第二話 初めてのスキル
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暗闇の中に2人の男が現れた。
「おい、気づいたか。」
「ああ、とんできたな。」
「そろそろ出て来そうだし、ちょうどいい頃だ。あと何人だったか?」
「あと8人。まだ時間はかかるだろう。」
「そうだな。他の2人にも連絡はしておこう。」
「頼んだ。」
男たちはその場所には何もなかったかのように消えていった。
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ここは、どこだ?あたり一面真っ暗闇で何も見えない。何もわからない。何も、聞こえない?
あれ、そういえば俺何してたっけ。確か、空と一緒にデートに行って、…そうだあの時鉄骨に押しつぶされたんだ。
ってことは死んじゃった?
やばい、やばい、やばい。まだ俺にはやりたいことがあったのに。
いや、こういう時こそ落ち着くのが大事なんだったな。
焦りは禁物。消防官だった叔父さんがよく行ってたっけ。
落ち着くには深呼吸!吸って〜(スゥ〜)はいて〜(ハァ〜)よし落ち着いた。
死んだってことはここは死後の世界か?死後の世界といえば天国と地獄だけどなんか感じが違うような。ちゃんと体がある感覚というか、地面がしっかりしてるというか。
というよりさっきから気になってることがある。体の向きというか、なんというか。「立った」感覚はあるのに両足両手が地面についてる感じだ。
前に進もうっ…おっと。躓きそうになるな。ん?今の感覚、脚が四つあるような。
ははは、そんなはずはないだろう。
俺は人間だ。もちろん人間だ。何があっても人間。足は2本だ。
…いや、今のは間違いなく霊長類以外の動物の感じだ。
ってことは、俺はなんかの動物に生まれ変わったってことか。
生まれ変わっても、記憶というか自我というか、残ってるもんなのかな。
でも、生まれ変わったとして、真っ暗なのはおかしくないか?地面も結構凸凹してるし、どっかの砂利の上にいるのか。
よし、今までのことを整理しよう。
まず、俺は死んだ。そして生まれ変わってなんかの動物になった。そしてなんらかの影響で記憶だけが残ってるってとこかな。
はぁ〜。ここどこだろうな。真っ暗闇の中1人とか精神やられてくるぞ。
《ピコッ》
うわっ。なんの音だ。
えっ、頭の中に文字が浮かんでくる。
目で見てるわけではない。
頭の中で文章が組みあがってくる。
えっと、どれどれ『現在地点はレンコウ王国南に位置するウアデル洞窟です。』
なるほどなるほど。
レンコウ王国か。 …それってどこ?
《ピコッ》
まただ。
今度は違う文字が。
『エラティスにある5つある国の一つです。』
なるほど。
っていうかあなた誰?
いきなり頭の中に文字が浮かんでくるですけど。
《ピコッ》
ちょっと慣れて来たぞ。
どれどれ、『スキル:『神皇知能』です。』
えっ?ちょっとまった。
神皇知能だと?人工知能じゃなくて?
《ピコッ》
『『人工知能』に関するデータがありません。』
おっとなんでも知ってるわけじゃないようだな。
いやでもスキルと来たか。どうやら俺はスキル?がある世界に転生したのかもしれん。
《ピコッ》
『エラティスにはスキルのほかに魔法、呪術、神術などがあります。
現在所持しているスキル:『神皇知能』『雷乃者』『光乃者』『消去』』
へー。魔法もあるのか。それにすでに俺四つもスキル持ってるな。どういう能力なんだろう。今度試してみるか。
よし、じゃあ神皇知能さん、ここを明るくする方法を教えてくれ。
《ピコッ》
頭の中で文字が浮かんでくる。
『スキル:『光乃者』を行使し『光源』を作成します。』
まぶしっ。いきなり明るくなった。
ふぅ。これで周りが見えるかな。
俺はこの日、初めて『スキル』というものを使った。