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メルカーからの提案

 メルカーの荷馬車に乗って、街の外に出ると喫茶店のある場所を説明しながら一緒に向かう。


「こんな辺鄙な場所に喫茶店を作るなんざ、よっぽど変わり者なんだな。」

「言わないでくださいよ。ただでさえ、こんな場所だから、お客様が寄り付くかどうかも疑問に思っているんですから。」

「そうだろうな。しかし、チラシを配ったり、広告を張り出したりしないのか?」

「そうしたいのは山々ですが、資金的に厳しいので、出来ないのが現状ですね。」


 そんなことを話しながら、喫茶店の目の前まで、無事に到着した。

 到着した後は、荷馬車を停車させる場所が無かったので、建物の隣に停車させることにした。


「ここが喫茶店か。荷馬車を止めれるような場所もないから、少し近寄りがたいな。」

「そうですよね。しかし、新しい建物を建てるのにもお金が必要ですから、今のところは何も出来ないんですよ。」

「そうだよな。しかし、外観は立派な物だから、少し宣伝すれば客足は伸びると思うぞ。」

「そう言ってもらえて嬉しいですよ。しかし、宣伝の方法が限られていますし、資金的にも厳しいので、どうしたものかと。」


 そう、宣伝活動をするにも資金が必要だし、通っている街がすぐ近くのネライダの街しか知らないので、集客も限定的にしかならないと思っている。

 メルカーの言った通り、荷馬車などを止める建物もないので、往来には徒歩で来るか、近くまで馬車を出してもらわないと、通うのは少し難がある。


「とりあえず、中に入りましょうか。コーヒーぐらいしか出せませんが。」

「悪いな。内装も見てみたいし、そうするか。」


 そう言って中に案内すると、メルカーは内装を細かくチェックし始めた。

 内装は可もなく不可もないだろうと思っているが、メルカーがどういったところをチェックしているのか分からないので、おとなしくコーヒーを入れることにした。

 しばらくメルカーは、店内を歩き回って色々と確認すると、カウンター席に座った。

 そのタイミングで、コーヒーを出すと、満足そうに頷いて飲み始める。


「内装は悪くない。テーブルも椅子の数も十分にあるし、コーヒーも美味い。しかし、看板もなければ、店名も分からないから、お客としては、少し不安材料ではある。」

「そうなんですよね。店名は考えてありますし、看板も今日注文してきたので、それが出来上がり次第つける予定です。」

「看板は何処につけるつもりなんだ?」

「店の入り口につけるものと街道の出入り口付近に設置する物と、二種類用意しましたよ。」

「それなら、大丈夫だと思うが、何なら俺が口コミで広めてやってもいいぞ?」


 この提案は嬉しいが何か裏があるのではないかと勘ぐってしまう。

 しかし、仕入れのためだけにネライダの街に来るメルカーにどんな伝手があるのか分からないが、ここはその提案に乗ったほうがいいかもしれない。


「メルカーさん、ぜひとも宣伝活動に協力してもらえませんか?出来るだけの支払いはいたしますので。」

「了解。そうかしこまらなくても大丈夫。それに今は資金的にも厳しいだろうから、支払いは店が軌道に乗ってからでいいから。」

「ありがとうございます。しかし、何でそこまで俺に優しくしてくれるんですか?」


 メルカーの話は俺にとってはとても助かる提案なのだが、メルカー自身にはメリットがないにも等しい。

 なのにこれだけの提案をするって事は、何かしらのメリットがあるのだろう。

 だから素朴な疑問を投げかけることにした。

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