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お兄ちゃんがいなくなった日は、私は青森で帰ってくるのを待っていました。「ピンポーン」玄関のチャイムが鳴ると、足早に玄関に向かい扉を開けるとお兄ちゃんではなく佐藤先生がいた。
佐藤先生はお兄ちゃんの部活の顧問でありお姉ちゃんでもある。なんで先生がいるのだろうと不思議そうな顔をすると佐藤先生が土下座をしてきた。
私は何してるんですかと聞く。
「佐藤君は、海で友達と遊んでいる最中に溺れてなくなりました」
涙を流しながら説明してきました。
私は嘘だと思いたいがために先生に嘘ですよねと聞く。先生は無言で茶色の封筒を渡してくる。
封筒を渡されたときにはわかっていた。
いつもお兄ちゃんは 「俺が死んだ時はこの封筒を渡すとか言って冗談を言っていた。
でもここにあるということはお兄ちゃんはいない。どれだけ叫んでもどれだけ泣いても戻ってこない。涙を流しながら封筒を開ける
「これを読んでいるのなら俺はもういないだろう。約束守れなくてごめんね。駄目な兄でごめんね。こんな兄でも一緒にいてくれてありがとう。もっと生きたかったなー 愛香ともっともっといたかったなー 親がいなくてもよく頑張ったね。 最後に幸せになってね 兄より」
涙で文字が見えなくなっていた。私は空に向かって叫んでいた。
「私ももっと一緒に居たかった! 何歳になってもお兄ちゃんといれば何もいらなかった!なんでお兄ちゃんが死ななきゃダメなの!ねぇ 教えてよ教えてよ!」 誰に届くはずもないことをわかっていながら。
私は愛香の叫びをずっと聞いていた。私は叫びが自分に言われているように聞こえた。そうじゃなくても私の頭はそう思わないとと壊れそうだったから。今は私を攻めて欲しい。お前のせいだと誰かに言ってほしい。でもそんなことは誰もしない。私は助けられているばかりだ。あの日だってそうだった。
私が高校2年生の時にバイトが終わり、帰っているときでした。後ろから誰かに見られているような気がして走って逃げようとしました。後ろからも足音が聞こえて怖くて、転んで捕まってしまいました。誰も助けに来ないのがわかっていても叫ばずにはいられませんでした。
『助けて 助けて 』
叫ぶと、男に口を押さえられ意識がなくなりその後の記憶は思い出せません。
目を開けると誰かにお姫様抱っこされてました。最初は怖くて逃げようと思いましたが、何故か居心地がよく誰かにお姫様抱っこされるのがこんなにも良いとは思いませんでした。眠たくなり次に起きた時は私の家でした。顔は見れなかったけど学校のバッジがたまたま見えて同じ学校と。運命だと思った。
だから次は私が何がなんでも助けようと。
でも助けられなかった。そのこと思い出していると、また涙が出て止まらない。私と愛香は夜まで泣いていた。
目が覚めると病院にいた。隣には佐藤先生もいて他にも友達がいっぱいいて心配してくれた。すごくありがたかった。でもひとつだけ足りないものがあると思い佐藤先生の手を取り病院の屋上へ向かう。
先生は何か喋っているようだが今の私には聞こえない。屋上に着くと心地良い風が吹いていた。私は先生に今の思いを語る。
「私はお兄ちゃんがいない世界では生きたくない。だって私はお兄ちゃんがいることが当たり前だったから、お兄ちゃんがいなくなるなんて非現実的すぎて困惑してる。お兄ちゃんは私のこと怒ると思う。でもごめんね兄ちゃん」 私は前へ進む。
先生は 「 そんなことしても彼は戻ってこない」 止めようとする。
でも私は 前へ進む。屋上から落ちようとするときに先生が私の手を掴むが二人とも落ちて行く。
「そっちに行くねお兄ちゃん」私は落ちていき意識が途絶えた。




