フィールとの昼食
店の入り口でウンディーネに別れをつげて、フィールと二人で街まで向かうことにした。
街に向かう道中は、フィールが行ったことのある街の話や生まれ故郷であるドラゴンの里のことを聞きながら、ゆったりと歩きながら向かうことにした。
「フィールが里を飛び出した理由って聞いたことないけど、なんで飛び出したんだ?」
「それは、世界を旅して周ったことのある、長老の話を聞いて、私も世界を見て周りたいと思ったからだよ。」
「親から反対されなかったのか?」
「めっちゃされたよ。でも、止めるのを振り切って飛び出してきたから、最初のうちは貧乏生活を余儀なくされたよ。」
何の問題も無く街に到着すると、フィールは街の宿屋を探すと言って別れた。
別れ際に友達に手紙を書くと言っていたので、それに喫茶店のことを書くのだろうと思う。
俺は、なじみになりつつある商店に向かって、話を聞くことにした。
「いらっしゃい。また来たのかいあんちゃん。何か買い物かい?」
「こんにちは。今日は買い物じゃないんだよね。」
「だったら、どうしてうちに来たんだい?」
「実は、知っている商店がここしかなかったから、看板と調理器具を扱っている店を教えてもらおうと思ってきたんだよね。」
「なんだ、そんなことかい。それなら、看板は壁の近くに木工所があるから、そこに頼めばいいさ。調理器具はここから少しいったところに金物屋があるから、そこが一番いいかもね。」
「ありがとう。また必要な物があったら買いに来るから。」
こうして、看板と調理器具を扱っている店を教えてもらったので、先に看板を作っているだろう、木工所に向かうことにした。
あたりを見渡しながら城壁近くまで歩いていくと、城門近くに大きな作業場と受付を出しているところを発見した。
おそるおそる覗いてみると、作業場では大きな木を加工してるのが見えたので、ここで頼むことができるだろうと思い受付に行くことにした。
受付で看板の作成を頼むと早くて3日かかると言われ、前金を払い注文することにした。
その足で、次の金物屋を目指すことにした。
その途中、さっき別れたはずのフィールの姿を見つけたので、声をかけることにした。
「フィール、さっきぶり。宿は見つかったのか?」
「リュウタロウ。宿は見つけることができたよ。今は昼食を何処で食べようか迷ってるところだよ。」
「それなら、俺も昼食食べてないから、一緒でも大丈夫か?」
「いいよ~。それなら何処で食べようかな。」
そう話しながら、食堂を探し始める。
フィールは肉が食べたいと言い出したので、肉がメインの食堂を探すことになった。
しばらく探していると、ステーキをメインにした料理屋を発見したので、そこで昼食をとることにした。
中に入って注文をすると、厚切りステーキが出された。
フィールは目を輝かせながらほおばっている。
俺はと言うと、少しげんなりした気持ちをしながらステーキを食べ始めた。
食べている途中に疑問に思ったことをフィールに聞いてみた。
「ところでフィール。手紙を書くって言ってたけど、誰宛に書くつもりなんだ?」
「手紙?里にいる友達と旅の途中で知り合った冒険者仲間に送るつもりだよ?なんで?」
「いや、うちのお客になるかもしれないから、詳しいことを聞こうと思ってな。」
「それなら、安心しててよ。冒険者仲間はこれるか分からないけど、里の友達は絶対来ると思うから。」
こうしてフィールから、手紙を出す友達のことを聞きながら、ゆったりと食事をとることにした。




