一日の終わり
ウンディーネから噂の話の真偽を確かめた後は、ティータイムにすることにした。
紅茶を二人に出すと、嬉しそうに飲み始めた。その間に皿の片付けを済ませてしまう。
そうしていると、二人は身の上話をしている。
「私はドラゴン族の里を飛び出して、いろんなところを旅しながら巡っているんですよ。」
「そうなんですね。私は、この湖から離れられないから、外の話を聞くのはとても新鮮だから、とても楽しいわ。今まで行った所の話も聞いてみたいわね。」
「それなら、私が行ったことがある場所だと、海辺の街に行った話をしましょうか。」
こうして、二人の話は盛り上がっており、こちらから話に入っていけない。しかし、そろそろ話しを切り上げないと、夜になってしまう。もうすでに日が傾き始めている。
「少しいいか?もうそろそろ、日が落ちるから、話はそのあたりにして、帰る準備をしたほうがいいと思いますよ?」
「あら、そんな時間になってしまったのですね。フィールはどうするのですか?」
「私?私は今日はここに泊まっていきますよ?」
「そうなの?なら、私もここに泊まりましょうかね。」
ちょっと待ってほしい。ウンディーネまで泊まることになったら、本格的に俺の居場所がなくなってしまう。
そうならないように、ウンディーネにやんわりと断わりを入れることにした。
「ウンディーネ様、この店舗にはお客様が泊まれるような部屋は備えていないので、今日はお帰りしたほうがいいと思われますが。」
「そうだとしても私には草原を焼き払われたことの弁明をしてもらっていませんし、今日は貴方が我慢すれば、私が泊まったところで何の害もないと思いますが違いますか?」
「そうだとしても、毛布も無ければベッドも準備してないので、やはり泊まるには少々難があると思いますが。」
来客を泊めるための準備などしていないので、毛布も足りなければ、寝るスペースも考えないといけないので、出来れば帰ってもらいたいところである。
しかし、ここでフィールが余分なことを言ってしまう。
「それなら、私の寝袋をウンディーネ様が使って、私が毛布を使えば問題ないんじゃないですか?」
「それだと、俺の毛布がなくなるだろ!」
「私、毛布は余分に持ってるからそれを貸してあげるよ。」
「これなら私が泊まっても問題はなくなりましたね。」
こうして逃げ道をふさがれてしまい、ウンディーネも泊まることが決定してしまった。
これ以上反論しても意味がないと悟り、おとなしく二人を二階の空き部屋に案内することにした。
案内すると、フィールは荷物から寝袋といくつかの毛布を取り出して、渡してきた。
その後はシャワーの使い方を説明したり、二人が泊まる部屋の掃除を少ししたりと、慌しく動くことになってしまった。
しかし、その甲斐もあって、文句を言われたり、追加で注文をつけられたりすることは無かった。
そして、順番にシャワーを浴びると、フィールは薄いTシャツと短パン姿で、ウンディーネはいつものキトン姿になっており、目のやり場に困る格好をしているので、早々に一階に逃げるように降りていった。
その後も二階からは楽しそうな笑い声が聞こえたりしていたが、それを無視して早々に寝ることにした。




