噂の真偽はいかに
フィールとウンディーネをテーブル席に座らせると、今日の晩御飯の準備を開始した。
今回は、フィールが希望した肉料理にしようと思っているが、ウンディーネが食べれるかどうかを確認するのを忘れていたので、聞いてみることにした。
「ウンディーネ様、本日の晩御飯は肉料理になるのですが、食べられますか?」
「肉料理ですか?私は水の精霊なので、肉料理は好まないので、魚料理を希望します。」
分かっていた。そうなるだろうとは思っていたが、案の定ウンディーネは魚料理を希望してきた。なので、肉料理と魚料理の準備をしておいて正解だった。
そして、いざ料理をしようとすると、袖を引っ張られて振り返ると、フィールが厨房の中まで一緒に入ってきていた。
何事かな?と思っていると、耳に口を近づけ何かを聞いてくる。
「ねぇ、ウンディーネ様って、ここの湖の精霊様であってるの?」
「そうだぞ。多少わがままがすぎるが、立派とした精霊様らしい。」
「それなら、噂のことも知っているかな?確かめたいんだけど。」
「噂って、フィールが探索しに来た理由の泉の噂か?」
「そうそう!もし本当なら、ここでお願いごとをしたら、もしかしたら叶えてくれるかもしれないじゃん。」
「はぁ~、噂は噂であって、本当かどうかも分からんのに、今お願いしたところで叶えてくれるとは思えんから、後にするんだな。」
「え~。でも、これからご飯食べるから、その後に確認するぐらいは大丈夫かな?」
「それぐらいなら、大丈夫だと思うぞ。それより料理の邪魔になるから、席に戻ってろ。」
噂の真偽を確かめたいフィールは、今すぐにでも聞きたいと思っているようだが、あの精霊に聞いたところで叶えてくれるわけ無いだろうと思っている。
そんなことを言い出すわけにもいかず、おとなしく席に戻すだけにとどめた。
そうして、邪魔なフィールが厨房から出て行ったのを確認してから、今日の晩御飯の調理を開始することにした。
今日の献立は、豚のしょうが焼きとたいのカルパッチョだ。簡単な調理で出来るそれなりの献立だ。
これなら、二人とも文句をつけづらいだろうと思い、出すことにした。
すると、フィールはがっつくように食べ始め、ウンディーネは丁寧に食べ始めた。
対比する二人を見ながら、俺も食事をとることにした。
しばらくすると、全員が食べ終わり、感想を言い出した。
「ふ~、ご馳走様。こんなおいしい料理初めて食べたよ。」
「満足していただけて、よかったよ。ウンディーネ様のほうはどうでしたか?」
「えぇ、満足できる料理でしたよ。魚本来の味もたんのうすることが出来て、すばらしい料理でしたよ。」
「それはよかったです。ところで、フィールがウンディーネ様に聞きたいことがあるとの事でしたので、お聞きしても大丈夫ですか?」
「聞きたいこと?何の話か分かりませんが、大丈夫ですよ。」
「ほら、フィール大丈夫だって言っているから聞いてみたらどうだ?」
「いきなり話を振らないでよ!こほん。ウンディーネ様、この近くの森にある泉にお願い事をすると叶えてくれると言う話があるのですが、それは本当のことでしょうか。」
「森の中の泉?あの泉にそんな話があるなんて、初めて聞いたわ。」
「えっ。そうなんですか?」
「ええ、でもあの泉にお金や手紙を投げ入れる人は少なからずいますが、私がその願いを叶えたためしは無いですよ。」
「え~、じゃあやっぱり、あの噂はでまかせだったて事なのかな。」
「そうじゃないか?泉の管理者から直接否定されたんだ、噂は噂でしかないってことだ。」
「ぶぅ~、せっかくお願い事しようと思ってたのに~」
こうして、ウンディーネから噂の真偽を確かめることが出来て、フィールもしぶしぶながら納得して様子だった。




