第一活
「お腹空きました」
壁に寄りかかって私は誰もいない所に抑えきれず小さく声に出しました。こんなところを見られればいつもならおかしい人のように思われるのでしょうか、というよりは今の格好なら貧しい人と思われそうですね。そんなことを考えて自分の姿を見ます。
服はボロボロになっており、足は裸足で歩き続けた結果汚れています。さっき転んで擦りむいたところが少し落ち着いたためか、痛みが来るので見てみると血が流れていました。
なので服の袖を引きちぎって擦りむいたところに包帯がわりに巻くと、何となくましになった気がしました。
落ち着いたので周りを確認するとやはりそこは薄暗い迷宮でした。
「まあ別に夢だったなんて思ってませんよ、別に誰かが助けに来てくれるなんて思ってもいませんしただ現状確認しただけです。本当ですよ」
私はなにを言っているのでしょうか、このままではおかしな人と思われてしまいます。まあ近くに人なんていませんけどね。とそんなどうでもいいことを考えていれる程度には余裕がでたのでしょうか?
あきらめだと思います。
そんな幻聴が聞こえて来るようでした。
「しかし、何故松明がかけられているのでしょうか?」
わざわざかけるような人はいないはずですのに、謎ですねまあ迷宮だから何かあるのでしょう。そう思考に結論を下して、何故こんな疲れる羽目になったのか思い返してみました。
私はそこらへんにいる一人の可愛い少女でした。ええ、自分で見ても可愛いと言えるような容姿をしていましたから。まあ普通の少女だったという事です。周りの人とはあまり話しませんでしたね、話さなくてもぼっちだったというわけではありませんよ、周りの子たちからいきなり水を掛けられたり、物が隠されたりボロボロになって返ってきたりとありましたから、そんなときは落とし穴を掘って水を掛けた人をはめたり、大量のネズミや虫を捕まえて物を隠した人などの家や持ち物にときはなったりしていましたからそんなな感じで交流を深めていると側に人が集まって来ていろいろしてくれるようになったのでそんな人たちと話していましたね。集まって来た人たちはなにかにおびえるような感じがしましたけど気のせいでしょう。そういえば、周りに人が居るようになってから少しすると少年が向かってきたこともありましたね。確かいじめていると勘違いされたのでしたっけ、まあ向ってきたのでぼこぼこにしましたがそしたらまた周りに人が増えたんでしたっけ。そんな感じで、善良な単なる少女でした。
この国には、南の方に迷宮が存在しそこにはミノタウロスが存在するとされていました。存在するというより追放されたが正しいでしょうか。9年ほど前にこの迷宮にミノタウロスが追放された、何故ミノタウロスが街にいたのかなどは知りませんが、そこから出てきていないといわれているので、勇者などを目指す者はその迷宮に挑戦したり、罪人はそこに追放されることで死ぬのなら生贄として、もし帰って来るのなら罪をなくすなどと言われて追放された者が入ったのでした。私は別に罪人ではありませんし、勇者を目指していなかったので関係なかったのですがそれでも罪人以外に迷宮に9年に一度生贄を差し出すのですが、そのくじ引きで当ってしまいここに入れられたんでしたっけ。入れられるのは嫌だったので反抗して見ようかと思いましたが捕まるのはもっと嫌だったので適当に私だとわからぬ様に村の一部に火を放ったり罠を仕掛けたりしただけに止めておきました。送られる少し前に見ると村の人はミノタウロスの怒りだとおびえていたりしてさっさと生贄を出そうとしていましたっけ。そんな感じでここにいるのでしたっけ。
「それにしてもお腹が空きました」
だってもう1日は何も食べていないはずですよ、さすがにお腹が空きます。
「村の倉庫から自分で持ってきた食糧も考えずに食べてしまいましたしどうしましょうか…」
空腹と歩き疲れたせいでもう動けませんああ、色々考えてるうちに意識が遠くなり・・・
最後に微かに足音が聞こえました。
バタリと音を立てて少女は倒れた
ドスンドスンと少しずつ足音が近づいて来るようであった
少女の近くにまで来るとその足音の主は少女を担いでそのまま何処かに連れて行った。
夢を見ました。
子供の頃の夢です。母さんに本を読んでもらおうとしてるところでしょうか。
この本は怪物とお姫様のお話でしたっけ。もう何年も読んでいませんから内容までは詳しく覚えていませんが私はこのお話が好きなのでした。
「ママこの本読んで」
「ええ、いいわよ」
母さんは幼いころに死んでしまったので、数少ない思い出の一つです。
どんな内容だったかせっかくだから夢で聞けると思うと意識が起き上がって来ました。
「えぇ…なんで聞かせてくれないですか」
そんな事を思いながら目が覚めて行きました。
「目覚めてもやはり迷宮なん・・・え」
つい普通に驚いて変な声が出てしまいました。
目を開けるとそこは明るく光が差し込む周りが緑に覆われた森だったのですから。