間待っててくれ。」
ラメルが新しい紅茶を所望したので、それを淹れるために動き始めることにした。




