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大輪の雫  作者: さの みやび
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晴と私


いつからだろう。いつから一緒にいるのだろう。



小さな田舎町に産まれた私は、気づけばずっと晴と日々を過ごしてきた。

「家が隣だったから。」そんなどこにでもあるような理由で私たちは幼い頃から毎日を共に過ごしてきた。晴が犬は好きだけど猫は苦手なこと、トマトは食べれるのにミニトマトは嫌いなこと、甘いものが好きで、特に抹茶が大好きなこと。晴のことなら、晴の家族の次くらいには詳しいつもりだ。

晴はあまり気持ちが表情に出ない。「なに考えてるか分からない、不思議な男の子。」幼稚園の頃から周りから少し外れたところにいた。私はある程度晴の気持ちが汲み取れる方だし、晴のことを分かってあげることができるが、そんな私でも晴の気持ちが読み取れない時があるのだから「なに考えてるか分からない、不思議な男の子。」というレッテルは全然間違えたものではないと思う。



そんな晴が唯一感情を表に出すときがある。

それは、花火を見ているときである。花火を見上げる晴は、いつでも無防備に口が大きく開いていて目がキラキラと輝いていた。

小学校の卒業式で一人一人卒業証書授与を行うとき、名前を呼ばれた人は「はい!将来の夢は〇〇です!」と言う場面があった。皆「消防士」や「看護師さん」などみんなが知っているような職業を口にしている中、晴は一人大きな声でこう言ったのだ。

「はい!将来の夢は花火師になることです!」

壇上から叫ぶ晴を見て私は口を大きく開けてぽかんとしていた。その時は周りなど見ていなかったが、絶対に周りに座っていた人たちも私と同じような顔をして晴を見ていたと思う。一体誰が想像できただろうか、小学6年生の夢が「花火師」なんて。



晴は宣言通りに「花火師」を目指し始め、高校1年の頃には一端の花火師として活動もしていた。




そんな晴の姿を、私はずっと追いかけていた。


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