第8話
今回も短いですが応援よろしくお願いします。
第九章
さて、僕はこれで残れることになるだろうと希望を大きく持ちながら7日の朝を迎えた。この日朝のニュースを眺めると今日で真珠湾攻撃から75年というニュースが流れていた。追悼式典がハワイで行われるとテレビでは言っていた。朝一の授業であるU.S.historyの先生も授業が始まるなり真珠湾攻撃のことを話し始めた。まあ、正直あまりに昨日のことが嬉しすぎてろくに聞いてなかったが。僕の祖国日本、そしてアメリカ双方に深く関わる事象だっただけに聞いてなくても頭には入ってきた。
さてはともあれ午前中の授業は長く感じた。昼休みが待ち遠しかった。午前最後の授業、エンジニアリングが終わるとテニスコートでレオと待ち合わせて再びスクールオフィスに向かった。
"すみません"
昨日の女の人は僕が軽く頭を下げてオフィスに入ると既に待ってたかのようにこっちを向いた。
"あ、昨日きた者ですけど、学費等はこちらで支払いますし宿泊先はコーチの家を確保しました。"
彼女はそれに全く関心を向けないように見えた。
"ということなのでこれで僕はサウスハイに残れますね?"
と聞いたが彼女から返ってきた返事は意外なものだった。
"No"
僕は耳を疑った。レオも驚いたのかこっちに訳さなかった。
"え?"
僕はすぐさま聞き返した。
"No、と言ったのよ。"
"なぜですか?昨日それでいいと言っていたじゃないですか?"
iPhoneの録音から昨日のやり取りをきかせる。
"ええ、それは覚えてるわ。"
"ならなぜ?"
僕の大声に驚いたまわりの人がこっちに視線を向ける。
"実はトーランス統一学区の上から言われてね。あなたはサークルクラブのプログラムでここにいるのであってトーランス統一学区の生徒としてのプログラムではないのよ。"
僕は唖然とした。
"なのでスポンサーを見つけても宿泊先を確保したとしてもここに留まることはできないと?"
"そういうことになるわね。"
彼女はなんの感情も込めずに言い放った。
"分かりました。それでは今の事実をまた録音したいのですが"
"それはいいわよ。"
iPhoneの録音に再び彼女の口から残れないという事実が書かれた。
"ありがとうございました。失礼します。"
僕はレオを伴ってスクールオフィスを後にした。
これで絶望となった。僕は最後の希望を失ってグラウンドへと足を運んだ。クラークが僕を笑顔で迎えてくれた。
"ショーゴ、今月の終わりごろからならうちに来ることが出来るぞ。クリスマスの前にはな。"
とても嬉しかったが僕はもうその好意に答えることができなかった。僕は涙を抑えながらこう告げた。
"コーチクラーク、すみませんが僕はスポンサーとステイ先を見つけてもここに残ることはできないそうです。"
クラークはこっちを見たあと目線をそらした。
"そうか、うん"
"わざわざ受け入れをお願いしたのにごめんなさい"
"いや、いいんだそれは別に。そうか、ショーゴはもうここに居れないのか。"
クラークは思いつめたようにそういうと立ち去ってセインとブルームの2人と話していた。
"ショーゴ、来なさい。"
セインに呼ばれて僕はダグアウト裏に向かった。いつもティーバッティングをしている人がいるが今は誰もいなかった。
"コーチセイン、僕は、その"
"わかっている。クラークから聞いた。"
"そうですか。"
"いつ皆には言う?"
少し迷ったがぎりぎりまで皆に伏せたい気持ちが優った。
"明日の木曜日お願いします。僕がここに来れるのは今週いっぱいなので。"
"そう、か"
コーチは納得してくれた。
"はい、ありがとうございます"
"ひと足早いが今までありがとう。アシスタントコーチとしてショーゴは十分スパルタンベースボールに協力してくれた。"
セインはそう言って右手を差し出した。僕はそれをとって応える。
"いえ、コーチ。一年間ずっといることができなくてすみません。"
"いいんだ、お前が悪くないことは皆知ってる。脚が一番大事と言っていたお前の野球観はこっちにも伝わってきた。ショーゴはずっとうちのメンバーだ。"
"はい!"
"では、練習に戻ろう。残り少ない時間だ。アドバイスがあったらできるだけしてこい!"
"ありがとうございますコーチ"
僕は練習しているみんなのもとに駆けて行った。
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