駄女神からの勧誘
俺の名前は伊島柳太郎。しがないサラリーマンをしていた。
趣味は喫茶店巡り。そして自分で料理をすること。これ以外に趣味が無かったせいで、友好関係のある友人は数が少なかった。
しかし、そのおかげか料理のレパートリーはかなりの数調理できるようになった。
そして、その日はいつものように近くの喫茶店巡りをしようと、街をふらふらと歩いていた。信号待ちをして、青になったから信号を渡ろうとしていた時、信号無視をした車が突っ込んできた。これは死んだなと思っていた瞬間意識が無くなった。
そして、意識が覚醒した時には、白い宮殿のような場所にいた。ここは何処だろうかと疑問に思っていると、白いローブを着た女性がこちらに気がついて近寄ってきた。そして、俺の目の前まで来ると、綺麗な土下座をして話し始めた。
「伊島柳太郎さん、この度は私達の不始末で死なせてしまい、まことに申し訳ありませんでした。」
と土下座しながら、謝罪する女性。その後ろでは、鎖でぐるぐる巻きにされた女性もいた。
あまりのことに頭の整理が追いつかないでいると、土下座をしていた女性がいきよいよく頭を上げる。そして申し訳なさそうな顔をしながら話を進める。
「貴方は現世の地球にて不慮の事故により亡くなってしまいました。しかし、それは予期されていない誤作動による死だったため、貴方の今後を決めるために神域に召喚させていただきました。つきましてはどのような待遇にしてほしいか聞きたいと思っています。」
「まだ、頭が混乱していますが、どのような待遇があるのかを聞いてみてもいいですか?」
「分かりました。今用意できる待遇としては、記憶を残したまま転生させること。他には記憶を残したままの転移、記憶を削除して転生するの3つがあります。それ以外の特典としては、いくつかのギフトを授けることしかできません。」
「なるほど、3つの中から決めるとして、別世界に行くことは決定事項なのですね。」
「そうなります。こればかりは、元の世界で死んでしまっている以上変えられることではありません。」
話を聞いて、考え始めるとこの3つの選択肢の中だと一番いいのは、記憶を残したままの転移。これが一番まともそうだが、転移するって事は年齢は自分が死んだ時の年齢なのか、それとも若返ることができるのかが疑問だ。
「その疑問に関して言うのであれば、ある程度の若返りはOKですよ。」
「今、口に出してましたか?」
「いえ、貴方の考えていることはすべて分かりますよ。なんたって女神ですから。」
その答えに俺はどうしたらいいのか分からなかったが、そこはかとなく残念な感じがするのは気のせいなのか?
そんな考えをしていると、女神様はご立腹のような表情をし始めた。
「ちょっと失礼なことを考えないでくださいよ。こう見えても世界創造の女神なんですからね!それよりも希望は記憶を残したまま転移することでいいですか!」
「それでお願いします。後、ギフトなんですが料理関係の物をいただけると助かります。」
「いいでしょう。そのほかにももう1つ特典があるので、そのことについても説明しますね。」
もう1つの特典が何か分からないが、貰える物は貰っておくにこしたことはない。そう考えていると、頭の中に映像が映し出された。
「ここは精霊湖と言う場所で、貴方にはそこの近くで喫茶店を経営して欲しいんですよ。しかも女神のお墨付きで、厨房も最新の魔道具を使用した完璧な場所で!」
「要するに、喫茶店経営をしながら第二の人生を謳歌しろってことですか?」
「そう言うことです。他にも欲しい物があればリクエストしてもらってもかまいませんよ?」
この話を聞いて素直に喜べないところがあるが、今はこの女神から色々な情報を聞き出して、第二の人生をより豊かにすることが先決だ。
そう思い、色々と女神に質問をすることにした。