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コーヒーと紅茶の価値

 メルカーを裏庭に案内すると、目を輝かせていたので、何故そんなに熱心に観察しているのか聞いてみた。


「メルカーさん。何でそんなに熱心に観察しているんですか?」

「そりゃあ、熱心にもなるさ。ここらでは、コーヒーや紅茶は高級品として取り扱っているから、それが年中収穫できるって事なら、儲けの種になるからな。」


 なんと、コーヒーや紅茶が高級品扱いになっているなんて初めて聞いた。

 これなら、コーヒーや紅茶を卸すだけで、一儲けできるかもしれない。

 これはチャンスなのかもしれないと思い、メルカーに聞いてみた。


「メルカーさん。どこかコーヒーや紅茶を購入してくれるところとか、ありませんか?」

「それなら、大店の商会がネライダにはいくつかあるぞ。もしかして、売りに行くのか?」

「これだったら、すぐに資金に出来そうなので、お店に必要な分だけ保存しておいて、他は売りに行ってもいいかもしれませんね。」


 そうすれば、今の資金難から脱却できる可能性が高まるので、ぜひとも販売したいものだ。

 するとメルカーは何か難しい顔でこちらに話かけてきた。


「確かに、卸せばいくらでも金を持っている奴が買いに来ることは間違いないが、それ以外に面倒事も増える可能性が高くなるぞ?」

「やっぱりそうなりますよね。しかし、今の経営状況から言うと、資金難ですから、早めに現金が欲しいんですよ。」

「何なら俺の商店で取り扱ってもいいぞ。そのかわり、売り上げの一割をもらうことになるが。」


 メルカーの提案は喉から手が出るほど魅力的な提案だったが、裏があるのではないかと思ってすぐには返事をしなかった。

 するとメルカーは、何か考えるそぶりをしてから、こちらに違う提案をしてきた。


「俺の商店に卸すのが嫌なら、貴族を一人紹介してもいいぞ?」

「それはありがたいですが、その貴族の人は無茶な要求とかしないですよね?」

「それは安心して大丈夫だ。なんせ紹介する貴族はネライダを治める領主だからな。」

「そうなんですか!それなら安心できそうですね。」


 何と紹介してくれる貴族は、ネライダの領主と言うのだから驚きだ。

 しかし、一商人のメルカーにそんな伝手があるのか疑問に思う節もあるが、ここは紹介してもらったほうがいいだろうと思いその提案に乗ることにした。


「しかし、いきなりの提案に乗っていいのか?他の従業員もいるだろうし、確認をしないといけないんじゃないか?」

「今この喫茶店で働いているのは俺一人なので、すべての責任は俺にあります。だからメルカーさんの提案に乗ることにしたんです。」

「分かった。じゃあ今日は無理だが、明日朝一にここに来るから、その時に紹介状を持ってこよう。それでいいか?」

「はい。大丈夫です。それでは明日の朝一ですね。お待ちしております。」


 こうしてメルカーから紹介状をもらうことを約束させることができたので、明日は今日よりきっちりした服装にしないとな。

 それ以外に、コーヒーと紅茶を包んで持っていく準備もしないといけない。

 やることが一気に増えたが、これで経営を安定化させることが出来るかもしれないと思うと、気持ちが少しやる気になった。


「喜んでいるところ悪いが、領主と会えるかどうかは、明日の領主の予定しだいだから、すぐに会えるわけじゃないから、あまりはしゃぐなよ。」

「やはり、そんなにすぐに会えないんですね。分かりました。とりあえず持っていこうと思っている、コーヒーと紅茶は包んでおきます。」


 そんなことをメルカーとやっていると、店の入り口側から大きな音と共に地響きが鳴り響いた。

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